料理と音楽 | ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」

料理と音楽

バンドマンで料理好きな人は数多く、ワタクシ富永寛之も例に漏れず料理が大好きである。

好きすぎてガスコンロを業務用の大口状のものにしてみたり、外国のスーパーで入手した読めない調味料を並べてみたり。ピータンを切らしたことは無いがピーターの「夜と朝の間に」の歌詞はなかなか覚えられなかったり、余談だが。


大好きというだけで決して上手なわけではないのだが挑戦するのが好きなのだ。旅暮らしの多い日常で、たまに東京滞在が続く時にはひたすら台所で過ごしてしまう。地方の一般家庭にお邪魔したときに目にする広大なカウンターキッチンを夢見ながら現実の「旧規格腰痛系」流し台で逆カイロプラクティックを励行する毎日が続いている昨今、昨夜作った料理の模様をお届けします。


エビのトマトクリームパスタ


・頭つきのエビ3匹・・・・安すぎて降参気味の優良スーパー「十字屋」、ワタクシにとっては十字軍みたいなものが近所にあるので行ってみると特大ブラックタイガーが特売だったことからこの料理を作ってみようと奮い立つ。

大体、先に作るものが決まっていて材料を買いに行く行為自体、バンドスコアに書いてあることを練習してから演奏するような気になるので、普段からなるべくスーパー店内をチビ黒サンボの虎のようにバターになるのではないかという勢いでグルグル廻って照準を定めるようにしています。


・タマネギ、ニンジン、セロリのみじん切り・・・・・タマネギと言っても吉本新喜劇のハゲスター室谷信雄の別称ではない。ニンジンは5本入って58円という「それならいっそ金取るな!」という安さで購入。セロリは煮込むと嫌いな人でも絶対に大丈夫だから、スルーせずに必ず加えること。


・トマト缶・・・・・・ここ10年くらいで猛烈に安くなったトマト缶だが、ブランドによって味が結構違い、甘みのあるもの、酸っぱいもの、煮込んでも味が変わらないもの、などなどだが味の傾向をグラフに描いてある訳でもないので迷い道クネクネな諸兄も多いと思うが、ズバリ「見た目」勝負をオススメする。

有名な某ドラマーの名言「ドラムは白!」というのがある。よくレンタル機材のオーダーで機種や、口径を聞かれることがあるそうだがそんな質問を一蹴して「白!」と言うのだとか。機材のメーカーや口径よりも色で気分が変わって音が変わってしまうそうである、これは素晴らしいセンス!。というわけでワタクシは写真に写りこんでいる「緑」。札幌ミンガスコーヒーの便所に何故かいつも転がっているトマト缶と同種である。



ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」


エビをオリーブ油とにんにくで炒める。特に頭の部分を木ヘラで潰しながら炒めるとストレス解消に良い東京砂漠。ブラックタイガー種のエビは火が入ると一気に赤くなって見ていて面白いが、味は「車えび」の方が絶対に良いでしょう。ご存知でない人も多い事実でブラックタイガーは淡水エビで、大きな養殖池という名の田んぼで飼育されるのでザリガニとそう変わらない。


そう思ったのでrebirth brassbandのゴキゲンなニューオリンズトラッドをガンガンにかけて盛り上がってきた。


ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」


盛り上がりついでに、ワタクシの敬愛する石原裕次郎(a.k.a タフガイ)の名曲にもあるブランデーでフランベしてやることにする。


VSOPでないのはご愛嬌、しかし870円は安いよ。
ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」



fire on the bayou
ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」


消火したらみじん切りにした香味野菜を加えて炒める。ここに「ダシダ」を少量(ティースプーン1杯)投入。

韓国が誇る超万能なブイヨン顆粒の「ダシダ」、ビーフ版、煮干版、アサリ版、といろいろあるが、ベースに加えて塩、ニンニク、シイタケなどの風味が加えてあるので用途が広く、パスタは勿論、和食洋食中華、そして韓国料理なんでも使えるのである。







ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」


柔らかくなってきたらトマト缶と水を加えてBGMを聞く。

もうパターンはお分かりかと思うが、「加える」ので「私のハートはストップモーション」で決まりである。これをかなり煮詰めてゆく。そういえば桑江知子さんのラジオ番組にお邪魔したことがあるが、オバサンになってもかわいい人だったなぁと思っている間にシャッフルは見事な歌謡曲オンパレードになってゆく。


鶴田浩二「異国の丘」~来生たかお「セカンドラブ」~ヒデとロザンナ「真夜中のボサノヴァ」~斎条史郎「夜の銀狐」~勝新太郎「愛さずにいられない」~井筒家小石丸「河内十人斬り」~青江三奈「新宿サタデーナイト」。

どうもおかしいとPCを見たらシャッフルではなくワタクシセレクトのプレイリストだった。


ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」


煮上がったらザルでこしてゆく。なんかキッタネ~


ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」

そしてエビトマトソースが出来る。決して充実野菜ではない。


ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」

麺を茹でている間に、ソースに生クリームと塩コショーを加えて整えてゆく。ちなみに煮込みの際の「ダシダ」以外に塩分は皆無なのだが、茹で汁が混じることも考慮して塩はくれぐれも少なめに。
ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」


麺は基本ディチェコの11番。からめて出来上がり!

ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」


エビを使うのにコシてしまったり、特に具がないではないか!?と製作しながら若干思わなくもなかったのだが食べてみて納得、エビの頭の中に入っているミソこそがこの料理の特徴で、ミソのエキスを出し切る為にブランデーがあり、煮詰めたトマトの濃厚さと生クリームの滑らかさを満喫するには具など無用だと食後の感想。


こうやって一生懸命作ったものを一瞬のうちに胃袋に収納して、形はなくなり心だけが残るというのが音楽と似ているような気がして、演奏のない日には台所に立ちたくなるのです。絵は嫌いではないが、音楽や料理のような潔く時間軸と共に形は消える「はかない芸術」だからこそ良いのです。なので録音よりも生演奏、最後の味付けをお客様にしていただくのがライブなのかなと思ったりします。


最高ではない外食以外はイエメシが楽しい。そういえばもうすぐ最高の外食にありつけるブルームーンカルテットの金沢、名古屋公演がございますぞ!どうぞお楽しみに!



●3月22日(月・祝)●
金沢 柿木畠 もっきりや
金沢市柿木畠3-6
http://www.spacelan.ne.jp/~mokkiriya/
tel.076-231-0096
open18:30/start19:00
charge2500/3000(ドリンク別)メール予約も受付中!bluemoonquartet2009@yahoo.co.jp まで!


●3月23日(火)●
名古屋 cafe dufi
愛知県名古屋市中区新栄3-17-11
http://www.hotpepper.jp/strJ000432335/
tel.052-263-6511
出演:ブルームーンカルテット
19:00/20:00
チャージ 3000/3500(ドリンク別)メール予約も受付中!bluemoonquartet2009@yahoo.co.jp


●3月29日(月)● 
ブルームーンカルテット with 牧野竜太郎“Previous feast of the Blue Moon”
「ブルームーン前夜の宴」
モーションブルー横浜
http://www.motionblue.co.jp/ 
開場時間:5:30p.m.
1st開演時間:7:00p.m. 2nd開演時間:9:00p.m.ミュージックチャージ :¥3,675(税込)
お問い合わせモーションブルー横浜 045-226-1919