サトシヒメ(番外編Ⅲ)#11 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

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J事務所所属、気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります

 

 


俺達は秋の京都をゆっくりと散策した後
丸山が抑えてくれていた旅館へと向かった

 

その旅館は観光客で賑わっている地域から離れた場所にあって
俺達がたどり着いた時間には古都の静けさを取り戻していたんだ

 

予定より少しだけ遅くなってしまった俺達だったけど
その旅館の人達は手厚く出迎えてくれる

でもその場にいた人達はある一点に視線を集めていて
皆同じように眼を見開き頬を染めていた

 

そう、その旅館の主はもとより
訪れるお客さんを接客していた従業員も、その場にいたお客さん達も
皆、俺の一歩後ろで静かに立っている貴方の姿に見惚れていたんだ

 

。。。。。。。。。。。

 

 


     -櫻井様でございますね、お話はお伺いしております 
       すぐ、お部屋の方へご案内させて頂きます・・・ -

 


そんな皆の様子に慌てて出迎えてくれた旅館の主人は
俺に向かってそう言いながらお辞儀をすると
綺麗に磨かれている廊下をゆっくりと歩き始めた

 

 

 

ふと横に広がる庭を見ると
一面に敷かれた玉砂利が見事な波紋を描いていて
赤や黄色に染まった紅葉の小さな葉が所々に落ちているのが見て取れる

 

 

前を行く主人は俺達の歩くスピードを確かめながら
その庭に掛かっている赤い橋を渡り始めた

 

 

「・・・??」

 


俺は自分達が何処へ向かっているのか知りたくなって
スッと目線をその先へと動かしてみる

 

どうやら丸山が押さえてくれた部屋は

この旅館唯一の”離れ”のようだ

 


「もしかして俺達の部屋は”離れ”・・ですか?」

 


     - へぇ・・丸山の若旦那はんが”是非に”と・・・ -

 

 

「どうして・・?」

 


     - あぁ・・、そのお部屋にはこの宿唯一の露天風呂がありましてな・・・

        ちょっと狭いですけどでも誰に気兼ねすることなく
        のんびり過ごす事が出来るようになっとるんどす -

 


「なるほど・・露天風呂ですか・・」

 


     - 今の季節は最高に気持ちいいですよって是非どうぞ・・
        あ、先に届いていた荷物は既にお部屋の方へと運んでおりますさかいに
        何も心配しなくても大丈夫どす・・
        舞妓はんのお着物も私どもがキチンと後かたづけさせて頂きます・・ -

 

 

「ありがとうございます」

 


      - いえいえ、こちらの方こそありがとうございます
        こんなべっぴんさんの舞妓はん・・目の保養になりましたわ・・
        旦那はんもとてもご立派で・・まさに”美男美女”でおますな(笑)-

 


「あはは・・。”美男美女”ですか・・嬉しいですね」

 


      - ふふっ。あぁ・・お待たせいたしました・・どうぞこちらへ・・-

 

 


「ありがとう・・」

 


俺達の前を歩いていた主人は離れの格子戸を横へと静かに引き
先に自分から部屋の中へと入るともう一枚あった襖を開け
俺達を部屋の中へとそっと促してくれる

 

そして俺達が自分の前を通り過ぎたのを確認した後
深く一礼をしてから襖と格子戸を閉じ
再び赤い橋を渡って母屋へと帰って行くのが

部屋の中から見えた・・

 

 


。。。。。。。。。。。

 


部屋に入ると置屋の女将さんが用意してくれていた
化粧落とし一式や頭に被ってかつらを乗せる台なども準備してあって
それを見た智くんは心なしかホッとした表情を見せていた

 

 


     「ふぅ・・・」

 


「疲れたね・・大丈夫?」

 


    「うん、ちょっと疲れたね・・でも楽しかった♪」

 


「そうだね・・俺もスッゲー楽しかったよ
 知ってた?貴方外国の人達にたくさん写真撮られてたの」

 


    「うん、知ってた(笑)
     でもここまで完璧なお化粧してたら絶対わかんないよね
     だから別にいいかなと思ってたんだ・・
     それに翔くんがずっと笑顔だったし・・・んふふっ」

