魔夜峰央タロット、もうすぐ発売!

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説話社さんから出る魔夜峰央タロットカード。本当にとても楽しみ!昔と比べてどうなっているか気になって夜も眠れません(笑)きっと素敵なものになっている事でしょうね。印刷もかなり大変だったのではないかと。

詳細はちえの樹さんのBlogでどうぞ。
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二人の神様は夜明けを待っていました。月の神様と星の神様です。

「ふむ、そろそろかな」

「そうですね」

朝を知らせる一番鶏が鳴き、日の出が始まりました。ここは太陽の神様が一番力をいれる部分です。美しい朝の光をみんなに届けるためです。

「月の神様に星の神様じゃないか、どうしたんだ、修行か?」

太陽の神様が二人に尋ねました。神様といえども全員、更なる高みを目指して日々修行を積むこことを自らに貸していましたから、このように尋ねたのでしょう。

「いえ、今は修行ではなく、太陽の神様を待っていたのです」

「私に用事があるのか?」

「結婚する相手ができたので」

「誰だ」

「いやーそれがね、人間の王女様なんだよ」

脇から星の神様が口を突っ込みます。

月の神様は一言も言えないまま二人で話が始まってしまいました。

「ほら、あの王国の」

「夜空色の瞳の一族か。悪くないと思うぞ」

ここでようやく月の神様は言いました。

「夜空色の瞳の王女様です。とても聡明な方ですよ。一度太陽の神様と星の神様に会わせたいと思いまして、こうして待っていたのです」

「連絡ならいつもの梟でいいものを。まぁ月の神様はまめな性格だからな」

太陽の神様が笑った後には、朝の光が溢れていました。生命力などもこの神様の担当なので、新しく人間や動物の魂となる存在が産み出されていきます。

魂が地上におりたのを確認したあと、太陽の神様は言いました。

「明後日の夜なら都合がいい」

月の神様は微笑しました。自分の意見を堂々と言う太陽の神様とは正反対の性格ですがどこかうまが合い、仲良くしてきたという友情の歴史を思ったからです。

「王女さまに明後日の夜に予定があるかどうか聞いてみますよ」

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初めてのキスのあと、なんとなく二人は手を繋いでいました。口に出すのも恥ずかしいのもあり、王女様は、嬉しいですわの一言しか言えませんでした。色々語りたいのになぜこうも言葉に出来ないのか。でも態度からは十分に月の神様には伝わっていました。月の神様は、優しく王女様を抱きしめました。

「何故か色々お話ししたくなりますね」

その言葉にホッとして王女様は言いました。

「私もです。初めての口付けがあなたで良かったです」

そう言って微笑みました。ようやく緊張がとれたのかなと月の神様は思いました。私も緊張しましたけどね、と言いたいけどそこは言うべきではないので、他のことを月の神様は言いました。

「今度、星の神様に紹介したいのですが、よろしいでしょうか?」

「ええ、、勿論」

「太陽の神様にも来て頂こうと思っています。軽いお披露目といった感じなので気さくな気分でいて頂けたらと思います」

「まぁ、そんな豪華なメンバーなら、思い切ってお洒落しないと。私のマナーなども再度見直しますわ、失礼があってはいけませんもの」

「あなたなら大丈夫ですよ」

月の神様にそう言われて王女様はホッとしました。でもうまくできるでしょうか、何しろ相手は神なのです。緊張することが多そうです。月の神様が引き合わせようとしているのはお披露目の準備の一つなのかなと感じました。お姫様は、正装していくか、それに近い姿で行こうと決めました。服選びが大変そうですが、なんとなかるでしょう。

 

風も冷たくなってきたので二人はそろそろ帰ることにしました。

「今日は幸せな気持ちで眠れそうです」

王女さまにそう言われ、月の神様は微笑みました。小声で私もです、と告げ、雲の上でお姫様を抱きしめました。王女様の髪からは薔薇の香りがします。王女様がお生まれになったときに祝福の薔薇を月の神様は贈ったのですが、その薔薇の香りに少し似ていました。

「この香りはあの薔薇に似ていますね」

「ああ、この香りはあの薔薇をイメージしてもらった香水なんですの。調香師に来て頂いてなんども打ち合わせを兼ねた物ですわ」

「いい香りですね。私も好きになりました」

「それなら今度薔薇園に行きませんか?沢山の薔薇が見られて楽しいところです」

人間に変身しなければなりませんね、と月の神様は言いました。

「そうですね」

二人は顔を見合わせて笑いました。一緒に出かけることがとても嬉しかったからです。

 

王女様を部屋まで送り届け、おやすみのキスをしたあと、月の神様は星の神様がいつもいるところに行きました。

「やあ。可愛い恋人とはうまくやっているかい?」

星の神様が話しかけてきました。

「順調です。ところで今度、王女さまにあなたと太陽の神様を会わせたいのですが都合はいつごろなら……?」

「僕はいつでもいい。太陽の神様の都合にあわせよう」

「そうですね」

太陽の神様が三人の中では一番忙しいので、そうすることに同意し、月の神様は言いました。

「太陽の神様にも納得して頂ける素敵なレディだと思います」

「君、そういうのは惚気というのさ」

「そうですかね?」

「うむ、そうに決まっている」

星の神様は大笑いしました。その笑いからもまた星が生まれていきます。器用に星の神様は綺麗な形の王冠を作り、夜空に投げました。

「あの星を見ると、どんな時でも今夜のことを思い出せそうだな」

「また綺麗なものを作りましたね」

月の神様は感心しました。

「まぁこういうのは得意だからねぇ……君から聞いた話が余りにもなんで、素敵な王女様を象徴するような王冠にしたのさ」

そんな星の神様に月の神様は彼なりの祝福を感じ取りました。

「有難う」

「いいさ、気持ちの問題だ」

そういって二人は朝までのんびり話をしていました。太陽の神様が起きて天上に太陽を出したら話をするつもりです。今夜は長い夜になりそうでした。

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月の神様と王女様は祝福を受けたペンダントを服の下にしまいました。秘密にしておきたいこともありますから、それでいいとお互い思っていたのです。

