永田よしのりの映画と唄と言霊と  映画批評と紹介記事など  -5ページ目

「ゲゲゲの鬼太郎が令和の時代に発信するもの  その3」

 

「ゲゲゲの鬼太郎が令和の時代に発信するもの/その3」

 

 そのキャラクターが1954年頃に誕生してから、実に70年近くも経ている鬼太郎。
 鬼太郎というキャラクターのアニメ化が、何度も行われているわけだが、そこに他の息の長いキャラクターたちとは少し違うところを見ることが出来る。
 例えば他の息の長いキャラクターたち「ウルトラマン」「仮面ライダー」「ガンダム」らも何度も映像化されているわけだが、それぞれに時代の変化を取り入れつつ映像化されている点は似ているのだが、「ウルトラマン」「仮面ライダー」「ガンダム」らは、「鬼太郎」のようにずっと同じキャラクターを使い続けているわけではないことに気づくだろう。
 「鬼太郎」は、そのアニメーション化において、常に同じキャラクターたちを使い、同じ原作を使って少しづつ変化をつけていることに対して、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」「ガンダム」は、最初の、俗にいうところの初代のキャラクターがずっと使われているわけではないのが大きな違い。
 時代が連綿と変わっていくにつれ、ウルトラマンは兄弟という概念が出来、キャラクターもM78星雲出身ではないものもたくさん存在する。仮面ライダーも1号がずっと使われ続けているわけではなく、極端に言えば1年毎に違う仮面ライダーが誕生してくる。ガンダムも最初のガンダムから全く違う方向付けされているモビルスーツ、モビルアーマーといった具合に、変化し続けて違うキャラクターを産みだし続けている。
 ところが、鬼太郎だけは最初に映像化されてからキャラクターにほとんど変化はない(アニメーションの声優は交替していくのだが)のだ。
 これは鬼太郎というキャラクターに変化を付けるのではなく、製作される時代というものに変化をつけることで、よりその時代の空気感を味付けすることにも繋がっていく。
 現在放送されているアニメーションでも、それは顕著だ。
 以前ならばなかった題材が、オリジナルのエピソードにうまく加味されて実にたくさん登場してくる。例えばSNSや、働き方改革、移民問題、土地問題、老齢化、などの現代社会においての実情的問題もうまくミックスされて妖怪という、人間とは違う〃人種〃と共に地球で共存、共栄するための問題として処理されている。
 そこには〃異文化交流〃という現代文化では避けては通れない問題が多分に描かれていく。
 大人たちは毎日の報道などで、そうした現実社会でのニュースとして普通に知識や情報として理解しているが、子供たちはどうだろうか? 最近は子供新聞や子供ニュースなどでもそうした話題は頻繁に取り上げられているが、大人ほど考える機会が得られているのだろうか? そこを子供が見るアニメーションの中に問題提起のひとつとして混入させていく製作陣の心意気や方向性は、実に評価すべき部分なのではないだろうか。
 ひと昔前は、子供向け番組とされていたものでも、子供がトラウマを抱えるような題材のものが多かった。「スペクトルマン」や「レインボーマン」といった特撮番組では公害や人種差別問題、交通事故、環境破壊などが頻繁に取上げられていたし、「ウルトラマン」にも怪獣は抹殺するべき存在なのか? というヒーロー番組に矛盾した問題提起を何度もしていた。そこで子供たちは色々なことを考え、学んだものだ。
 現在放送されている「ゲゲゲの鬼太郎」も、かつての特撮番組と同じように、子供たちに何らかを考えさせる引っ掻き傷を与えているような気がしてならない。(その4に続く)

 

「ゲゲゲの鬼太郎が令和の時代に発信するもの/その2」

 

「ゲゲゲの鬼太郎が令和の時代に発信するもの/その2」

 

