オーデュボンの祈り (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
¥660
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コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気付くと見たことのない島にいた。150年もの間外界から遮断されてきた島の名は「荻島」。
嘘しか言わない画家。島のルールとして殺人を許された男。体重300kg、マーケットから一歩も動かない女性。そして、優午という名の喋るカカシ。

優午は未来を知っている。知っているが未来のことは話さない。

その優午が殺されてしまう。未来を知る彼は、何故自分の死を防げなかったのか?


夢の中にいるような不思議な感覚。

伊坂さんの原点となるこの作品は、ファンタジー色の強いミステリーです。

島の住人たちは、夢の住人と同じように、リアリティのない世界の中で何も疑うことなく、淡々と生きています。


ふと、ミステリーであることを忘れてしまう穏やかな空間。ミステリーとしては非常にゆったりとしたテンポ。

基本的にスピーディーな展開が好きな私ですが、何故かこの独特の間に惹かれてしまうのです。

もちろん謎はしっかりと存在し、しっかりと解決されていきます。

ちょっとした会話の中や、何気ない行動に隠された伏線も見事。


肌に合う、合わないはあるかも知れません。

それは、「喋るカカシの存在を受け入れられるか」で判別がつくのではないでしょうか。


受け入れ、その世界に身をゆだねながら読んでいくと、素晴らしいミステリーと心の底からにじみ出るような感動に出会えるはずです。

予想を裏切る驚きと解決、期待を裏切らない展開(特にラスト♪)、両者のバランスがよく、読後はスッキリ ほっ


タイトル「オーデュボンの祈り」に隠されたメッセージ。

伊坂さんの作品によく出てくる、人間の存在意義に対するアンチテーゼが、この物語の鍵になっている気がします。



ではまた♪




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