【A】

Stuck inside these four walls
Sent inside forever
Never seeing no one nice again,
Like you, mama
You, mama...
You...

 

 4面の壁に囲まれ

 ずっと内側で過ごす

 誰かに会うこともできない

 ママ、君みたいな素敵なひとに

 君、ママ

 君…

 

【B】

If I ever get out of here
Thought of giving it all away.
To a registered charity
All I need is a pint a day
If I ever get out of here
(if we ever get out of here)

 

 ここから抜け出せるなら

 チャリティー団体に

 何もかも譲ったっていい

 僕に必要なのは1日1パイントのビール

 もし僕がここから出られるなら

 (もし僕らここから出られるなら)

 

【C】

Well, the rain exploded with a mighty crash
As we fell into the sun
And the first one said to the second one there,
I hope you're having fun.

 

 太陽のほうへ逃げ込んだのに

 カミナリが鳴ってどしゃぶり雨

 そしたら一人目が二人目に言う

 お前、楽しめよ

 

【D】

Band on the run, band on the run
And the jailer man, and sailor Sam
Were searching everyone
For the band on the run...

 

 バンド・オン・ザ・ラン

 失踪するバンド

 看守人は船乗りサムを連れて

 みんなを追いまわす

 バンド・オン・ザ・ラン

 

【E】

Well, the undertaker drew a heavy sigh
Seeing no one else had come
And a bell was ringing in the village square
For the rabbits on the run...

 

 葬儀屋は深いため息をつく

 他の誰も来ていないじゃないか…と

 村の広場でベルが鳴ってる

 うさぎ(ラビット)が逃げ出した…と

 

【F】 

Band on the run...

 

 バンド・オン・ザ・ラン

 

【G】

Well, the night was falling
As the desert world began to settle down
In the town they're searching for us everywhere
But we never will be found

 

 脱走劇が落ち着くころには

 夜も更けている

 町じゃ至る所で

 みんなが僕らを捜索してるけど

 僕ら絶対に見つかりはしない 

 

【H】

Band on the run, band on the run
And the county judge, who held a grudge
Will search for ever more,
For the band on the run

 

 バンド・オン・ザ・ラン

 逃走するバンド

 怒った州の裁判官は

 この先もずっと探そうとするだろう

 バンド・オン・ザ・ランを

 

 

Band On The Run / Paul McCartney and Wings

・Lyric Video

https://www.youtube.com/watch?v=yDzhrO5K02c

・Official Video

https://www.youtube.com/watch?v=d5RGns2Ffdo

 



 

ビートルズを抜けたあとの

ポール・マッカートニーの最大のヒットが

アルバム「バンド・オン・ザ・ラン」

 

1974年にリリースされて

年間アルバムチャートで全米2位


いきなりチャート上位に入ったのではなく

じわじわと人気が高まったそうです

 

 

アルバム表題曲となる本作も

ライブなどでしばしば取り上げられる

ポールのお気に入りのようです

 

 

でも

実を言うと私はあまり好きじゃない

 

この曲、いいかね?

私はそれほど面白いとは思わない

長くてダラダラしてて

 

で、やっぱりな…と思ったのは

オフィシャル・ビデオ

 

アルバム版は5分あるのに

ビデオは3分に切られてる

 

冒頭の2分をちょん切っている

 

そうなんだよね

冒頭の2分

要らないよね

 

最初の部分を

バラードパートと呼んでる向きがあるけど

余剰だと思いますよ、ここ、私は

 

面白くない噺家の

まくら(本題の前の御話)みたいな

どーでもよい感が漂っています

 

ここが良い、ここがあるから名曲だと

主張する方もいるので

そこは十人十色ということですが…




 

でも

気づいたのですよ

 

あえて

あのダラダラとした

つまらないパートがあったのだと

 

 

後年、ポールが語ったところでは

ビートルズ時代に拘束されたり

追いかけ回された当時のことを

思い出してソングライトしたのだとか

 

 

ああ、そうか

そう言われれば

そうですよね?