 さて、最近はテレビアニメーションは、ひと昔前のように最低2クールの放送をする、という時代ではなくなった(1クールとは3カ月の期間で13回放送が基本、2クールとは26回のこと)。
 今や1クール放送が基本(作品によっては13~26回放送してから半年~1年の期間を空けて、続きを放送するというやり方も定着してきているようだ)、それでいて3カ月ごとに2~30本の新作アニメーションが製作・放送されている現状。それも以前のように夕方や夜7時台の放送はほとんどなくなり、夜中か早朝に放送されることが多くなっている。
 それはアニメーションというものを支持する層が、子供か夜中まで起きている青年以上の層に明確に分かれてきているからだろう。
 現在ではほとんどのアニメーションは、子供のために大人が様々なメッセージを込めて製作する時代ではなくなったようだ。
 現在放送中の「ゲゲゲの鬼太郎」の放送は日曜日の朝、これはしっかりと子供向けに作られていることを意味する。
 それでも大人が観ても、どこか心にひっかかるエピソード作りをしているところが心憎い。
 放送されているエピソードは、もちろんコミック版の「ゲゲゲの鬼太郎」(昭和40年代に『少年マガジン』に掲載されたオリジナル)をなぞっているものも多いが、平成から令和の時代を映したエピソードも独自に盛り込まれている。
 子供心に名作、快作、怪作として記憶しているエピソードも、多々あるので、それらは現代風にアレンジして使用されている。
 第57話放送作品の『鮮血の貴公子ラ・セーヌ』には、原作マンガの『少年マガジン』(昭和40年8月1日号)第1回掲載のエピソード『手』に登場するラ・セーヌとその子分マンモスが同名で登場する。『手』ではフランスから日本で吸血事件を起こすラ・セーヌが邪魔物の鬼太郎を抹殺するために策を弄するのだが、鬼太郎の遠隔操作の手首に返り討ちに遭ってしまう物語。アニメーションでは手首だけが戦う画面には現代的にしづらかったのか、チャンチャンコが手首と同じ戦法でラ・セーヌたちを倒すように変更されていた。
 このように昭和の時代と令和の時代では、その描写に様々な変更が成されるのは致し方がないところなのだろう。それもコンプライアンスと呼ばれるものの弊害だと考えるのだが、そうした障害があるゆえに、原作をよりブラッシュアップ出来ることにも繋がることが想像できる。
 現在放送中のアニメーションでは、最近のアニメーションでは珍しく、2年間の放送が決まっているらしい。
 原作から取り上げられたエピソードも多く、『見上げ入道』『電気妖怪』『幽霊電車』『妖怪獣』『牛鬼』『妖怪大戦争』『白山坊』『さら小僧』『おどろおどろ』『泥田坊』『吸血鬼エリート』などなど。原作とは全く違った構成で見せるものもあるが、基本的なラインは生かされて新エピソードが作られているのが分かる。
 まだまだ原作で描かれていない作品は多く、今後の1年間でどのエピソードが取り上げられるかが楽しみなところ。
 個人的には『笠地蔵』『おばけナイター』『人食い島』『雪ん子』『陰摩羅鬼』『血戦小笠原』『朧車』『妖怪大統領』『ひでりがみ』『妖怪反物』『大海獣』あたりのエピソードを映像化してもらいたいと願うところ。
(その3に続く)
 

 

メダカの稚魚も順調


別飼育中のメダカの稚魚たちも順調に生育中。

メダカ 順調に生育中


陽気も良くなり、我が家のメダカたちは順調に生育中。卵を産み続けている。稚魚はすでに50匹以上が孵化。

「ゲゲゲの鬼太郎」が令和の時代に発信するもの・その1

 

「ゲゲゲの鬼太郎が令和の時代に発信するもの/その1」

 

 現在、日曜日の朝に放送されている(2018年4月より放送開始~継続中)アニメーション「ゲゲゲの鬼太郎」は、最初のシリーズ放送が昭和43年/1968年のこと。今回で実にテレビアニメとしては第6期目となる(SP版は数えず)。
 そもそも「ゲゲゲの鬼太郎」が初めて表舞台に登場したのは、あの「ゴジラ」公開と同じ1954年。最初は民話の「子育て幽霊」を脚色した紙芝居「ハカバキタロー」(原作・伊藤正美)が基であった。それを作者に承諾を得たうえで水木しげるが紙芝居物語として描いたもの、それが「墓場の鬼太郎」なのだ。
 その後、貸本時代で何本もの「鬼太郎」がシリーズとして描かれたが、メジャーとなったきっかけは1965年に『少年マガジン』紙上に「墓場の鬼太郎 手」が読み切りとして掲載されてからだろう。『少年マガジン』に不定期読み切りとして掲載されてはいたものの人気は出ず、陽の目を見るのは東映で「悪魔くん」が製作・放送され人気を得てからのこと。実は「鬼太郎」よりも「悪魔くん」の方が先に人気作品となっていたのだ。
 「墓場の鬼太郎」が正式連載となったのは1967年のこと。そして「ゲゲゲの鬼太郎」と改題されたのはの11月、大人気となった「ゲゲゲの鬼太郎」は、1968年からテレビアニメ化され65話が放送された。そこからの人気は50年を経た現在まで連綿と続く永遠不滅のコンテンツとなった。
 ちなみに第2期は1971年~72年全45話、第3期1985年~88年全108話、第4期1996年~98年全114話、第5期2007年~2009年全100話となっている。
 原作者の水木しげるは2016年に逝去。原作マンガが最後に描かれたのは2013年の「妖怪小学校」。つまり今後も「ゲゲゲの鬼太郎」にアニメーション新たなシリーズが作られても、そこに水木しげる原作の作品は増えてはいかないことになる。つまり現在放送されている第6期テレビアニメーション「ゲゲゲの鬼太郎」では、水木原作の物語を使いつつ、2000年代の現在だからこそ描けるテーマを内包しつつの展開が見られているのだ。次回からはそんな「ゲゲゲの鬼太郎」に描かれる妖怪と人間との共存、共栄、種族としての戦い、作品に内包される様々なテーマと放送時期の時代とのリンク性などを掘り下げていくことにしよう(その2に続く)。
 
 

 

我が家の桜も開花


まだ小さい樹木だが、我が家の桜も開花した。
薄いピンク色の花が可愛いらしい。
寒さがぶり返す日があるのが、可哀想だ。

上野の桜は五分咲き


帰り道すがら上野公園に。桜はまだ五分咲きくらい。今週末を経て満開になることだろう。

庭の桜


庭の桜が咲き始めた。薄いピンク色。この週末からは一気に咲き始めそうだ。

柏 佐野ラーメン翔稀に


車の点検の合間に歩いて、佐野ラーメン翔稀に。
麺は細めの手もみ縮れ麺。

小川町のつじ田で


神保町のコミック高岡で一冊購入した後に、小川町までブラブラ。
久しぶりにつじ田でつけ麺を。