1. The Island -冥河島-
2. Legacy Of The Seediq -殘枝-
3. Takao -皇軍-
4. Oceanquake -震洋-
5. Southern Cross -南十字星-
6. KAORU -薰空-
7. Broken Jade -玉碎-
8. Root Regeneration -歸根-
9. MAHAKALA -大黑天- ★
10. Quell The Souls In Sing Ling Temple -鎮魂醒靈寺-
11. Mirror Of Retribution -十殿- (live recording at LOUD PARK 10) [Bonus]
12. 49 Theurgy Chains -鬼縛- (live recording at LOUD PARK 10)) [Bonus]
13. Takao -皇軍- (Single Edition) [Bonus]


台湾のシンフォニック・ブラックメタル、6枚目。

前々作、前作に続く三部作、最後の章ということらしい。

音は前作よりも壮麗さを増し、なおかつ攻撃性も高まった。楽曲が前作よりもさらにストレートになっている。

なお、世界観は前作に引き続き重い。

高砂義勇軍について扱ったアルバムとなっており、大東亜時代の時系列なので、我々日本人は聴いても損にはならない内容となっている(当事国であった台湾の人たちの思想も勉強になるという意味でも)。

音的には東洋のCradle of Filthといった趣きは相変らず。ただ、メロから西洋臭さがほとんど抜け、独自の東洋的なエクストリームメタルを突き進んでいる。

適度に差し込まれるギターソロは流麗で、非常に美味。

Voはハイピッチスクリームとグロウルを使い分け、ますます磨きがかっている。

そして何と言っても、二胡の存在は非常に大きい。二胡により、シンフォニックな音響に東洋的な音色を織り交ぜ、彼らの確固たるスタイルを築き上げている。

なおかつ、今作ではより自然に溶け込み、Chthonicの世界観が完成した。


物悲しい大陸的なインストM-1から爆走を開始するシンフォニックブラックM-2、先行カットされた二胡の音色がより際立った美しいM-3、ギター&ドラムとVoが過激に攻め立て中華的な旋律のクワイアに繋がるM-4、美しい笛から勇壮かつファストな曲へと展開するM-5、ど派手なオーケストレーションと器用に変化するVoが楽しめるM-6、玉音放送をサンプリングし当時の悲愴を表現した壮絶極まるM-7、川のせせらぎと笛の音が物悲しいインストM-8、暗黒絵巻な暗いメロが心に影を落とすM-10と非常に素晴らしい。

ライヴ音源M-11,12は彼らの演奏力の高さを味わえるし、M-3のシングルバージョンM-13も少しミックスが変わっていて面白い。

個人的には、琴を前面に押し出したM-9が好きです。

溢れる日本的な情緒。BaのドリスもBurrn誌インタビューで言っていたように当時の台湾も日本人だったからという精神性も感じ取れます。

そういうのを抜きにしても、ヴァイキングメタルスレスレな勇壮果敢なメロやコーラスワーク、アグレッシヴな演奏と、非常に好み!かっこいいです。


唯一無二の音世界を持つ彼らの、まさに最高傑作と呼ぶに相応しい作品。

音質は前作より遥かにクリア、音から漂うセピアな雰囲気は狙ったものだと思います。

悲壮感は増し、聴いていて無性に切なくなる二胡と言い、ある意味でゴシックメタル的な空気も漂っています。

変り種のエクストリームメタルをお探しの方は、マストバイ。

サイン会が非常に楽しみですッ!


(2011年発表)


満:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)

薦:★★★★★★★★★ (9/10)