エイジ780

 

ウイス 「ブルマさん、すみません。孫悟空さん、近くに居ませんか?」

 

突然、ブルマの元にウイスからの通信が入った。

ブルマ 「あ、ウイスさん。今、ちょうど隣にいるわよ。孫くん、ウイスさんからよ」

 

ウイス「あら、それは良かったです」

悟空 「ウイスさん、どうした?」

ウイス 「今から瞬間移動でこちらに来てください」

悟空 「ええっ!!、今からか?」

ウイス 「急を要しますので今すぐですよ」

悟空 「まいったなぁ・・・ブルマ、タイムマシンはまだでぃじょうぶか?」

ブルマ 「もう少し時間がかかるから、少しの間なら大丈夫よ」

悟空 「わかった!なら、ちょっくら、行ってくっから、待っててくれよ。ブルマ」

ブルマ 「はいはい、わかったわよ」

そういうと、悟空は瞬間移動で消えていった。



トランクス 「・・・悟空さんもやたら忙しそうですね」

ブルマ 「・・・ウイスさん、一体、なんの用事だろう」

トランクス 「あ、母さん、俺、タイムマシンの修理、手伝いますよ」

ブルマ 「あんたはゆっくりと休んで休養取りなさい。未来に戻ったら休む暇なんてないんだろうから。それに、今のベジータの手合わせで結構疲れたんじゃないの?」

 

トランクス「そうですね、父さん、俺に本氣で向かってきてくれたから・・・」

 

ブルマ「いきなりブルーなんて・・・ちょっとは手加減すればいいのに・・・大人げないんだから」

 

トランクス「俺、むしろ嬉しかったんです。父さんが本氣で俺を息子として向き合ってくれて・・・」

 

ブルマ「そうなんだ・・・前もね、うちのトランクスに一発当てたら遊園地連れて行ってやるなんて約束したのよ。息子に対する接しかた、変わんないんだから」

 

トランクス「へー、それで、遊園地とか行ったんですか?」

 

ブルマ「あら?一発当てれたと思ってるんだ」

 

トランクス「え?なんとなく・・・そんな氣がしたので」

 

ブルマ「そうよ。家族旅行に変更したけどね・・・ああ見えて約束は守る人だから・・・」

 

トランクス「じゃあ、俺も一発当てる前に約束しておけば良かったな」

 

ブルマ「あら、遊園地、行きたかったの?」

 

トランクス「いや、さすがにそれは・・・」

 

ブルマ「そうよね。小さいトランクスじゃないものね。で、何、約束したかったの?」

 

トランクス「そうですね・・・でも、もう約束しなくても叶えられましたから。それに父さんも未来へ一緒に来てくれるし・・・ブラックを倒す目的さえなければタイムトラベルみたいなものです」

 

ブルマ「あら、そうか。じゃあ、その前にゆっくり休んで」


トランクス 「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらいます。母さん、ラボ迄、送りましょうか?」

ブルマ 「あー、いいわよ。ちょうど休憩に入ったばかりだから、ゆっくりと散歩して戻るわ」

トランクス 「でも、あ・・・」

 

 

トランクスは近くで微かな氣を感じた・・・

 

 

トランクス「・・・はい。じゃあ、また後で」


 

トランクスは客室の自分の部屋に戻っていった。トランクスは背中越しにベジータの抑えた氣を感じていたのだった。


トランクス 「ここの世界じゃ本当にもう二人とも仲いいんだな。あの当時の父さんを考えると信じられないくらいだ・・・ここに来れて本当に良かった。父さんも俺のこと、本当の息子として認めてくれて・・・」

トランクスにとって本当の親子のように父と接したかった・・・その願いはすでに叶っていたのだった。





ブルマ 「ベジータ、いるんでしょ。ラボまで連れていってよ」

ベジータ 「・・・ちっ!」

少し離れたところで空から様子を見ていたベジータは地上に降りた。


ベジータ 「さっきはなんだ?」

ブルマ 「さっきって?」

ベジータ 「何故、お前がカカロットと一緒にここにくる必要があるんだ」

ブルマ 「え、だって孫くん、有無を言わさず・・・」

ベジータ 「変な所、触られなかっただろうな」

ブルマ 「やだ、大丈夫よ。それに孫くんだし・・・」

ベジータ 「だからだ。お前はあいつに氣を許しすぎだ。いくら幼なじみとはいえ、さっきのウイスとの通信だってカカロットと近づき過ぎだ」

ブルマ 「それって・・・」

ベジータ 「氣に入らん!」

ブルマ 「妬いてるの?」

ベジータ 「ああ、そうだ。・・・だから、なんだ?」

ブルマ 「否定しないんだ」

ベジータ 「もうこんなこと、言わすな」

ベジータはブルマにキスをした。



ブルマ 「今日はトランクスに稽古つけたり、俺の息子なら誰にも負けるなっていったり、孫くんに焼きもち妬いたり、いきなりキスしたり・・・」

ベジータ 「・・・未来の世界に行ったら、どうなるかわからんからな」

確かに、未来に行ってからタイムマシンに何かトラブルがあったら、ブルマが既に居ない未来では、戻って来れる保証は何処にもないのだ。
旅立ったら、そのまま永遠の別れになる可能性も否定出来ない。


ブルマ 「ベジータ・・・」

ベジータ 「だが、ブラックを倒したらすぐに戻ってくるから、大人しく待ってろ」

ブルマ 「もうすぐ・・・二児のパパになるんだからどんなことがあっても帰ってきてね」

ベジータ 「ああ、当たり前だ」

二人はお互いの目を見つめていた。ベジータは力強い逞しい腕で、ブルマの身体を引き寄せた。

そして自然に互いの顔が近づき、唇が触れあった。

何度も触れては離れて、角度を変えては絡み合い、お互いの湿った熱を帯びた舌が口の中に奥深く交わり、息が出来ないほど激しく全身に伝わっていた。

思わずブルマは腰から砕けそうになるくらいベジータのキスを熱く感じていた。


ベジータはブルマの頬に右手を、ブルマの腰に左手を置いていた。ブルマはそのベジータの手に手を重ねていた。互いの頬は上昇して紅色に染まっていた。



ブルマ 「キスだけなのに」

ベジータ 「・・・確かにな」

まだ名残惜しい氣持ちを抑えてブルマはベジータから離れた。

ブルマ 「もう、戻らないと・・・」

ベジータ 「そうだな。続きは帰ってきてからだ」

ブルマ 「じゃあ、早く帰って来てね」

ベジータは何も言わず、ブルマを抱えるとラボの前迄飛んで下ろした。


ブルマは最後のタイムマシンの作業に取りかかったのだった。



タイムマシンが完成したころ、悟空も戻って来て3人はタイムマシンに乗り込んで未来へ向かった。

ブルマ 「ベジータ、孫くん、トランクスをよろしくね」


 

・・・そして無事に帰って来てね・・・ 


ブルマは祈るような氣持ちで見送っていた。

 

自然とブルマはさっき触れ合った唇に触れていた。