ジョルジュ・バルビエ | BOOKROOM

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本と本屋が大好きな私の、おすすめする本です。

「優美と幻想のイラストレーター ジョルジュ・バルビエ」 (海野弘 PIE)



きっかけは、十月にこちらで紹介した

「おとぎ話の幻想挿絵」(海野弘・PIE)という本でした。

その隣に並んでいたのが、今回の、この一冊。

ジョルジュ・バルビエという人が、20世紀初頭の

伝説的な画家であるということを全く知らずに

手に取って、

そのまま

一目惚れ

です。


アール・デコの時代の、

本の挿絵。

ファッション雑誌のイラスト。

バレエのコスチューム。

どの絵も、美しく、やるせなく、ちょっと退廃的な匂いがして

一枚の絵から、物語がたちのぼるような作品ばかりです。


まとっている服も身につけているアクセサリーも、

どれもいとおしむように、こまやかに描かれているのを見ていたら

ふいに、自分自身の体というものを

恩寵のように感じました。

確かにここにあるけれど、

いつかかならず消えていくもの。


夜、おいしいお酒を飲みながら

この本を眺めていると

頭のネジがほろほろと緩みます。

遠い時代の、遠い場所に生きていた人の作品が、

こんなにも自分を温めてくれる。

幸せな一冊に会えました。



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