1. This is the End of the Story
2. Carried by Waves to Remorseless Shores of the Truth ★
3. All Bridges Burned
4. Ceaseless Jaws
5. Song of My Undoing
6. Exhausted
7. Withdrawal
USのブラックメタルバンドによる3作目フルレングス。
ジャケットがなかなかお洒落。
昨今流行の兆しを見せていたKralliceを筆頭とするポストハードコアとブラックメタルを折衷した類のポストブラック。
彼らはそういったジャンルの一翼を担うバンドです。
前作は激情ポストハードコア要素をブラックメタルに合わせ込んだことで支持を集めました。
そして今作は、その要素をうっすらと残したままグラインドコアが如き突進力とグルーヴを、ブラックメタルの寒々しさに組み込んだ作品になっています。
音質はクリアと言えないものの、全体的にすっきりとシンプルにまとめられており、1曲平均5分以上という長尺曲で占められていても聞き苦しくはないです。
その要因としては、やはりグラインドコア要素にあるのだと思います。
ブラックメタル特有のチリチリ感が分厚い音に飲み込まれてグルーヴィーに突進していく様は圧巻。
爆走の合間から飛び出してくるアルペジオを主体としたメロウな叙情性がいいアクセントになっており、聴いていてハッと心を突かれますね。
ドラムはひたすら爆走し続けるわけですが、不思議と一辺倒なイメージを与えません。
ベースも同様に、分厚さを担うほど時にゴリゴリしたうねりを持っていてかっこいいです。
トレモロリフでガーッと神経を逆撫でする攻撃性を叩きつけるギターも、ブラックメタルっぽいのにブラックメタルらしさをあまり感じさせない。
おそらく、彼らの音楽性はあくまで感情を剥き出しにしたハードコアが下地にあり、宗教性・密室性などを持たないからだと思います。
かと言って、ブラックメタル以外の何物でもない音楽にまとめ上げているのは、彼らの特異なセンスを感じます。
Voは喚き・グロウルとクリーンに絞られているようですが、音質的にギターに埋没しているかのように聴こえます。これがネガティヴかと言うとそうでもなく、荒ぶる演奏の後ろでうっすらと怒り悲しみ喚くVoは中々に薄ら寒い。
単音リフを重ねて丁寧に音を練り上げていき爆走に次ぐ爆走で駆け抜けるM-1、叙情的なアルペジオで美しい幕開けに誘われるように慟哭絶叫美メロで疾走していく激情ブラックM-3、若干ノルウェイジャンブラックのような邪悪さを持つも複雑極まりないリフとドラムの連打が心地好いM-4、四つ打ちのノリの良い序盤に陰鬱なメロディーを乗せてゆったりとしたプログレっぽさを挟み最後には爆走して終わるM-5、一転爆走ブラックで突っ走りブレイクダウンで落としてからのグラインドコアでグルーヴィーに〆るM-6、ブリブリしたベースでゆっくりと進行するアウトロ的な扱いの小曲なのに新たな境地を見せる叙情的なドゥームブラックM-7といいアルバムです。
中でもドドドドドなドラムに壮絶な絶叫を絡ませてはじまるM-2がお気に入り。
苦悶のような絶叫部が終え曲の本筋に入った瞬間リフの刻みがやたら心地好い曲に変化!
そこからのグルーヴ感は何とも凄まじくかっこいい!
このノリで身体動かないのは嘘だ!
7分以上あるのに長さを感じさせないのが素晴らしい!中盤のソロも決まっていてかっこいいよー!
全体的にいいアルバムで、間違いなく前作よりも好みです。
演奏力も向上しており、前作よりもすっきりしていてゴチャゴチャしていません。
何より、心地好いリフが所々顔出してくれるのが何とも嬉しいですね。
どす黒い感情で生々しく耳を掻き混ぜてくれるいいアルバムです。
Kralliceはセンチメンタルすぎて無理だわーって人にはうってつけだと思います。
(2013年発表)
満:★★★★★★★★★ (9/10)
薦:★★★★★★★★★ (9/10)