1. Same Mistake
2. Hysterical
3. Misspent Youth
4. Maniac
5. Into Your Alien Arms
6. In A Motel
7. Yesterday, Never
8. Idiot
9. Siesta (For Snake)
10. Ketamine and Ecstasy
11. The Witness' Dull Surprise
12. Adam's Plane ★

13. Trotsky's Fence [Bonus]

14. Statues [Bonus]


US出身のインディ/エクスペリメンタルロックバンドの3枚目。


非常に多幸感に満ちた作品である。

正直言うと、前作まではあまり好きになれずはまらなかった彼らだが、今作は好みのツボを突いてきた。

声があまり好きになれなかったのだが、4年の間を置いて円熟味が増したのか、持ち味の素っ頓狂なヘロヘロVoも味が合っていい感じ。声質的に、22PisteprikkoのVoに似てるのかな。

味のあるヨレヨレ感に近づいてきて、なおかつ力強さも増している印象を受ける。素っ頓狂な高音Voの癖も若干薄まった感じで好印象。

対して楽器隊は非常に軽やか。前作で見せた重たさをしっかりと吸収し、通過した上での軽快さなので説得力がある。

何より素晴らしいのが、ギターの入れ方。基本は分厚くも繊細な感じなのだが、ここぞと言うところで歪んだ音で被せており、非常にかっこいい。

そのギターに色を添えるかのように寄り添うシンセもいい味沁み込ませている。どことなくエレポップな雰囲気を漂わせるのに成功している。

ダンサブルで軽やかに疾走するベースやドラムもしっかりと下地を作っており、聴き心地がいい。


軽やかなギターとシンセの絡み合いが飛翔するM-2、攻撃的なギターとダンサブルなドラムがえらく気持ちいいM-2、一転落ち着いた柔らかいギターで夢見心地なM-3、初期の空気を匂わすM-4、軽やかで疾走するも少し物憂げなVoとノイズギターのソロが気持ちいいM-5、音数を絞って夢見心地な空気を作り出したM-6、何故かBeatlesっぽい空気になるM-7、空間を活かしたコーラスワークが印象的なM-8、後半になるにつれて音が押し寄せてくるM-9、軽快なギターポップM-10、行進曲風ドラムが心地よいM-11と高水準の楽曲が並ぶ。

中でもしっとりした序盤から後半にかけて怒涛の展開を魅せるM-12で悶絶。

この曲、印象としてはSigur Rosの「Untitled 8」に似たものを受けた。でもって、後半の音の洪水が非常に凄い。

ここまでやらかしてくれると天晴れ。

中盤の清廉で荘厳な空間演出とか卑怯ですよ、卑怯。


実を言うと、M-1からして非常にツボを突かれたわけで。

前作のプロデューサーがデイヴ・フリッドマンということもあって、Mercury Revに近いような空気もまといつつあるように思いました。

もちろん、彼らなりの色を放射しているので、全く印象は違うわけですが。

ただ今後の音の志向性としては、サイケロックに変化する可能性もなきにしもあらずだと思います。

いやこのアルバム、本当大好き。


(2011年発表)


満:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)

薦:★★★★★★★★★ (9/10)