caliban8th

1. King

2. Chaos-Creation

3. Wolves And Rats

4. nebeL

5. I Am Ghost

6. Devil's Night

7. yOUR Song

8. Cries And Whispers

9. Good Man

10. I Am Rebellion

11. Who We Are ★

12. My Vertigo

13. Falling Downwards (Ft. Matt Heafy)


ドイツのメタルコアバンドによる8作目フルレングス。

前作のキモイジャケットとは打って変わって、荒廃したFallout風味なお洒落ジャケットですね。


ドイツのメタルコア三羽烏の一翼Calibanの新作なわけですが、大胆な路線変換をはかった前作をさらに推し進めた内容になっています。

グルーヴィーなメタルコアを軸に、キャッチーな歌メロを乗せて慟哭する。

ブルータリティな路線を推し進めたHeaven Shall Burnとは真逆とも言える路線。

個人的に、こういう複雑かつ立体的に組み上げたDjent風味のメタルコアは苦手なのですが、Calibanは結構好きだったりします。

というのも、彼らの持つメロのキャッチーでポップな部分が馴染みやすいからなわけですけども。

インダストリアルというかエレクトロニックな味付けも個人的には◎な方です。

ただ、前作はあまり食指が動かなかったのも事実です。

それは単純に、ぎこちなかったからなわけですけども。

ですが、今作ではしっかりと血肉にしていますね。ちょっとポップすぎた風体だったメロディーラインもしっかりと慟哭を迸らせ、クリーンの美声と相俟って雰囲気を作り上げています。

ブレイクダウンを織り込みゴリゴリとした重たいバッキングも、ちゃんと爆走と切り替えており気持ちいいです。

残響までしっかり考慮されたプロダクションによって、青々しいメロディーの良さが活きていると思います。

反面、ポップさが気になる人には気になるかも。

前作よりはポップではないのですが、明らかにメジャーを狙いにいっているのがもろに出ているのが気に食わない人も多いんじゃないかな。

個人的にも、後半にかけてメロデスのような空気を迸らせてくる感覚が好きです。


王道的な重たく浮遊感のあるブレイクダウンで疾走するメタルコアM-1、一転ザクザクした暴虐的な演奏をメロに絡めてコーラスで爆発するM-2、物悲しいメロディーにぶわついたグルーヴをまとわりつかせて暴虐性を顕在させるM-3、あまりにキャッチーなコーラスで昇天させにくるM-4、美しい慟哭メロディーで泣き叫ぶようなVoと共に爆走するM-5、リズミカルに組み上げられたリフで層を重ねていくDjentメタルコアM-6、ライヴを意識したコラージュから雪崩れ込む激しくもロマンティックなM-7、ハワイアンなイントロで何事かと思わせるもブルータルなリフで押して!押しまくるメロがかっこいいM-8、枯れた哀愁を漂わせるクリーンVoを塗り潰すようなスクリームが印象的な王道メタルコアM-9、叫ぶVoを素知らぬように疾走していく美しいバッキングにクリーンVoが寄り添っていくM-10、おそらく作中最もCalibanらしいストレートな演奏とコーラスが心地よいアンセムM-12、アンビエントなシンセがしんと降り積もった雪を思わせるロマンティックなM-13となかなかの充実ぶりをうかがわせます。

一番メロデスみたいなM-11がお気に入り。

イントロのリフが物凄く素敵で、ほどよい疾走感もいい味沁みてますね。

客のコーラスを煽るパートも非常にライヴ仕様で、迸る慟哭のせいで、この曲が実質ラストのようなみなぎり方をしています。

3分前後の語りからのコーラスが感極まりすぎてイイね!


今作も前作と同じように賛否両論真っ二つかなーと。

Calibanに何を求めるかで評価変わるのでしょうね。

初期の面影はないので、初期の「メタルコア!」でブルータルな作風を求めるなら否、前作で開眼したポップでグルーヴィーかつアンニュイな抒情性が好きなら是、といった趣でしょうか。


(2014年発表)


満:★★★★★★★★☆ (8.5/10)

薦:★★★★★★★★☆ (8.5/10)



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