ネタバレふくみます。
未読の方はお避けください。
母親代わりとなって自分を育ててくれた冬子叔母さんが倒れた。
映画雑誌の編集者の朝美は、緊急来日する韓流スターのインタビューの準備に奔走しながら、
冬子さんの部屋で見つけた高校時代の日記を読み進めていく。
現代で仕事に邁進する朝美の奮闘と、冬子さんの青春が、交互につづられる。
冬子さんがずっと恋していた相手とはいったい誰だったのか…。
携帯電話も夜まで遊べるお店もない70年代の高校生に、朝美は同情していたけど、
冬子さんたちの高校時代、朝美と同年代の私よりずっとリア充だからね!
年越しとか、夏休みに海とか、文化祭とか、じゅうぶん楽しそうじゃないか!共学ちくしょう!
でもそれが、冬子さんにとっては一世一代の恋だったんだ。
『冬のソナタ』が流行った当時、うちの母も例にもれずハマりまして、
急に韓国ドラマのDVDやら韓国人俳優のポスターやらが家に溢れ、
その反動で私と姉は韓国アレルギーになった。反日だの領土問題だのまだ知らないときに。
なので小説のなかで、韓国アゲのオンパレードにうんざりしたけれど、最後まで読んでよかった!
全てがつながるラストでゾクゾクした。
もしかしてこの人ってあの人?年齢的にいえばあっちか?いや、だとしたらあの時…と
いろいろ勘繰りながら読んでいても、そんなに先回りの推測はできなかった。
推測してもぜんぶはずれた。ヒントのほとんどを見せられたところで、そういうことか!と。
だから、ハリウッドスターでも日本の人気俳優でもなく、アジアのスターだったのだ。
蓮見圭一さんの『水曜の朝、午前三時』を思い出したりもした。
フィル・ウォンは完璧な顔だとか、どこから見てもカッコイイとかさ、
現実にいたらめざましテレビとかで毎日のように特集されそうだな。
韓流とか関係なく、私はどこかまぬけさのある、愛嬌のある顔が好き。完璧じゃないところがいい。
仲の良い女の先輩が、数年前からお給料のほとんどをつぎこむ勢いでK-POPアイドルにハマってて、
私が恋愛相談をしようものなら、いつも結論は「アイドルにハマれば人生幸せだよ」である。
彼女がすすめる人はみんなアゴがシュッとして目がキリッとしてるの。
私は丸顔が好きなのよぅ。柴犬とか秋田犬とかタヌキとかブタみたいな顔が好きなの。
アイドルにハマるならNEWSの増田くんとか関ジャニ∞の安田くんのファンになるわ。
そのふたりがタヌキっぽいってことじゃなくて!とっても可愛いっていう意味ね!
ものすごくファンになって、とっても楽しくても、やっぱり恋人は別だよねぇ。
だって話せも触れもしない恋人(仮想)なんて。先輩はそんなこと重要じゃないと言うけれど。
私だって朝美や冬子みたいな恋がしたいもの。
完璧じゃなくても、障害があっても、お互いにこの人と決めた相手と。
そんなことあるか!なんてツッコミを入れず、純粋な気持ちで読んでほしい一冊です。