1. 苦苦★念仏
2. 茫漠冥途草
3. 漆・黒・の・と・き・め・き
4. 惡闇霧島
5. ◎百鬼園◎
6. 巡礼地獄♨
7. 愚痴×愚痴×悪魔 ★
8. 宇宙の末端☆彡
日本のプログレッシヴ/サイケデリックロックバンドの4作目。
毎度お馴染み変てこ味のあるジャケットワークです。
相変らずすっごい変態なアルバムです。
前作で見せた意外にキャッチーでメタリックな側面から、わかりやすさを後退させてメタリックでプログレッシヴな成分をかなり増強したアルバムになりました。
どことなく、前作の対なイメージです。
相変らずのきな臭い世界観は健在、より厭世的になってもう斜に構えすぎてよくわからない状態にまでなっています。
何度か聴いてみての今作の肝は、反復。
同じフレーズを重ねてだんだんずらして聴き手の三半規管をおかしくさせるような感覚。
これが最初から最後までずっと続きます。いわゆる、サイケなトリップ感。
そしてどんどん手がつけられなくなるギターですが、さらに手がつけられなくなっています。
お互いが合わせる気ないかのようにやりたい放題やっているのに、全体的には整合している。これ、すごい不思議な感覚で、個々のバランスが非常にいいのでしょうね。
この3人であるが故にまとまっている感じ。おそらく、彼らから誰か一人でも欠けてしまったら成立し得ない不安定な均衡。
そういったものが今作ではより強まり、唯一無二な存在感を放っています。
特徴的なベースとハイハットから「くるくるしよう苦しみましょう」というフレーズを約7分間ループさせるサイケロックM-1、野放図に弾きたい放題のベースとギターをドラムで無理矢理まとめ上げている間延びしたようなM-2、キュイーンと唸りを上げるリフがかっこよくコーラスもやたら馴染みやすいM-3、一歩引いて単語を微妙に変えたフレーズを反復するも作中最もキャッチーなM-4、リフを反復させながら締め上げてくるような2分半からそれを決壊させて破壊していくプログレッシヴで壮絶なM-5、メロディアスなベースを尻目にギターが我関せずと弾き倒しまくる巡礼流ファンクロックと言えそうなM-6、変てこなフレーズのループに頭がおかしくなりそうなノーウェーヴっぽい幕切れM-8と、うーむ、変態だなあ。
ドラムの反復からくっそテクニカルなギターが拝めるM-7がお気に入り。
ギターがどこまでも自由気ままでにやにやしますね。
しかしこのバランス感たるや、奇跡に近いですね。
怨みつらみをぶちまけるような歌詞と吐き捨てるようなマーガレットのVoがかっこいいですね。この人のこういう歌い方、非常に好みですね。
前作までで完成されたと思った彼らの音楽性は、まだまだ留まらないと思わせるに足る作品です。
ただまあ、個人的には前作の絶妙なブレンド感が好みのため、前作の方が好みではあります。
曲数少なめと思われがちですが、この音をフルサイズ聞くと確実に胃もたれ起こしそうなので、ちょうどいいバランスですね。それでも約40分あるので、ボリュームも十分。
相変らず変態って素敵だなって思えるアルバム。
(2013年発表)
満:★★★★★★★★★ (9/10)
薦:★★★★★★★★☆ (8.5/10)