- 重力ピエロ/伊坂 幸太郎
- ￥1,575
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兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。
みなさん大絶賛だったこの作品。
読んで納得。素晴らしい小説でした 
ミステリーとかサスペンスとか、そういう括りで話すものではない気がします。非常に文学的。
純粋に「文」を楽しめる小説がいかに少ないことか・・・。
小手先ではない美しさに鳥肌が立つよう。
圧倒的に会話文が多いのも特徴。地の文が少なく描写が少ないため、リアリティは薄め。逆に独特の世界観が広がります。
血のつながりのない兄弟、泉水と春。春の出生にはいわくがありますが、家族の結束は固く、素晴らしい両親とともに育った二人。連続放火事件と事件を予知するかのような、壁に描かれたグラフィティアート。
ほのかにミステリーの香りを漂わせながらも、ストーリー展開はとても穏やか。
兄弟の幼い頃のエピソードが回想シーンとして多く描かれ、ほほえましくもあり、不思議な感覚でもあり。どことなく浮世離れした家族に魅了されていきます。
一見飄々としている春の、性に対する憎悪、自分の血への憎悪。家族に愛されればこそ増殖していく悲しみや苦悩が痛ましい。
遺伝子のルール。そしてそれを打ち破る父の言葉。エンディングは感動しました。
伊坂さんの小説を読むと、いつもどこか違う世界に迷い込んだような感覚になります。
現実であって現実じゃない。日本であって日本じゃない。そんなどこか。
近く直木賞をとることは断言できますが、いつどんな作品でとることとなるでしょう。
「ほんの少し熟成してから・・・」ということが多いと感じる直木賞。
ファンとしてはこの先がとても楽しみです 
ではまた♪
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