違和感:何か一言、言わなかったの?:全盲女子生徒に対する傷害事件 | パレ・ガルニエの怪爺のブログ

パレ・ガルニエの怪爺のブログ

ブログの説明を入力します。

 全盲の女子生徒に対する傷害事件が報道されています。
 以下、朝日新聞digitalから引用
「JR川越駅前のコンコースで登校中だった全盲の女子生徒が何者かに足を蹴られ負傷した事件で、生徒が通う県立特別支援学校の塙(はなわ)保己一(ほきいち)学園は10日朝、全校生徒らに事情を説明して注意を呼びかけるとともに、登下校時の駅に教職員を配置した。川越署は暴行や傷害の容疑で捜査を始めた。

 学園によると、女子生徒は8日午前7時50分ごろ、白い杖を頼りに点字ブロックの上を歩いていた際、正面から歩いてきた人が杖にぶつかって転倒。その人物に右ひざの裏を蹴られたとみられる。医療機関から約3週間のけがと言われたといい、女子生徒は痛みで実習授業を受けるのも困難な状態という。」

 盲人用の杖にぶつかったくらいで転倒するだろうか、というところにちょっと疑問はあるものの、女子生徒がそう言っているので、相手が転倒した事実はあることを前提とします。
 そうすると、この女子生徒は、自分の杖に誰かがぶつかって転倒したことを認識していながら、「すみません」とか「大丈夫ですか」とかの一言さえ言わずに、そのまま歩き続けたのでしょうか?
そういう一言さえあれば、相手の怒りも静まって、傷害事件などにならなかった可能性が相当あるという気がします。

 盲学校などでは、白杖をついている人がいたら、周りの人が注意すべきなのだから、白杖によって転倒した場合は、転倒する方が悪いということで、そういう場合は、一言も言わずに立ち去ってよいというような教育をしているのでしょうか?
 厳密な法律論としてのいい悪いは、多くの場合は、そのとおりかも知れませんが、社会生活上の礼儀としては、悪い悪くないにかかわらず、「すみません」とか「大丈夫ですか」という一言は不可欠だと思います。
 それは当然の礼儀として、全盲であろうとなかろうと、教えてほしい。
(アメリカ式に、交通事故を起こしたときは、決して謝罪の言葉を口にしてはならないという社会にはなってほしくない。)

 もしこの事件が、全盲の女子生徒からそういう気遣いの言葉をかけられていたのに、それでも自分の白杖に対する不注意を棚に上げて怒りにまかせて、傷害事件を起こすような者だったとしたら、厳重処罰でもかまわないとは思うのですが、その女子生徒が、そういう一言さえもいわずに、今回の事件が起こっているように見え、かつ、それが問題とされていないことにつき、一種の違和感を感じてしまいます。

なお、念のためですが、白杖につまづいて転倒したことで、「蹴り返す」というのは、やり過ぎであり、違法行為であることについては疑問はないと思います。
ただ、私としては、そのような状況のとき、「すみません」とか「大丈夫ですか」の一言があったにもかかわらず、蹴り返すような人は、非常に少ないと思いますので、そのような違法行為が起こることを、できるだけ避けるためにも、常識的な礼儀に基づく一言がもっと行き交うようになればいいのに、と思っています。
 同様の行為の再発防止のためには、犯人を捕まえることと同じくらいに、多くの人が一言を大事にしてゆくことが大切なのではないか、と私は思います。
 もちろん、こんなことの大切さを今更強調しなくても、大体、家庭のしつけがきちんとしている人は、いちいち考えたりしなくても、「ありがとうございました」「すみません」「ごめんなさい」「失礼しました」などが、自然に言えると思いますが。

9月12日付けの補足:
この事件の加害者は、知的障害のある方という報道がなされています。
そうすると、全盲の女子生徒さんの一言があったとしても、無意味だった可能性が相当にあります。
また、知的障害のある方は、相手が全盲でわざと引っ掛けたわけではないということが認識できなかった可能性が相当ありますので、その方を責める訳にもゆきません。
そういう意味では、私が書いたことは、本件には適切ではなく、一般論以上の意味はないものだったことになります。