亡骸を・・・
1. Under・・・
2. 終幕の時
3. Dance 2 Garnet
4. 賛美歌
5. 十字架との戯れ
6. Misery
7. If
8. Jesus
9.. 親愛なるDEATHMASK
10. 亡骸を・・・ ★
ディスク2枚目後半は、オリジナルアルバム「亡骸を・・・」が収録されている。
前2作とは打って変わって、初フルとなる今作は、メロディアスなものを重視しているかのようにも聴こえる。
前2作までの激しさに整合性が生まれ、聴きやすくなっているからというのもあるだろう。
無論、激しい曲は激しいし、独特のドンシャリ感もある。
しかし、Voも狂性を保持したまま独特の呪術的要素に陶酔的なものを漂わせ、闇雲だった前作までとは若干成長が伺える。
前作までのメタリックさが、今作ではややニューウェーヴっぽさになり、より耽美な色を濃くした。
そこが先達とは結構決定的な差で、彼ららしい独自のメロディアスなギターロックが聴ける。
とは言っても、メジャー2枚目以降は聴けなくなるギターソロの流麗さはやはり特筆すべきものがあるだろう。
オルゴールを巻くSEから耽美かつ激しい曲展開になるM-1、前述のNW路線まんまな四つ打ちダンサブルなM-3、中期まではライヴでもやっていた黒V系の元祖とも言える激しく呪術的なM-5、ぐっと速度を落とし美メロをゆったりと聴かせるM-7、「生きていた中絶児」収録時のものよりも過激さと音の厚みを増した狂気的なデスメタルちっくなM-9とアルバムだけあって多彩な楽曲が揃う。
緩やかに悲哀と退廃を漂わせるM-10が個人的お気に入り。
ジャングリーなドラムとは違っていたってギターとVoは落ち着いており、美麗かつ儀式的なバラードに構築されている。
この曲は後年アコースティックとしてもカバーされており、清春自身の思い入れも相当なものなのだろう。
そういうことは差し置いても感動的なコーラスと言い、わかりやすく叙情的でまさしく「名曲」と呼べるほどの出来。
このアルバムも、オリジナルにリマスタを施してあるため、より厚みのある音になっている。
今作には、現存するヴィジュアル系の全てが詰まっていると言っても、過言ではないと思う。
時系列的に聴いていくとインディーズ~メジャー2枚目くらいまでは、一貫した世界観があるのがわかる。
(1993年発表)
満:★★★★★★★★★ (9/10)
薦:★★★★★★★★★ (9/10)