以下は、私の憶測ですから

裏(証拠証言)はありません

 

 

【A】【B】

私が退屈だと感じるバラードパートですけど

これ、ビートルズ末期じゃないですか?

 

アップルの経営が思わしくなくて

会議室に缶詰にされて

今後についての会議、会議、会議…

 

難しい顔をした連中に囲まれて

ママ=リンダのようなガールフレンドにも

逢うことすらままならない


4つの壁とは

ビートルズの新マネージャーのときに対立した

ジョン・レノン、リンゴ・スター、ジョージ・ハリスンと

アラン・クラインorオノ・ヨーコあたりを

思い浮かべてそう

 

退屈でつまらない…

窮屈でやりきれない…

だから、こんなダラダラメロディーなのだろう

 

金が欲しいなら

会計士やマネージャーらスタッフたちに

くれてやるから解放してくれ…と


 

【C】

ビートルズなんて嫌だ…と逃げ出す

太陽の方へ逃げたつもりなのに

脱退したらドシャ降りの雨だ

(最悪の状態)

 

で1人目が2人目に言うってのは

おそらくビートルズの実質ラストアルバム

「アビー・ロード」のジャケット




 

スタジオから出ていく4人のビートルの

1人目ジョンが2人目リンゴに

バンドから解放されたのだから

エンジョイしようぜ…と言っている

そんなイメージだろう

 


【D】

ビートルズの4人は逃走する

アビーロードジャケットのように

スタジオを後にする

看守とはビートルズのマネージャーの

アラン・クレインを指しているのだろう

4人に仕事しろ、金を稼げと追いまわす

船乗りのサムってのは

リバプールからのスタッフのことだろうか

 

Band On The Run は

「逃走するバンド」という意味もあるけど

「経営/営業しているバンド」という

解釈もできると思います




 

アラン・クラインによって働かされることが

嫌になり逃げ出す…というニュアンスも

そこにはあるのかもしれません

 


【E】

「アビー・ロード」ジャケットで

4人目…一番最後を歩いているのが

埋葬屋のような衣装だと言われた

ジョージ・ハリスン

 

つまり「葬儀屋」「誰もいない」とは

4人目のジョージが出てしまえば

スタジオには誰もいない…ということ

 

村の広場の鐘が鳴るとは

レノンのソロアルバム「ジョンの魂」の

1曲目「マザー」の鐘の音のことで



「ラビット」が逃走した…は

「うさぎ」ではなく「臆病者」という意味で

ジョンが脱退宣言したポールを

臆病者扱いしたのかもしれない(憶測)


 

【G】

ビートルズ解散騒動になり

業界が大騒ぎして

メンバーを探しまわろうとしても

うまく逃げるから見つからないさ…と歌い


 

【H】

カントリー・ジャッジは怒り

この先もずっと永久に

逃げ出したバンドを追いかけ回す

とは

ソロになっても元ビートルたちは

国内(カントリー)の

メディアや評論家(ジャッジ)に

行動や作品をチェックされつづけるだろう

とボヤいているのかもしれません


 

 

ポールはビートルズ末期に

ツアーに出たいと言い

駄目ならせめてコンサート形式で

アルバムを作ろうと提案し

「Get Back」セッションに繋がりました

 

ビートルズを失ったものの

ポールはウィングスを得ました

 

ウィングスでバンド活動もツアーも出来る

ビートルズ末期のうんざりするような

フラストレーションから解放された

喜びがこの曲には満ちているように思います

 

そう、だから

バラードの終わった【C】以降の

中盤~後半の展開は

私、けっこう嫌いじゃありません

 

 

だって、そこには

ポールが牢屋のように感じた

末期のビートルズから抜け出すことであり

翼と名づけられたバンド・ウイングスによって

飛び立てる

解放感が感じられるから

(爽快感はないけど…)