「アメリカ合衆国」から切り離された異世界の事件にエラリーが挑む!
◇第八の日◇ -And On The Eighth Day-
エラリー・クイーン 青田勝 訳
ハリウッドからの帰途一軒の店に立ち寄ったエラリイは、奇妙な風体の老人と若者を見かけるが、その老人の高貴な風貌にはなぜか人の心を惹くものがあった。再び車を駆る彼はネバダ砂漠のとある村落に迷い込んでしまった。そこは、先刻出逢った老人を教師とし、聖書さながらの生活を営む一団の人々の共同体であった。あらゆる文明社会から隔絶し、犯罪という概念すら持ち合わせないこの社会でエラリイは奇妙な殺人に出くわした。
自分の生活圏とはまったく異なる世界で起きた数奇な犯罪に、エラリイは単身挑んで行く。中期の異色力作!
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ハリウッドからの帰り道、エラリーはネバダ砂漠で道に迷った。迷いに迷ってたどり着いたのはとある村だった。ーーーが、何かがおかしかった。
その村はアメリカ合衆国や連邦の法律はもちろん、その何もかもが無視され、村独自の文化、法律が形成された、俗世から隔離された世界だった。
時間の概念もなく、犯罪の概念もないクイーナン村で「来るべき救世主」エルーロイ・クイーナンと間違えられたエラリーはここで殺人事件に巻き込まれる!
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「第八の日」です(・∀・)
エラリー・クイーン作品一奇妙な世界の奇妙な事件の話です。
俗世から切り離された村、独自の文化と法律の形成、常識のズレと違和感……
桜庭一樹さんの「GOSICK」で灰色狼の村「名も無き村」が登場しますが、まさにあれです。外からの空気が全く入ってこない、澱んだ感じも同じです。
悩める名探偵←エラリーもこれには困り果てます。しかも来るべき客に間違えられるし← 間違いがわかった時が恐ろしい……と思ってハラハラしては読んでいましたが、本当に恐ろしいのはそこじゃない。
本当に恐ろしいのはラスト!
クイーナン村で起こった半世紀以来の犯罪の解決の果て、クイーナン村に伝わる書物の正体、そして……はっきり言って怖すぎる!
ラストシーンに全部持って行かれた!
ここでも書かれた集団の恐ろしさがここでも書かれています。最初は「エラリー・クイーンがこんなの書くかよ! やっぱり代作か!?」と思いましたが、紛れもなく「ガラスの村」を書いたダネイとリーが考えた話だと思います。
ものすごく異色作ですが、いまのご時世を考えると1回読んで損はしないと思います。改めて集団が怖くなります。
あとラストのエラリー、マジ怖い。あんた、それはないよお!
「第八の日」でした(・∀・)/
次はディクスン・カーの「囁く影」です(*^o^*)/~