幕末史/半藤一利さんのことなど | をだまきの晴耕雨読

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ブログを始めて10年が過ぎました。
開始時の標題(自転車巡礼)と、内容が一致しなくなってきました。
生き方も標題もリフレッシュして、再開いたします。

幕末史に興味を持っている大半のかたがたが、「司馬遼太郎」さんの「竜馬がゆく」や「翔ぶがごとく」を読み史実と思い込んでいる場合が多い。

「司馬遼太郎」さんの凄いところは、1%の創作ですべてが事実と思わせるテクニックだと思う。

「半藤一利」さんは、幕末から終戦までの広い分野の史実を、丁寧ながらユーモアのある語り口で教えてくれる。

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そして、歴史とは勝者の記録であり、薩長連合による「明治維新」にしても懐疑的な立場に立っている。これは東京産まれで、「勝海舟」贔屓のせいばかりではなさそうである。

「半藤一利」さんの田舎は新潟県長岡市で、戊辰戦争の際に賊軍とされた「長岡藩」である。子供のころ、帰省するたびに、田舎の祖母から薩長連合の悪口を耳にタコができるほど聞かされたという。

本書に流れているものは、「西郷隆盛は偉人である」「坂本龍馬は最高の日本人である」という世相に対して、「西郷隆盛は毛沢東と同じ」「坂本龍馬には独創性はない」という立場です。

そして、「幕末のぎりぎりの段階で薩長というのはほとんど暴力であった」という「司馬遼太郎」さんの言葉をひき、その暴力が、自分の戦略の都合で、正義と不正義とを区別したにすぎないという。

歴史は一面的にみるのではなく、多面的に重層的にみることを教えてくれる。この本は、慶応丸の内シティーキャンパスの特別講座として、2時間12回の内容をもとにしたものです。

わたくし達は「半藤一利」さんという歴史の語り部を持ったことを喜ばなければならない。


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