1. Two-Pound Torch
2. Shag Harbour's Visitors
3. Red-Skinned Scapegoat ★
4. Damned Draft Dodgers
5. Amputated Enigma
6. The Golden Square Mile
7. Ominous
8. Cleansing The Hosts
9. Slit Your Guts (Live) [Bonus]
10. Benedictine Convulsions (Live) [Bonus]
11. Phobophile (Live) [Bonus]
今更説明不要カナダのブルータルデス/テクニカルデスの帝王による7作目。
堂々の帰還と言える作品です。
新加入したVoやメンバーの影響か、はたまたFloの模索が故か、自らの落とし子でもあるメタルコアやデスコアといった要素を果敢に導入しぶっ叩かれた前作から4年。
恐らく現在存在するブルデスバンドにあっては最もに近いほど知名度を誇る彼らが帰ってまいりました。
今作では、完全にCryptopsyらしいテクニカルブルータルデスに回帰しています。
また、そればかりではなく、前作で拾い上げた要素も味付け程度に見られ、間違いなく過去最高と言うに相応しいアルバムに仕上がりました。
シーン最速最強と謳われるバンドの司令塔Flo Mournierのドラムのキレにファンのほぼ全ては耳が行くに違いない。
凄まじいです。ぶったまげます。この人のドラムは、留まることを知らないですね。ヘヴィだし力強いし速いし、何よりドラムで歌える。
Cryptopsyがデスメタルバンドでも屈指の人気を保持し続けているのは、歌えるドラムということが大きいんじゃないかと思う。
ただ叩いてるだけではないんですよね。時にメインメロディーを担っているんじゃないかと思うくらい、歌心のある素晴らしいドラムを披露し続けています。これって実は凄いことです。
また、今作より復帰したギタリストJon Levasseurの存在も大きい。私としては、3rdの「Whisper Supremacy」がめちゃくちゃ好きなので、彼のギターというのは物凄く存在が大きいわけです。
非常に雄弁で、超絶的で、なおかつ禍々しい。その禍々しさの中に、ハッとするほどの美しい妙技を幾つも仕込んでくる業はすごい好きです。
新加入となったベースのOlivier Pinardも、若干22歳ながら超絶技巧のメンバーに負けじとついていっています。というか、Floとユニゾンしあって曲を構築し、隙間を縫うかのように超重量級のベースで這い回る辺り、よだれが出まくります。
VoであるMatt McGachyの歌唱力が凄まじく上がっていることに驚きだ!
確かに、「凄味」という点では初代VoであるLord Wormには劣るものの、全体的に彼より安定していると思うし、ガテラルとグロウルとハイピッチスクリームの破壊力たるや、凶悪なものに仕上がっています。
荒廃したSEから怒涛のブラストビートとスクリームで帝王復活の狼煙を上げるM-1のリフからしてLevasseurキター!的にニヤニヤできるし、ジャジーなフレーズから凶悪なブルータルデスに変貌するM-2は出だしからして3rdの薫りをまとっており、強烈に重たい奈落に突き落としたり引きずり倒したり展開が色々とおかしい混沌で頭おかしくなるM-4、獰猛に吠え立てるVoとドゥルンドゥルンに聴き手を躍らせるグルーヴィーな部分が見事に融和するM-5、ベースとギターががっぷりと噛み合って凶悪な掛け合いを生んでいる緩急凄まじいM-6、これまたすんごいベースで目立ちまくっている凶悪ブルデスM-7、最後を〆る縦横無尽に駆け巡るドラムが心地好すぎるM-8と凄いです。何だこれ。ちなみにボートラはいずれも現布陣(だと思う)で2ndの人気曲のライヴバージョンですが、何でこれ再現できるの?ってくらいすげえです。ボートラがライヴVerってあんま好きじゃないですが、これは是非聞いた方がいいです。
何と言っても、M-3が素晴らしい。
彼らお得意の叙情的なフレーズから始まるわけですが、例によって凶悪。
さらにブレイクダウンっていうよりはまんまジャズパートを挟んで再び爆走する終盤の展開が鳥肌物。
ジャズを織り込んでしっかりと聞かせられるものにするって結構凄いんですけど、さらにそれがブルデスに展開していくっていうのがお家芸なんだけど凄い。
終盤への伏線に、これでもかと織り込んでるんですけど、あざとくないしかっこよすぎて鼻血出ちゃう!
これはすごいものを聞かせていただきました。
たぶん、前作までの流れであまり期待値っていうのがなかったせいの相乗効果もあるのかもですが、単純に凄まじい出来であると思います。
とは言え、前作自体、結構好きなんですけどね。今作は別格であったと思います。
誰にでも薦められるものでもないのは相変らずですが。
買うなら日本盤です。
(2012年発表)
満:★★★★★★★★★★ (10/10)
薦:★★★★★★★★★ (9/10)
つべからはオフィシャル音源も削除されちゃったっぽいので動画は割愛。