平成13年9月25日、胃がんの外科手術のためにA市のK先生の外来を受信しました。4時間、何も言われず待ち続けました。母はかなりしんどかったのですが、待つしかありませんでした。

 やっと診察室に入り、お会いしたK医師は本当に見た目から優しさが出ていました。前病院での検査結果と母の様子を見て、「早く入院を入れるから無理をしないようにね。」と母の肩を優しくたたきました。先生におまかせしようとは思わず(ここが看護師をしているからか、まかせるのではなく一緒に母を診ていきたいと思ったのです)信じてみようと思いました。

 こうして入院までは、すでに固形物は入らなかったためカロリーの高い流動食を飲みながら自宅で待ちました。仕事は手術の時に休みたかったので、心配しながらも出勤していました。毎日、休憩時間に母に電話をしていましたがだんだん電話にでるまでの時間が伸びてきました。結局、S病院に10月23日に入院、25日に手術を受け胃の5分の4を切除しました。看護学校時代の親友のOさんとSさんが手術室勤務だったので、彼女達は手術時多大な努力を母にしてくれました。その後も病室に仕事帰りによってくれ励ましつづけてくれました。持つべきものは親友だとその時はつくづく感じ感謝しました。約1ヶ月入院して退院の運びとなりました。母の胃癌はボールマン三型で、このタイプの予後はよくないものです。転移は見られなかったのですが、採取したリンパ節に癌があったので先生からは一年後ぐらいで再発するかもしれないと言われました。母には、手術後胃癌の告知はしました。ただ、再発の可能性までは言えませんでした。

やはり、実際に母が癌になるとそれ以後は『死』、『癌』という言葉はタブーになりました。ですから、元気なうちに最期について話をしておいて良かったと思いました。もし、そういう話をしていなかったら母にずっと癌について内緒にし、最期は在宅で迎えれなかったかもしれないからです。