私自身に起きた、死産までの記録になります。
似たような症状だからといって、同じ結果になるとは限りません。
妊娠中の方は不安になるかもしれまん。
また、辛い内容が含まれています。
天使ママさんは辛い記憶を呼び起こしてしまうかもしれません。
ご注意願います。
絨毛膜下血腫と子宮内感染による切迫流産で入院。
感染症は少しずつ良くなってきていましたが、突然呼ばれた診察に異変を感じ取りました。
振り返り記録、前回の記事
死産までの振り返りまとめはこちら
【7月6日(木)】
【17週3日】
不安な表情を浮かべる私に対して、I先生が言った。
I「ごめんなさいね、こっちでごちゃごちゃ話していて。後でちゃんとお話しするんで。」
何かが起きている…。
5~6枚エコー写真を撮り、先生が説明を始めた。
I「今診ていたのは、羊水の量が入院時より少なくなってきているんですね。今、赤ちゃんは子宮の中で少し窮屈になっているのかもしれません。」
羊水の量?
入院する時の診察では「正常」って言ってたのに…
I「このままだと陣痛が起きて、赤ちゃんは外に出てきてしまうかもしれません。」
胸の奥をぎゅっと掴まれた。
I「羊水は赤ちゃんのおしっこから出来ているんですね。
羊水の量が減る原因としては、破水があるのですが、破水をしている様子はないので、赤ちゃんがおしっこをできなくなっているのかもしれません。」
私「炎症は…関係しているんですか…?」
I「もしかしたら関係しているかもしれません。」
私「炎症が治まれば、羊水は増えるんですか…?」
I「炎症が治まったからといって、今の状態が改善されるといったものでもありません。」
頭の思考がゆっくりになっていく。
うまく状況を処理できない。
でも先生は話を続ける。
I「これは何をしたら良くなる、といったものはないんです。」
何もできることはないの・・・?
待って待って。
なんでそんなことになってるの?
頭が追い付かない。
でも、きっと助けられる方法はあるはずだ…
私「22週を超えれば、助けられるんですか…?」
I「22週を超えると、医療処置が行えるようになるというだけであって、助けられるわけではないんです。
22週未満で赤ちゃんが出てきてしまったら、それは死産になります。」
それは、ピヨちゃんはもう助からないって言っているの?
I「こんな風に私たちが心配していても、元気な赤ちゃんを産んでいる人はいるんですけどね。なので今の段階ではまだ何とも言えないんですが。」
そうだ、まだ諦めちゃいけない。
私「今の時点で、赤ちゃんに問題はあるんですか?」
震えそうになる声を絞り出した。
ピヨちゃんは、今までどんなに出血してもどんなにお腹が痛くても、しっかり成長してきた。
今回もきっと「赤ちゃんは大丈夫です。元気です。」そう言ってもらえるはずだ!
しかし、先生の答えは私の頭に更に打撃を加えた。
I「頭の大きさが少し小さいです。」
私「・・・・・。」
言葉が何も出てこない。
16週を超えると、赤ちゃんの大きさは頭、腰回り、大腿部で計る。
この時のエコーでは頭の大きさしか計れなかったのだが、相当週数が2週間程遅れているのだという。
つまり、成長が止まっている、と。
足が震えてきた。
目の奥が熱い。
泣くな、お母さんなんだから!
しっかりしろ!
I「他に、何かありますか?」
もうひとつ気になっていたこと。
先生が脳のエコーを見て「確かに」と言ったこと。
怖い。
でも訊かないと。
私「脳…とかは問題ないですか…?」
I「脳室が少し大きいように見えるんです。」
脳室。脳内にある髄液の流れる空間。
私「大きくなると…どうなるんですか…?」
I「大きくなると、水頭症になる可能性があります。」
スイトウショウ…
聞いた事がある。
命にかかわる、もしくは重度な障害のある症状だったはず・・・
次から次へと出てくる話に、頭がくらくらしてくる。
I「でも今の週数ではまだはっきりとは言えなくて…そう見えるだけかもしれません。」
私「あの…明日、母親学級があって…。」
I「それは行っても大丈夫ですよ。何をしたら良くなるとか、何をしたらダメというものでもないので。
気晴らしにもなると思うので。」
気晴らし・・・?
何もトラブルのない順調な妊婦達に混ざって・・・?
その中で私は笑っていられるの?
楽しみなことがたくさんの人達と一緒に、この先の妊娠生活を見据えられる?
I「旦那さんにも一度お話した方が良いと思うんですが、来れそうですか?」
私「ちょっと相談してみます…。」
I「ごめんなさいね。突然こんな話をしてしまって。
良い話が何もできないんですけど…。
でもEMiさんには話しておかなければならないことなので。」
再び先生は柔らかく笑う。
涙が溢れそうになる。
でも泣いてはいけないと思った。
私はピヨちゃんのお母さんなんだから。
私がしっかりしないでどうするんだ。
私「いえ、お話して頂きありがとうございます。」
笑顔で診察室を後にした。
病室に戻ると姉が待っていた。
姉「診察どうだった?新しいエコー写真もらった?」
わくわくしながら身を乗り出してきた。
もらったエコー写真は私たちが見てもよく分からないものだった。
姉「これどこが頭?」
私「よくわかんない…」
どこまで話していいんだろう…
私「羊水が少なくなってるみたいで…あんまりよくないみたい…。」
それだけ伝えるのが精いっぱいだった。
姉「えー。羊水足せないの?」
私「無理だと思う…。」
その後はどんな会話をしていたか覚えていない。
泣いちゃだめ。
笑わなきゃ。
それだけを思い、時間が過ぎるのを待った。
姉「じゃぁ、帰るね。」
姉に笑顔で手を振った。
姉がカーテンの向こうに消えた瞬間、涙がどっと溢れた。
どうして?
なんで?
どうしてこんなことになっちゃったの?!
なんで一気にこんなことが・・・!
元気に動いていたのに・・・
何度も心音聞いたのに・・・
炎症が治まれば退院できると思っていたのに・・・!
すると、帰ったはずの姉が戻ってきた。
姉「やっぱり泣いてる…。
びっくりしちゃったんだよね。大丈夫だから。泣いたら落ち着こうね。」
我慢してたのに…
見られちゃった…
私「う…うぅ…」
姉に頭を撫でられて、漏れる声を抑えられなかった。
隣の個室では、さっき産まれたばかりの赤ちゃんとお父さんが対面していた。
看護師さんの明るく晴れやかな声。
「おめでとうございます~!元気な女の子ですよ~!
はじめまして~!お父さんですよ~!!」
母子同室の部屋から響く、赤ちゃん達のか細く愛らしい泣き声。
とてもとても遠くに聞こえた。
ピヨちゃん
お母さんのお腹の中、少し狭くなっちゃったね。
でも、それでも
お母さんのお腹の中にずっといてくれたのは
ピヨちゃんも離れたくなかったのかな?
離れたくなかったよ。
ずっと一緒にいたかったよ。
⑱宣告、流産・死産になりますへ続く。