むじかほ~音楽雑記彼是-88junrei


1.某WN☮夜
2.霊界ヌ~ボ~♨
3.((((未練))))
4.A&N&D
5.☞異界逝コウ☜
6.⌘惑う惑星⌘
7.極樂いづこ
8.⇔粛正の夜明け⇔ ★


日本のプログレッシヴ/サイケデリックロックバンドの3枚目。

かなり変態的なバンドです。ジャケットからわかると思うけど。


個人的には、Blankey Jet Cityにゆらゆら帝国を足してKing Crimsonで割ったような音楽性だなあと。

つまりは変態。

1stの時点でその変態的音楽性をさらけ出していましたが、今作はその路線を昇華させた完成形と呼んで差し支えないのではないかと思います。

彼らの音楽性を乱暴に説明すると、時折ブラストビートすらも飛び出してくるかなりアグレッシヴなドラムに、ヌメヌメ独特のメロディーラインで曲の骨格を担うベース、テクニカルでリリカルな変態的なギター、中毒性のある高音Voという感じ。

それらを、歌謡曲っぽさを遺した歌伴でまとめ上げてくる印象です。

また、徹底した仏教的世界観の構築にも好感を持てる感じ。

前作、前々作ではまだ散漫さや冗長さもあったわけですが、今作ではそれらが完全に払拭、非常に変態的ながらもポップでキャッチーさを消さないばかりか増強してきました。
なおかつ、プログレ成分もあざとくないレベルにまで昇華されています。

単純に、このバンドは凄いです。

歌詞は意味不明な言葉のチョイスではありますが、厭世的な薫りはますます濃くなっています。メンバーは嫌がるかもしれないけれど、文学的な側面も強くなりました。

マシンガン的に矢継ぎ早に繰り出してくるのですが、Voの声質もあってすごい独特な響きを持っています。

すごいのがギターで、ものっそいテクニカル。ベースとドラムもテクニカルだけど割としっかりと曲の根幹を構築しているわけですが、その安定の甲斐もあってかギターの技巧がおかしいことになっています。

トム・モレロ級の変態さ。どうやってこんなリフを弾いているのかどういう奏法なのかすらだんだんわからなくなってくるほど。


妖しげなドラムロールとベースからきな臭い世界観を撒き散らすサイケロックM-1、ドがつくほどキャッチーなリフとコーラスなのにどうしてこんな変態な曲になるのか意味不明なのにやたらかっこいいM-2、変態的なベースとテクニカルなギターで煽り爆発するM-3、もうどうやって弾いているのかわからない変態的なギターでノイズやらスクラッチっぽい音を表現しきるも存外ブルージーですらあるガス吸ったようなVoも気持ち悪いニューウェイヴっぽいM-4、ゆらゆら帝国のような奇妙極まりないサイケ感を前面に出すフランク・ザッパぽくもある淡々としたM-5、その流れを殺さないまま涅槃にリスナーを連れ去る宇宙を感じさせる長尺サイケプログレM-6、一転涅槃を否定した歌詞が印象的な厭世観漂う作中唯一スロウな曲M-8と形容するのが難しいが癖になる曲が並びます。

最後を飾る爆裂ガレージサイケM-8がお気に入り。

畳み掛ける機関銃のようなVoもカッコイイが前曲までで溜め込んだ鬱憤を晴らすかのように暴れ狂うギターとドラムが異常な熱を帯びています。

不審で不穏極まりないタイトルもさることながら、この爆発感はヤバイとしか言えません。


日本の新星と言っていいですが、デビュー以来毎年高クオリティかつ水準を上げてくる作品を持ってくる才能に脱帽。

つーか、単純に楽曲の強度・密度共に最高傑作であることは断言できます。

誰にでも受ける音でないことは確かだけれども、個性的な音楽が聞きたいなら確実にお勧めしたい。

ザ・日本のプログレ☆って感じで、これからも大いに追いかけていきたいですね。

あ、ジャケットは全部大体こんな感じなので、恥ずかしがらずレジまでGOだよ!


(2012年発表)


満:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)

薦:★★★★★★★★★(9/10)