 

森の住民にお礼をいい、二人は再び湖のほとりにいました。

王女様の心は揺れていました。神様としてなら何の問題も起こらないのに、自分の恋人だと思うと、……どこか恐れ多い気がします。それにあまりにも美男子だったことに気がついて、相手が素敵な男性だと意識し始めていたのです。

それは月の神様も同じで、こんなに素敵な女性がいるのだなとつくづく感じていました。王女様は非常に気品があり、美しく賢い。ただ、今度の神官としての勤めはやや気になりました。素敵な男性もいれば、王女様を強引に口説きそうな人にも心当たりがあります。色々考えていた結果長く黙っていたので王女さまは少し不安な気持ちになりました。今までこんな事はなかったからです。

「月の神様、どうなさったんですの?」

「あ、すいません、色々考え事をしていて。神官勤めをしているときにあなたを好きになりそうな男性が幾人か浮かんだので、どうすべきか考えていました」

隠してもしょうがないので正直に月の神様は言いました。

「あなたが心配なのです」

「私には他の男性はいりません。あなただけで、いいのです」

そういって王女様は月の神様に抱きつきました。月の神様はゆっくり王女様を抱きしめました。

「心から愛しています」

月の神様はそう言い、王女様の瞳をじっと見つめました。王女様も月の神様を見つめました。澄み切った素敵な色合いの瞳に心惹かれます。

「私も愛しています」

王女様が微笑んだので、月の神様は嬉しくなりました。瀟洒な月の神様の指先が王女様の口唇をなぞります。月の神様の顔が近づいたときに、王女様はドキドキしながら目を閉じました。口唇に柔らかいものがふれ、心が温かくなります。それが離れた後、ゆっくりと王女さまは目をあけました。

「嬉しいですわ」

「有難う。私も嬉しいですし幸せな心持ちです」

初めてのキスをするのに恋人達の湖は最適な場所だったかもしれません。

 

<続く>

森の奥まで月の神様と王女様は歩いてきました。動物たちも少しですが起きていました。ライオンが話しかけてきます。月の神様が王女様の耳にも分かるように魔法の力を使いました。

「聞こえるかい、若い王女さま」
「まぁ!本当にライオンの声が聞こえるわ。初めまして。ライオンさん」
「初めまして、王女様。月の神様も久々だね」
「そうですね、ご無沙汰しています」
このライオンは長生きで森の長老ともいうべき存在です。ライオンが一声うなると、森中がざわざわ。色々な動物たちが森の奥までやってきました。
「まぁ、こんなに沢山の動物さんがいるのですね」
「ここは住民が多いんだよ、王女様。儂らからも祝福を送るよ、月の神様、王女様。おめでとう」
ライオンがちらりと目をやると梟が飛んできました。嘴には青い石のネックレスを二つ、持っていました。妖精が囁きます。
「お二人にとおもって私たちが作ったんだよ」
「妖精と動物の加護があるモノだよ」
「素敵。そんな大切なものを頂いていいのかしら?」
月の神様に視線をやり、王女様は尋ねました。回答はすぐきました。
「有難く頂いておきましょう、王女様」
お揃いになっているのが二人には非常に嬉しく、森の全ての生き物や妖精たちにお礼をいいました。それを聞いて皆も嬉しそうにしています。
素直な性格のせいか、王女様はどなたにも慕われるようですし、好感をもたれるようです。動物たちの中で王女様の肩に乗っているのは栗鼠でした。小鳥もそばにいます。

皆にお礼をさせてね、と王女様は話し、歌を歌い始めました。非常に澄んだ歌声で、月の神様は目を閉じて聞きました。最初に王女様に関心を持つようになったのは澄んだ歌声だったのです。神へ捧げる祈りの歌が非常に素晴らしく、そのあとずっと成長を見守ってきました。

やはり私が愛するのは、この人しかいない。そう月の神様は確信しました。星の神様にもいずれ会わせようと考えていました。その時は太陽の神様も呼ばなくてはなりません。ついでにもう縁談はいりませんと言っておかないといけませんね、と月の神様は心の中で呟きました。

王女様の歌が終り、妖精も動物も喜んでいます。この歌は皆に最高最善の事が起こりますようにと言う祈りの歌でした。月の神様は微笑しました。皆に最高最善の素敵な事をおくらなければなりませんね、と心の中で思いました。

「歌を歌うのは好きですか?」
「ええ、私は歌が大好き。ダンスより歌の方が好きですわ」
「今度色々な歌を聞かせて下さいね」
「ええ、勿論です」
王女様の微笑みに月の神様の心が揺れます。余りにも純粋であたたかいものだったからです。どんどん王女さまに惹かれていく自分を感じました。
「私はあなたの歌を全部聞きたいですね。いつか色々な歌を歌って下さい」
「はい。勿論ですわ」

<次回へ続く>