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2012-02-29

椎名篤子「がれきの中の天使たち」

テーマ:■ノンフィクション/事件事故
がれきの中の天使たち 心に傷を負った子どもたちの明日がれきの中の天使たち 心に傷を負った子どもたちの明日
椎名 篤子

集英社 2012-01-26


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「凍りついた瞳」(*1)で知られる著者の、児童精神科医にスポットライトをあてるノンフィクション。

 3.11で自ら被災しながらも、子供たちの精神衛生を気遣う医師たちを追う丁寧な作品。
 何例かカウンセリングケースが掲載されている。この子たちが悲しみを乗り越えてくれるよう祈りたい。
 書名から東日本大震災を連想するが、本書の3分の1は阪神・淡路大震災に割かれている。


p.s.正式に児童精神科の講座を持つ医学部は、日本では浜医だけ…とあるが、そうなの? かつては慶大で小児精神科講座が小児科扱いで開かれ、医学部生は講義と小児精神科病棟での実習を受けていたものだが…?


2012-02-28

【映画】東京残酷警察

テーマ: 映画シネマ
東京残酷警察 初回限定“GORE EDITION” [DVD]東京残酷警察 初回限定“GORE EDITION” [DVD]

NIKKATSU CORPORATION(NK)(D) 2009-04-10


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 暗殺された父の遺志を継いで警察官になったルカ。東京にはエンジニアと呼ばれる凶悪殺人犯が出没していた。
 エンジニアの特徴は、体を傷つけられると凶器に肉体変形を起こすこと。
 名うてのエンジニアハンターであるルカは、首領クラスのエンジニアと戦って、父の死の裏側を知る…血まみれアクション&ファンタジー。

 エンジニアの設定がとにかく良くて、面白くなりそうでいながら、最終決戦は今一つ盛り上がらず…それはたぶん、最初からストッパーなくふんだんにサービスされる血のりと人体破壊に慣れてしまうからではないか。

 ルカの変身がおとなしめだったのも、少しもったいなかった。

 出だしはシリアスかと思わせておいて、出血で浮くなどハチャメチャなシーンが多いのも、笑えるやら脱力するやら、であった。

 ただ、見世物パーティはアングラで素晴らしく、椅子もどきが出ると興奮は最高に達する。69番も美しく、見世物小屋のシーンは暗い楽しみを提供してくれる。

 もちろんスプラッタ好き以外の人間にはおすすめできない映画である。
 あー鍵を差し込むシーンがビデオドロームのようだ、とか、なぎなた女警に謎の液体で勝つイメクラ女子高生はデビルマンだよなあ、など、悪趣味モノ好きなら楽しめる作品だろう。

p.s.キャハハッ、ストーリーはともかく好みのシーンがあったんで初回限定盤買ったった! サントラがついていてなかなかグーよ。


東京残酷警察 [DVD]/しいなえいひ,板尾創路,堀部圭亮
¥2,380 Amazon.co.jp




2012-02-27

綾辻行人「奇面館の殺人」

テーマ: アイアン
奇面館の殺人 (講談社ノベルス)奇面館の殺人 (講談社ノベルス)
綾辻 行人

講談社 2012-01-06

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 急に体調を崩した作家の身代わりとして、奇面館に泊まりに行く鹿谷。中村青司の館でまたも殺人が起きてしまい…雪の館ミステリー。

 館の中では仮面で過ごすため、誰も信用できなくなる系の雰囲気を楽しめた。導入部は抜群に面白く、犯人が被害者の指紋を始末するところなどゾクゾク興奮を覚えるほどの迫力があった。

 残念ながら、後半にかけてはどうしても説明文が多くなってしまい、物語としてのテンションは下がっていく印象。
 とくに、とある偶然については信じられず…それはさすがにないだろうと思うのであった。

2012-02-26

伊坂幸太郎「仙台ぐらし」

テーマ: エッセイ・対談
仙台ぐらし
仙台ぐらし

$読書日記PNU屋-201202261051000.jpg

 仙台に暮らす人気作家のエッセイ。
 一編のみ「3652」とかぶっているけれど、他はここでしか読めないもので、貴重な記録と感じた。
 心配性の日々がユーモラスにつづられていくが、震災以後は一変して真摯な祈りのような文章となる。

