百日紅も鷺も河童もいる家/家守綺譚
家守綺譚
梨木香歩
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やっと読みました家守綺譚。
すでに、エッセイや「沼地のある森を抜けて」や「からくりからくさ」、「村田エフェンディ滞土録」を読んでいるので梨木香歩の書きたい問題意識のようなものがわかっているので、そういった背景をとらえてこういった本を読むと奥行きが出ていいですね。
明治時代、ある文士が知り合いの家の管理を任され、その家で日常風景を淡々と語ったもの。
ただし、百日紅が文士に恋心をいだいたり、行方不明の友人が掛け軸から出入りしたり、犬が鷺と河童の仲裁をしたりと、神話的というか一歩向こうに踏み込んだような話が続きます。
それぞれの想像力も楽しいですが、その背後にある自然との交感のある世界観が深さと広さをもって語られていて、その世界にじっくりと浸って楽しむことができます。
このあたりの感覚と問題意識をより鋭角かさせていくと「沼地のある森を抜けて 」などの作品につながると思うのですが、この時点では心地よい程度の独自性で、読みやすいです。
「村田エフェンディ滞土録 」と一部関連してきて、そうかあの世界ともつながっているのかと思うと、作家の世界観の広さに関心しました。
多少のファンタジーはOK、という方で文士とかいうころの匂いが好きな方は楽しく読めるのではないでしょうか。
もちろん梨木ファンは読んで損はありません。