「村の鍛冶屋」 | かやくりひblog

「村の鍛冶屋」

母はおよそ音楽とは無縁なのだけれど、文部省唱歌の類だけは好きで、NHKの「みんなの童謡」は好んで見ています。

先日の「村の鍛冶屋」の放送のあと、「文部省唱歌を集めた本、売ってないかね」と言うので、ネット検索をしてなつかしい童謡・唱歌・わらべ歌・寮歌・歌謡 というサイトから約200曲あまりの歌詞をもってきてOpenOffice.orgWriterでA4縦書き2段組にし、A4の無地のルーズリーフに裏表プリント、30穴のA4バインダーに綴じて渡しました。

ところで母がなつかしがった「村の鍛冶屋」は、戦後の音楽教育で歌わされた「あるじは名高い働き者よ」ではなく「あるじは名高きいっこく老爺」と、戦前の歌詞が放送でもこのサイトのものでも紹介されています。

歌詞の3番目は次のとおり。

刀はうたねど、大鎌・小鎌、
馬鍬に作鍬、鋤よ、鉈よ。
平和のうち物、休まずうちて、
日毎に戦う、懶惰の敵と。

これは旧約聖書の言葉とよく似ているとは、誰の言葉だったろう?

「イザヤ書」第2章「終末の平和」の第4節を参照のこと。

文部省唱歌というと軍国主義教育の見本のようなものばかりと思ってしまいがちですが、この歌は明らかに第1次世界大戦後の軍縮ムードを反映しているように思います。

しかも2つを並べてみると、確かに「村の鍛冶屋」の作者はイザヤ書を読んでその影響を歌詞に反映させたと思っても間違いではないと思いたくなります。

NHKの解説では「大正元年」とあったような……。1912年といえば、日本は石川啄木のいう「時代閉塞」の頃ではないか。

たぶん今週も放送があるだろうから、解説を注意して見てみようと思います。