主席便り | ブルームーンカルテットの「サランヘヨ、神戸」

主席便り

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冨永同志の書き込みにあるとおり、CCOでの講演、そして木村同志
邸での親方と遊ぼうの会の翌日から私はスペイン、パリ視察の旅に出てい
た。
旅の目的はもちろん両国との友好和平条約締結である。

朝早い便で成田を立ち、約13時間のフライトでシャルル ド
ゴール空港着。そこからバルセロナ便に乗り替えてついたのは昼三時すぎ
である。

完全時差ボケでタクシーを拾い、市街へ。

バルセロナは港街で、すぐに山もある。これはつまり私の愛する神戸の街
と同じだ。しかし山肌をよく見ると見慣れない植物や巨大なサボテンがご
てごてと生えており、外国だここは!と感慨も新たに。そういえば、と気
になっていたタクシー内のスメルオブ運ちゃんもこれはつまり洋物であっ
た。

宿泊したホテルガウディは名ばかりではなく、向かいにはすぐにかのアン
トニオ ガウディの建築、グエル邸が目の前の好立地。私の泊まっ
た部屋からはそこの屋上の不思議な形の煙突が目と鼻の先に。

今回のスペイン視察にはバルセロナでの下積みを経て、神戸でとびきりお
いしいスペイン式バルLa Lunaを営むみちおくんに書いてもらった
食べ歩きマップが何よりも有り難かった。

しかしこちらは、とにかく量が多い。2人分が日本の4人分く
らいはあるのではないだろうか。
初日の夜のレストランで注文した、イカスミのパエリア。とてもおいし
かったのだが直径30センチくらいの鍋に入って出てくるのだからたまら
ない。

翌日から観光につぐ観光である。

グエル公園。先のホテル向かいにあるグエル邸とは同じオーナーである。
当時の大資産家グエル氏はガウディ先生の才能にベタ惚れしていたのであ
る。現物の前に立ってじっと見ていると、あまりにすごすぎて時として小
学校低学年の学童のつくる粘土細工のように見えてくる。しかしその細部
にいたる集中力は異様である。

公園で演奏している哀愁の中年夫婦ギターデュオの演奏が曇り空のバルセ
ロナとマッチしすぎ、同業者ということもあり感極まってCDを購
入。

そういえば同じような成り行きで昔、初めて訪れたニューオリンズの、有
名なカフェ デュ モンドで流しのトランペッターから買った
カセットテープ16ドルは、持って帰って聴くと伸び切っていて、ト
ランペットの音がまるでトロンボーンのようになっていたものだ。
しかしこちらは10ユーロとまあ良心的で内容もとても良く、日本に
帰って愛聴している。

夜は旧市街にあったタブラオでフラメンコのショーを見る。

新宿のフラメンコレストラン、エルフラメンコにて思いがけず「本場から
来たフラメンコ一家」のショーに感動して泣いた私だ。

ところがバルセロナにはいいフラメンコは見れない、という話を聞き諦め
半分ではあったが、試しにいって見るとこれがなかなかおもしろかったの
である。

ベテランの女性ダンサーが情感のこもった堂々たる演技をみせたあと、途
中から男のダンサーも絡んでくる。しかしこの男性ダンサー、踊りのほう
はともかく、ルックスが中途半端というかややもっさい。しかしそのキメ
方は自分の口元から薄ヒゲ、そして胸元までをナデ下げつつ婦女に杉良ば
りの流し目を送るというかなりセクシャルなもので、お!これはいったい
どうなのかな、と思っていると、案の定、若い白人女性のグループからは
笑いをかみ殺すような声が。最後は彼が客席におりて来て歌い踊り、客席
にアピールしまくる、というストーリーがまた、とてもおもしろかった。
やがてなぜか彼は歌いながら店のトイレに消えていったのである。

とてもおもしろかったので2日間続けてそのタブラオに行った。
2日目はアルトサックスとジャンべの入った不思議な編成のフラメンコ
で、これはとても良い演奏だった。しかし期待していた彼が出てこなかっ
たのが寂しかったが。

愛する家族のみなさま、スペインにお越しの際にはぜひ、ミロ美術館には
足をお運びあれ。
ミロは面白すぎる。我々が目指すところの面白おじさんそのものである。
ルックスは木村同志の偉大なるパパ、陽一卿にくりそつだ。

あと、サン ジョゼップ市場は必見。その品揃え、血生臭さ、目も
眩むほど鮮やかな野菜の色、迫力満点な店のおっさんおばはん等、スペイ
ンの食文化の根本的な力を感じずにはいられない。

写真はその市場にて。なぜか昔の香港映画のエンディングのような、縦長
だ。