1. Atavist Animus
2. Atom To Adam
3. Drunk On The Blood Of Saints ★
4. Remember To Forget
5. Skin Of The Master
6. We Dream Like Lions
7. I, Alone
8. Baby’s Breath
9. Fists Fall
10. Stay
11. Bible Belt
12. Not To Touch The Earth (Doors Cover)


US産ラウドロックバンドの5thアルバム。

ジャケが夢に出そう。


キレにキレまくったアヴリル・ラヴィーンだの女コリィ・テイラーだの言われているオーテップ・シャマヤを愛でるバンドです(きっぱり)。

彼女の世界観は、生い立ちから来る葛藤や焦燥、虚無や批判。

要は、屈折した美女の率いるバンドという認識でいいです。

そんな彼女たちの新作は、前作よりギターを押し出したヘヴィメタルに接近しています。

ザクザクと切り刻むようなリフと、重厚感をより研ぎ澄ませたグルーヴメタルにも近い。ただ、ギターソロはないので、ご注意を。

後、何と言ってもベース。これがうねりまくって非常に心地よい。

肝心のVoはと言えば、よりうまくよりキレています。パートチェンジの自然さやバリエーションの豊富さは、女性Voではほとんど屈指と言っていいでしょう。

フェミニンなクリーン、気だるいクリーン、金切り声、グロウル、畳み掛ける吐き捨てなどかなり多彩。

この多彩さに惹かれて、曲のバリエーションも増えています。強引に展開する曲も多く、気味の悪いメロとの相乗効果でかなり不気味な世界観を構築するのに買っています。


不気味なインストM-1、男前なコーラスで重厚に爆走するM-2、ツインリードが唸るメロデス的な空気を漂わせるラウドロックM-4、ゴシック風のスロウな曲と気だるい前半から唐突に爆走するM-5、アコギメインのしっとりとしたバラードM-6、つんのめるようなドラムと咆哮するVoが美味なM-7、一転語りかけるVoとアンビエントな音空間に背筋の凍るM-8、リフで押し切っているのにグルーヴメタルっぽいM-9、作中最もヘヴィでブチギレVoが楽しめるM-10、水中で蠢いているようなノイズとぼそぼそしたVoが狂気的なM-11、Doorsを彼女ららしいサイコな世界観で再構築したM-12と、結構充実しています。

ぶりぶりしたベースが非常に心地よいM-3が聴いていて飽きません。

どんどんテンションを上げていくVoや、硬質なリフ、そしていきなり不協和音なグルーヴをぶっ放す中盤以降とかなりとんでもないことになっています。


非常に安定した良作であることは間違いないです。

ただ全く起伏のないアンビエントで7分垂れ流したりと意味不明なことやったりと、耐えられない人は耐えられないと思います。

要は、ヘヴィメタルに接近しているからってヘヴィメタルとして聴いてはいけないっていう。

これまでの彼女たちの世界観が好きな人ならばど真ん中。

相変らずシャマヤは歌うまいですね。


(2011年発表)


満:★★★★★★★★☆ (8.5/10)

薦:★★★★★★★★ (8/10)