『ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死』石井光太著 NHK出版新書 | Bookworm in the Hammock

『ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死』石井光太著 NHK出版新書

お久しぶりですビックリマーク

takeshi です。


ブログ記事の書き方、

忘れてしまいました 笑


今日ご紹介するのは、takeshiの大好きな著者、

石井光太さんの新著、

『ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死』 (NHK出版新書)

です ビックリマーク


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この本は、海外ルポルタージュの傑作、

『物乞う仏陀』、

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『神の棄てた裸体』、

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の著者である石井光太さんが、

日本国内に住む外国人、すなわち「在日外国人

に目を転じて、著したものです。


実は、takeshiは多くの在日外国人を

仕事上のクライアントとしているので、

平均的な日本人よりは

在日外国人のことを理解していますが、

それでも、石井さんの斬新な切り口によって、

様々な気づきや発見を

得ることができました・・・


     * 


本書の章立ては以下の通り。


第一章 外国人はこう葬られる

第二章 性愛にみるグローバル化

第三章 異人たちの小さな祈り

第四章 肌の色の違う患者たち



面白そうでしょう? 笑 


     *


本書は、つぎのような出だしで始まります。


「日本で外国人が死ぬとどうなるか知っているか?

外国人の死体は内臓を抜かれて防腐加工され、

ドライアイスで冷凍保存されたまま、

飛行機で祖国へ送り返されるんだぞ。

まるで輸出された魚だよな。


けど、遺体の搬送ってすごくお金がかかるんだ。

中東に運ぶだけで百万円はゆうに超える。

日本で何年も必死になって働いても、死んでしまえば、

貯金はすべて死体の搬送費用で消えちまうんだ。

儲かるのは、日本の葬儀屋と航空会社だけ。

結局俺たちは、いつまでたっても貧乏なままなのさ」


     *  


外国人をクライアントとするtakeshiは、

国際相続、つまり在日外国人の相続問題について

ご相談を受けることはあります。

しかし、なくなられた直後のことや、

墓地の問題については、

葬儀屋さんの領域なので、

よく知りませんでした・・・


また、日本の病院で早期に流産してしまった

外国人女性のくだりには、

思わず涙してしまいました。


日本では、妊娠12週未満の胎児は、

「感染性廃棄物」、つまり医療現場における

ゴミとして、廃棄処分されるそうです。


ところが、宗教や文化によっては

これら12週未満の胎児も、

「人間」と考えることもあります。


「少し前にも、医師が母親の意見を聞かず、

流産した胎児を棄ててしまったことが

ありました。(中略)

あとから母親はそれを知って、

取り乱して僕のところに泣きついてきた。

『赤ちゃんを国に送って埋葬しようとしたのに、

医者が棄ててしまった!』ってね。

 (中略)

最終的にはボランティアの通訳が説得して

何とか事態を収めましたが、

母親の心の傷は癒えることがなく

いつまでも泣き続けていました。


母親にとっては、妊娠した時点で

子どもは子どもなんでしょうね。

生まれてこなかったとはいえ、

丁寧に葬ってあげたかったんだと思います。」


文化の違いは、

時にこんな悲劇も生んでしまいます・・・




        *

第二章では、

日本におけるセックス・ビジネスの話や、

偽装結婚」がとりあげられています。

takeshiは、国際結婚のご相談もよくお受けするので、

なかなか興味深く拝見しました。

        
        *

第三章では、

日本人ホームレスに布教している

韓国系教会という、

実に興味深い異空間が取材されています。


        *

第四章では、

ナイジェリア男性と日本人女性の、

ともにHIV感染者である夫婦が

取材されています。

ここのくだりは涙なしでは

読めませんでしたが、


ビザを所有していないことが

露見することを恐れて、

病院に行くことができない

不法滞在の外国人が、

怪しげな薬に手を出したり、

命を落してしまうケースさえあるという

現実が報告されています・・・



現在の日本では、

外国人とかかわりを全く持たずに

生活をされている方のほうが、

むしろ少数派になりつつあるのでは

ないでしょうか?


職場の同僚に外国人がいる方、

配偶者が外国人の方、

留学生の友人をお持ちの方など、


外国人とのかかわりをお持ちの方全員に、

おすすめできる一冊です。



ではまたビックリマーク