1. Continuum Shift
2. Telltate Notion
3. In Kingdom Of Rain
4. Damaged Beyond Repair
5. Beauty In Passing
6. The Outer Rim
7. Temporary Loss Of Reason ★
8. Antibiosis
9. Luminary Ghost
10. Riven
ドイツのメロディックデスメタルバンドによる2作目フルレングス。
かなり待ち望んでいた新作。相変わらずアートワークが超オシャレ。
煌びやかに迸る慟哭が美しくも物悲しい傑作!
至るところで絶賛されたデビューアルバムから2年。
ここ数年で最良のメロデスバンドと個人的に信じて止まない彼らが帰って参りました!
結論から言ってしまえば、「え、何これすごい」というほどレベルアップしております。
前作から今作へ至る間に、彼らドラムが変わっておりまして、その影響か、前作よりもアグレッションが強まっています。
無論、彼らの武器でもあるDark TranquillityやOmnium Gatherum系統の冷たく悲哀に満ちた慟哭メロディーは健在、さらに強まっています。
今作でまず耳を引いたのは、よりアグレッシヴかつタイトになったドラムよりもアンビエンスを担うシンセ。
元々浮遊感のあるシンセで曲に言い知れぬ哀感を付加していましたが、今作ではツインリードと絡み合い、時に被さることでさらに雰囲気を増大させることに成功しています。
また、アンビエンスだけでなく、孤独感を強調した銀盤を差し込むことにより、より美しくより切なく曲を彩っていますね。
そしてさらに注目すべきはVo。
前作の時点でもグロウル1本で攻める潔さを見せていましたが、今作でもそれは変わりません。今時メロデスでそれをやってくれるのは珍しいし、嬉しいですね。
では、そのVoの何が変わったのかと言えば、凶悪さ。
前作でも噛みつくようなタイプでしたが、今作ではよりえぐみを増し、なおかつ慟哭メロにしっかり追従しています。
この暴虐と慟哭をぶちまけるVoのおかげで、ギターメロディーの美しさがより際立って聴こえるのだと思います。
Dark Tranquillityタイプのメロデスではありますが、彼らと決定的に違うのが結構長めのギターソロをところどころ入れていることかも知れません。
また、立体的に構築するリフもテクニカルでありながら、「あくまでもメロデス」的匂いを出しているのも好感持てますね。
近未来的に浮遊するシンセにギターリフを漂わせて疾走するM-1、執拗に追いかけるリズミカルなリフの上をシンセでメロディーをつけて一気に爆走しはじめるキラーチューンM-2、煌びやかに宙を舞う美しいギターに酔い痴れる中を暴虐的な咆哮が塗り潰す美醜の対比が鮮やかなM-3、雲海のようなアンビエンスで哀愁を煽ってから~の~壮大なリフと演奏で丁寧に楽曲を織り上げていくM-4、作中最もキャッチーなコーラスで合唱する様が目に浮かぶ畳み掛けるようなメロデスM-5、再び雰囲気のあるシンセメロディーでゆったりと幕を上げて若干シンフォニックデスのような絢爛さを振り撒くM-6、物悲しい銀盤とアコギからリズミカルなリフを混ぜてさらに壮麗なシンセで曲を鮮やかにするVoのカッコ良さも際立つM-8、重心を落として加速していきスラッシーな爆走かまして壮大なコーラスで昇天させるM-9、浮遊感のあるシンセで雲海のような演出を見せて徐々に楽器を足していきプログレッシヴに曲を転がしていくやたら壮大なM-10と前作の完成度の更に上を行く傑作!
中でもエキゾチックな美メロで焦燥感を煽ってからブラストビートで爆走するM-7がお気に入り。
この曲では、ドラムが非常に素晴らしいことになっています。
ゆったりと叩いたりスラッシーになって、ブラストで止めを刺すという構成。
曲の間に何度か差し込まれるソロパートも美しく、Voも唸るほどかっこいい。
なおかつ3分辺りのシンセソロがたまらん!
余韻たっぷりにシンセでリフレインしていく終わり方も美しくて◎。
「最近いいメロデスない?」って聞かれたら迷うことなくこれを差し出すね!
無論、Dark Tranquillityの新作も大変素晴らしいアルバムでしたが、このバンドはダートラが切り開いたメロデスをよりメロデス方面で完成させたと言いますか、メロデスというジャンルが好きな人ならまず外さない方向で頑張っています。
というか、これを聴かずして今年のメロデスは語れないんじゃないかな、とすら思ってしまう一枚。
(2014年発表)
満:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)
薦:★★★★★★★★★ (9/10)