奇想、天を動かす(光文社)島田荘司
浅草で浮浪者風の老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、店の主婦をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らず完全黙秘を続けている。この裏には何かがある。警視庁捜査一課の吉敷竹史は、懸命な捜査の結果、ついに過去数十年に及ぶ巨大な犯罪の構図を突き止めた。―壮大なトリックを駆使し、本格推理と社会派推理とを見事に融合させた傑作。
これは何というか、すごかったです・・・・・・。
消費税が導入されて間もないある日、請求のトラブルから発生したと思われた殺人。
動機について黙秘を続ける犯人ですが、捜査を続けるにつれ徐々に明らかになる過去の因縁。
それと平行して記述されるある手記の内容にも興味をそそられます。
現実とは思えない異様な内容に隠された真実とは・・・・・・。
本格と社会派の融合とされる本書ですが、まさに両方の醍醐味を味わえる作品です。
大きな謎となる「手記」の部分ですが、私はメイントリックについての知識がまったくありませんでした。
今ではよく見聞きする知識ですので、すぐに気づいた方たくさんいらっしゃるでしょうね
ネタバレになるといけないので、何かは言えませんが、既読の方はおわかりかなぁ。
我ながら無知で恥ずかしい限りですが、おかげで大変驚かせていただきました。
ある意味ラッキーかも
もちろんその知識があったとしても、まだまだ多くの謎がいっぱい詰まっていますので、最後まで楽しめることと思います。
吉敷さんのシリーズ大好きです。