- オーデュボンの祈り (新潮文庫)/伊坂 幸太郎
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コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気付くと見たことのない島にいた。150年もの間外界から遮断されてきた島の名は「荻島」。
嘘しか言わない画家。島のルールとして殺人を許された男。体重300kg、マーケットから一歩も動かない女性。そして、優午という名の喋るカカシ。
優午は未来を知っている。知っているが未来のことは話さない。
その優午が殺されてしまう。未来を知る彼は、何故自分の死を防げなかったのか?
夢の中にいるような不思議な感覚。
伊坂さんの原点となるこの作品は、ファンタジー色の強いミステリーです。
島の住人たちは、夢の住人と同じように、リアリティのない世界の中で何も疑うことなく、淡々と生きています。
ふと、ミステリーであることを忘れてしまう穏やかな空間。ミステリーとしては非常にゆったりとしたテンポ。
基本的にスピーディーな展開が好きな私ですが、何故かこの独特の間に惹かれてしまうのです。
もちろん謎はしっかりと存在し、しっかりと解決されていきます。
ちょっとした会話の中や、何気ない行動に隠された伏線も見事。
肌に合う、合わないはあるかも知れません。
それは、「喋るカカシの存在を受け入れられるか」で判別がつくのではないでしょうか。
受け入れ、その世界に身をゆだねながら読んでいくと、素晴らしいミステリーと心の底からにじみ出るような感動に出会えるはずです。
予想を裏切る驚きと解決、期待を裏切らない展開(特にラスト♪)、両者のバランスがよく、読後はスッキリ
タイトル「オーデュボンの祈り」に隠されたメッセージ。
伊坂さんの作品によく出てくる、人間の存在意義に対するアンチテーゼが、この物語の鍵になっている気がします。
ではまた♪
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