弘道館（こうどうかん）広く諸科学、諸学問が教育・研究

島崎藤村『夜明け前・第一部上』
「御三家の一つと言われるほどの親藩でありながら、大義名分を明らかにした点で。『常陸帯（ひたちおび）』を書き『回天詩史（かいてんしし）』を書いた藤田東湖はこの水戸をささえる主要な人物の一人（ひとり）として、少年時代の半蔵の目にも映じたのである。」

夜明け前　第一部　上

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島崎藤村『夜明け前・第一部下』
「しかし、慶喜も水戸の御隠居の子である。弘道館の碑に尊王の志をのこした烈公の血はこの人の内にも流れていた。」

夜明け前　第一部　下

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学問の教育・研究としては、当時広く行われていた文系のほかにも、一部の自然科学についても行われ、第2代水戸藩主の徳川光圀が編纂を始めた大日本史の影響を受けた水戸学の舞台ともなりました。当時の藩校としては規模が大きく、また水戸藩も財政が潤っていたとはいえなかったことから、当時の水戸藩の教育政策がうかがえるといわれています。

通常卒業の概念が設けられているものが多いが、学問は一生行うものであるという考え方に基いて特に卒業の概念を設けず、若者も老人も同じ場で学んだといわれています。

弘道館（こうどうかん）は、江戸時代後期に日本の常陸国水戸藩に作られた藩校です。

文化財とされているのは、保存されている部分である旧弘道館（きゅうこうどうかん）で、国の特別史跡に指定されています。正庁・至善堂・正門は、国の重要文化財に指定されています。

「旧弘道館」の建物については、「茨城県都市公園条例」において「有料公園施設」とされ、観覧は有料とされています。観覧料の管理は、「都市公園法」に規定する「公園施設」として、知事部局が行っています。

文化財ではあるものの、博物館法における博物館（登録博物館）、博物館相当施設とはされていません。

2011年3月11日発生の東日本大震災で甚大な被害を受けた。このうち「弘道館記」を刻む弘道館記碑は2013年に修復が完了し、その際、1953年修復時に本体背面に施されたコンクリートが除去されてそれ以前の姿にほぼ復元されました。

天保12年（1841年）7月に完成し、8月1日（9月15日）に仮開館（本開館は安政4年5月9日（1857年5月31日））。

第9代水戸藩主の徳川斉昭によって水戸城三の丸内に作られた（弘道館設立の前は、山野辺家などの重臣層の屋敷地であった）。

初代教授頭取には、会沢正志斎と青山拙斎が就いた。建造は戸田蓬軒が務め、経営にあたる学校奉行には安島帯刀が任命されました。

八卦堂の『弘道館記』の碑には藤田東湖草案の建学の精神が漢文で書かれ、武道のほかにも、広く諸科学、諸学問が教育・研究されました。

文学作品のなかの弘道館

森鴎外『伊沢蘭軒』
「花亭の語は詳（つまびらか）でなかつた。由緒書に徴するに、『文政二卯四月十七日五人扶持被下置、折々弘道館へ出席致世話候様』と云つてある。」