欲望 (新潮文庫)/小池 真理子
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三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ―。切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。


読後、ずっしりと重いものが残った。

決して嫌な読後感ではなく、美しく切なくもどかしい何かがずっしりと体の奥に残る感覚。

愛にとって、肉体とは何なのだろう。

精神的欲望と肉体的欲望が交錯し、2人の関係を悲劇へと導いていく。

三島由紀夫へのオマージュとも言える作品。


小池真理子さんは私にとって憧れの作家です。美しく知的。

しっとりと内面を描いていく筆力はさすがです。ホラーを書かせても一流です。怖い。

人間を描いていくことが、恋愛の切なさを生み、ホラーの怖さも出せる力なんでしょうね。