 短編小説は、静岡からボランティアに来た若者を題材にしていて、まだ生々しい印象を受けるけれども、ラスト、もしかして…? と思わせるセンス・オブ・ワンダーに著者らしさがあった。


2012-02-25

映画「板尾創路の月光ノ仮面」

テーマ: 映画シネマ
 戦死の知らせから二年後、落語家一門の屋敷に死んだはずの男が帰って来る。売れっ子噺家「森乃家うさぎ」として高座に座ることになった男だが、衝撃の結末が待っていた。

 藤子・F・不二雄「ノスタル爺」かと思って見ていたら、ラストは「片腕マシンガール」だった…何を言ってるのかわからねーと思うが(ry
 うーん、理解不能。石原さとみがとにかく綺麗だった…。原作本を読むと、あらましがわかったりするのかな?(まだ未読)


月光ノ仮面 (ヨシモトブックス)/板尾 創路
¥1,300 Amazon.co.jp

 こっからネタバレ注意












 物語が盛り上がるのは、噺家のホープだったはずの人が二人帰って来ちゃうところ。顔の怪我と記憶喪失、体の同じところにアザがあったせいで、家族ですら見分けがつかなかったという…とはいえ、二人を見比べれば答えは歴然。追い出されるはずだった偽物は、本物が喉の怪我でしゃべれなくなっていたことから、本物のふりをして高座に上がることになる。

 満月が何度も出て来るので、てっきり時間経過を表してんだと思ったら、『満月がずっと続く世界』だったんだそうな。その連続満月もそうだし、手掛かりだと思っていたこと(芸者の穴掘り、謎のタイムトラベラーの存在)が全部放りっぱなしで終わってしまうので、肩すかし感がハンパない。

 ラスト謎の銃乱射について。
 最初に見たとき、面白いはずもない素人=名噺家・森乃家うさぎの偽物を見て笑う準備をしている客たちに、死の鉄槌を下しているのだと思った。
 森乃家うさぎの偽物になる前、板尾演じる男は「森乃家小鮭」なる名前で前座を務めるが、そこでは全く笑いが取れず場を冷やしてしまう。なのに、いったん人気噺家「うさぎ」の名で高座に上がったとたん、客たちは嬌声を上げて場を盛り上げるようにふるまうのである。
 つまり、客たちは見て聴いて笑いを生じているのではなく、有名人だから笑えるに違いない、という思いこみでうさぎ(実はなりすましの、偽物)を見ているということになるのだ。
 そんな、笑いに対して不誠実な態度を取る客どもを、『有名人で客引きしないと閑古鳥だから』なる経済的理由で偽物を高座に引っ張り出した身内ごと殺戮することにより、監督が『お笑いなめんな』というメッセージを映画の観客に送っているのだと確信した。

 だが、ラスト撃ち殺されたはずの本物の「うさぎ」が人力車で帰っていく。さっき、額に銃弾を受けて即死したはずの、本家「うさぎ」が、である。
 それを見たとき、別の解釈もありうるのではないかと気付いた。
 あの銃乱射はお笑いがウケたことの比喩表現であると。なぜなら、銃弾が命中しているのに笑顔で倒れる人間はいないからだ。あれは、命がけで臨むお笑いを、ネタを銃弾、ウケるか否かを客の生死にたとえただけで、実は誰も死んでいないのではないか。
 
 また、この二つの解釈は共に誤りで、夜見る夢のようにストーリーにヤマもオチもなく、不条理な、けれど美しい世界を流れるがままに見ているのが正しいのかもしれない。解釈をすら拒否する映画なのかもしれないと、少し思った。



蛇足の妄想:うさぎは二人とも本物。同じところに同じか価値のアザがあるのはそのため。ノドを怪我したうさぎは弥生とは結ばれず、落語界から放逐されてしまう。女郎(お亀)に慰めを見出し、年老いたころ医学の進歩で声が出るようになる。お亀に先立たれ、孤独から心を病んだころにドクター中松と知り合い、戦時中にタイムトリップ。若い自分を補佐することに。世話になったお亀も自由の身になれるよう、娼館脱走&タイムトリッパーを手配。
 でも、これだと満月の悦明がつかないのよね。

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