 

 

「え?俺?」

 


     「うん・・気が付かなかった?
      翔くんね置屋を出てからずっと嬉しそうに微笑んでたんだよ?」
      

 

 

「そうなの?全然気が付かなかった・・」

 

 

     「んふふっ♡だから水を差したくなかったの・・
      おいらも翔くんの笑ってる顔を見ると嬉しし、幸せな気持ちになるから・・」

 


「智くん・・・」

 

 

     「違うもん・・。今は”智奴”♡」

 


「あ・・そっか・・ふふっ♡
 じゃせっかくだから”智奴”にお酌でもしてもらおうかな?」

 


     「へぇ・・(笑)おおきに・・」

 


「ふふっ・・京都弁お上手♪」

 

 

     「んふふっ♡」

 


俺は部屋に備え付けてあった電話で
簡単な料理と日本酒を注文する


すると電話を切って僅か10分後には
粋な器に入った小鉢が数種類とお酒が運び込まれた
しかもお酒に添えられているのはお猪口ではなく赤い盃だ

 

 

 

俺は窓の外に広がる庭を眺めながら智くんと並んで座り
智奴が注いでくれる酒をゆっくりと味わう・・

 

ふと隣を見ると智くんは俺が注いだ酒を飲もうと
俺よりも一回り小さな盃を両手に持っていた

 

 

コクリ・・・

 

 

と貴方の細い首筋で小さな喉仏が動く・・

 


俺はその姿を見ていると何故か急に切なくなって
酒を飲みほしホッと一息ついている貴方の細い肩をそっと引き寄せた

すると貴方は俺の肩に身体を預けクタリと凭れ掛かってくる

 


「智・・・」

 


     「ん?」

 

 

「愛してるよ・・・」

 


     「うん、おいらも・・翔くんを愛してる・・」

 


俺は貴方からのその返事を聞いた瞬間
一気に目の前が滲んで胸が苦しくなった

 

 

何故だか分からない・・

 

 

でも貴方の事を考えるだけで
胸が痛くて苦しくて・・

 


気が付けば自分の方をポロポロと涙が零れ落ちていた

 

そんな俺の姿を見た貴方は

心配そうに俺の方を覗き込んできてくれる

 


「・・・・っく!」

 

 

     「???どうしたの?」

 

 

「分かんない・・でも涙が・・・」

 


     「翔くん・・・?」

 

 

「ごめ・・どうしたんだろ・・」

 


     「・・・・・・・」

 

 

すると次の瞬間、
膝立ちになった貴方の腕がふわりと俺の身体を抱きしめてくれる
そして優しく俺の髪を撫でながら小さな声で囁いてくれたんだ・・

 


「・・・っ!?」

 


     「・・・・・・・。大丈夫だよ?おいらはどこにも行かない・・
      一生翔くんの傍にいる・・誰が何をしても・・何を言っても・・
      絶対に翔くんの傍から離れない・・・」

 


「さと・・・」

 


     「だから翔くんは何も心配しなくてもいいんだよ?
      これからもこうして2人仲良く寄り添って行こう?・・・ね?」

 


「うん・・うん・・・」

 

 

     「おいらの旦那はんは・・翔くんだけ・・」

 

 

     「おいらの心も身体も・・全部翔くんのモノ・・・」

 

 

「・・・・・・・」


     
     「だからお願い・・・この帯解いて?」

 

 

「あぁ・・・。そうだね・・」

 

 

     「早く・・翔くんと1つになりたい・・・」

 


「さと・・・んっ!?」

 

 

      「くちゅ・・っ」

 

 


貴方はそう言うと自分から唇を重ねて来てくれた・・

 

 

和化粧の仄かな香りと
間近で見た目尻の赤い朱が俺の身体に火を灯してゆく

 

俺は貴方からのキスを受けながら自分も膝立ちになり
既に上気しトロンとした表情で見詰めている智くんの唇に

今度は自分からむしゃぶりつくと深く舌先を差し込み

何度も何度も貴方の舌先を絡めとった・・