1. Changing The Rain
2. You Said
3. I Can See Through You
4. Endless Blue
5. Dive In ★
6. Still Life
7. Wild Eyed
8. Moving Further Away
9. Monica Gems
10. Ocean Burning
11. You Said (Japanese Version) [Bonus]
12. Changing The Rain (Japanese Version) [Bonus]
イギリスのアートロック/パンクバンドの3作目。
デビュー作はガレージパンクで、2作目はその下地を繋ぎながらのシューゲイザー/パンク風の作風とがらりと変えてきた彼らだが、今作は前作の礎を受け継ぎながらもまた違った作風になっている。
では今作は何なのかって話なのだが、これがよくわからない。
確かにシューゲイザー風のギターサウンドもあるし、前作のハンマービート/クラウトロックぽさもある。
聴いていて、不思議と80年代のUKが90年代のUSオルタナティヴに接近したような瞬間もある。
統一感は保っているものの奔放な音を一本にまとめているのは、やはりVoの特徴的な声。
そして、自作のペダルを踏みまくった歪みに歪んでいるギター。
この二つの武器は、The HorrorsのThe Horrorsたらんとする重要な部分である。
前作ではリヴァーヴを効かせたギターに照準を合わせていたが、今作も路線はさほど変わっていない。ただ、前作に比べて驚くほど多角的かつ陰影に富んだ音になっている。
ゆったりと湿った音響で幕を開けるドリームポップM-1、チープなシンセと空間的な音響のお家芸が光るM-2、キラキラシンセと躍動的なベースが心地よいM-3、緩やかなシンセサウンドから一転Dinosaur Jrを彷彿とさせるUSオルタナティヴ的なギターロックに変化するM-4、先行カットされたドリームポップM-6、透き通ったシンセとギターの中をぶりぶりとしたベースと夢見心地なVoが突き進むM-7、前作の路線を色濃く受け継いだクラウトロックな淡々としている長尺M-8、このバンドにしては珍しい曲調の明るく素っ頓狂なM-9、柔らかく曖昧なギターが後半牙を剥くM-10と、ノイジー度合は前作より上です。
ボートラM-11,12は、M-1,2をエレクトロニカに再構築した感じだと思っていただければ。インストです。
個人的には、最もわかりやすい曲調ながらも二転三転と色を変えていくM-5が一番好きですね。
この曲もそうですが、全体的に起承転結がはっきりした曲構造になっていて、聴きやすいです。
また、最もUKロックっぽいという素直さもこの曲にはあったりするのが面白いですね。
各誌では「また変わった」と言われていますが、個人的にはそうは思いません。
確かに歌詞もパーソナルなものが増えたりしていますが、音の骨格というか根底にあるものはぶれてないです。
ただまあ、2作目の発展形である今作ですし、この路線はそろそろやり尽くしてる感じもあるので、前作ほどの衝撃度はない。
セルフプロデュースですが、これも若干まだ早かったんじゃないかと思いつつも、この青臭さも一つの味なんでしょうね。
前作以上に賛否分かれそうですが、俺は是です。
ただ、次は1stみたいに暴れ狂ってるようなのが聴きたいなあ。
(2011年発表)
満:★★★★★★★★☆ (8.5/10)
薦:★★★★★★★★★ (9/10)