エイジ780

タイムマシンの燃料がそろそろ溜まりそうな頃、ベジータは時と精神の部屋から戻って寝室で着替えを済ませていた。そして、ブルマは戻ってきたベジータに声をかけた。



ブルマ 「ちょっと、ベジータ。なんか、私に言いたい事あるでしょ!」

ベジータ 「なんだ、どういう意味だ?」

ブルマ 「昨日、みんなが集まった後くらいから私を避けてる」

ベジータ 「そんな事はない。それに俺にとってはもう随分前の事で覚えてなんかいない」


ブルマ 「そりゃあ、そうよね、すぐに精神と時の部屋に行っちゃったんだから。でも、おっきいトランクス、置いてきちゃった事でヤキモキしてるのはわかるけど、あんまり無理しないでよ」

ベジータ 「無理はしてない」

ブルマ 「それなら、いいけど。あんまり自分一人で抱え込まないで。孫くんもいるんだし」

ベジータは内心舌打ちをしていた。

ベジータ 「知るか!」

ブルマ 「時と精神の部屋でパワーアップしてきたのはわかるけど、無茶だけはしないでよ。いざとなったら孫くんが魔封波であいつら封じ込めてくれるんだから」

ブルマはベジータが何を苛立っていたのか、氣付いてないらしく追い打ちをかけた。

ベジータ 「おい、ブルマ、貴様は誰の妻だ?」

ブルマ 「え?、あんたに決まってるじゃない」

ベジータ 「それでよく未来から帰ってきてからカカロットの名ばかりいいやがって」

ブルマ 「だって、孫くんは・・・」

ベジータ 「俺じゃ無理だと思ってるって事だろ」

ブルマ 「え?」

ブルマは迂闊にもベジータが悟空に対しての嫉妬心を煽っていた事に今更ながら氣付いたのだった。

ベジータ 「貴様は最終的にはカカロットがなんとかしてくれてると思っているだろ。夫の俺じゃなくあいつの方を信頼しているんだ、未だに」

ブルマ 「そ、そんな事じゃないわよ」

ベジータ 「確かにそうだな。俺はいまだにあいつには勝った試しがないからな。そういう意味でも俺はブラックに貸しを返す必要があるんだ。絶対に。今度こそは息の根を止めてやるから」

 

どうやらベジータは精神と時の部屋でかなり無理してレベルUPを計っていたようだった。

ブルマ 「だから、そうじゃないっていってるじゃない」

ベジータ 「ほう、何が違うんだ?」

ブルマ 「私はあんたに無茶してほしくないだけよ。私がベジータがなんとかしてくれるって言ったらあんた絶対に命かけて向かって行っちゃうじゃない」

ブルマの言った事は確かにそうかもしれなかった。ブルマの願いなら自分の命を引き換えても敵に挑みそうだった。



ベジータ「・・・」

ブルマ 「私、ベジータ、誰よりもあんただけは失いたくないのよ。そんな事もわかんないの?もう、あんな想いは懲りごりなのよ!前回だって瀕死寸前だった!もう2度と死んで欲しくないのよ!!!」

ブルマは涙声になっていた。

ベジータ 「・・・ブルマ」

ブルマ 「私はあんたの命以上に大切なものなんてないのよ」

ベジータ 「・・・なめられたものだな。俺はそんな簡単に殺られるほど柔じゃない」

ブルマ 「じゃあ、約束して。私の為にも必ず生き残って。ヤバそうだったら逃げて。そしてまたリベンジすればいいのよ。命だけは大切にして」

ベジータ 「負けなきゃいいんだろ?」

ブルマ 「そうよ」

ベジータ 「俺を信じろ」

ブルマ 「信じられないわよ。あんた、いつだって一生懸命過ぎるのよ。本当に出会った頃から死んじゃうんじゃないかなってギリギリのラインまでやるからいつだって見てられないのよ」

ブルマはベジータの腕をつかんで涙で溢れていたのだった。

ベジータ 「泣くな・・・」

ベジータはブルマを引き寄せ抱き締めていた。


ブルマ 「妻をこんなに心配させておいて・・そんな私がベジータがなんて言えるわけないじゃない」

ベジータ 「・・・だからと言ってカカロットの名ばかり口にするなよ」

ブルマ 「妬かなくても私は貴方だけのものよ」

そして二人のわだかまりが溶けていくように二人は口づけをしていた。

それは互いの愛情が深い事を悟った瞬間でもあったのだった。