F・W・クロフツ No.3◇製材所の秘密◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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なぜその悪行をひたすら隠し通すことができるのか? その製材所ではなにが?

 
 
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◇製材所の秘密◇ -The Pit-Prop Syndicate-
F・W・クロフツ 吉野美恵子 訳
 
 
青年が、旅先で偶然立ち寄った製材所。そこではすべてが不自然だった。 トラックのナンバープレートに細工がしてあるではないか! さらに、青年を見る運転手の敵意に満ちた目、製材所主任の娘の青ざめた顔……。いったい、ここでは何が行われているのだろうか? 〈サンデー・タイムズ〉紙のミステリ・ベスト99にクロフツの代表作として選ばれた不朽の名作。本邦初の完訳版。
 
 
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きっかけはなんてことのないトラックを見たことだけだった。メリマンが出張先のボルドーですれ違ったトラック。何の変哲もないーーーはずだった。立ち寄った製材所で見たそのトラックのナンバープレートが変わっていなければ。
 
 
同じトラックなのになぜナンバープレートが? しかもその製材所の人の態度もおかしい。そのトラックの運転手からは睨まれるし、製材所主任の娘マデリーンは明らかに怯えている……支柱材を作るこの製材所は一体なにが?
 
 
メリマンは友人たちにこの話を聞かせる。すると関税局に勤めるヒラードが興味を示す。これは密輸ではないか? メリマンとヒラードはボルドーで樽に忍び込んで監視するが、犯罪を企んでいることは明らかなものの、その絡繰を解き明かすことはできなかった。
 
 
ヒラードはとうとうこの件を警察に届けるべきだと断言する。メリマンはマデリーンを想って躊躇するが、ついに殺人事件が起こり、ロンドン警視庁に届けた。ウィリス警部の追跡が始まる!
 
 
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「製材所の秘密」です(・∀・)
今度こそクロフツでした←
 
 
この話は殺人は起こりますが、犯人は想定内の範疇なので、今までと違い、テーマは「そこでなにが行われているのか?」そして「犯罪はどのように行われているのか?」です。
ひたすらそれで持っています。最後の最後までの全貌が明らかにならないので最後までページをめくる手が止まりません。というかトリックが巧妙過ぎる。あんなにメリマンとヒラードが頑張ったのに……てか当時、あんな地下室とか作れたんだ!? 
 
 
今までの主人公は始終警察や探偵といった玄人が出っ張っていましたが、今回、第1部はメリマンとヒラードが主役です。ウィリス警部は第1部には全く登場していないんですよ。なので第1部と第2部で主役が違うのです。メリマンとヒラードが健闘するが、上手くいかず、ウィリス警部ら警察が躓きながらも達成する……「樽」とは逆パターンですね。
 
 
メリマン……立派に恋していますねぇ。今までの作品が恋愛要素+個人的(プライベート)要素皆無だったので結構新鮮でした。でもその描き方がドイルやフリーマンと似ているなと思ったり。なんというか……淡々と事実を描いているというか。そういうのを主人公の性格を活かして生き生きと描いているのはやっぱりクリスティーですね! カーも負けていないですけどね! 
 
 
しかし犯罪の隠匿工作が巧妙過ぎて探偵小説として良くできていると思います。オススメ作品ベスト10に入る勢いです。「殺人オンリーは嫌だ、最後の最後まで犯罪の正体が分からない話がいい!」って方にお勧めです。
 
 
「製材所の秘密」でした(・∀・)/
次はクラーク、初の短篇です(*^o^*)/~