どうしようもなく、アンダーグラウンドな音である。

こちら側に迎合しようだとかいう気配は全く感じられない。

ただし、彼らのアルバムでは最も歩み寄っている作品だと言える気がしないでもない。

こういう音を聴いていると、その鬱っぷりにメンバーの人となりが気になったりするのだけれど、クリップなどを見ると佇まいはシューゲイザー・バンドのよう。

グレッチで掻き鳴らすのは、甘美で頽廃的な美意識であり、緩やかなグルーヴはゆったりと身を委ねるには最適な塩梅である。

背景的にはニュー・ウェーヴやポストロックを感じさせるものの、Callaならではの視点でダークかつメランコリックな世界観を構築しているのは、ベテランバンドならではと言ったところ。

非常に緊迫したムードを感じるのは、極端に淡々とした世界観を造り上げているから。

これはもう、生まれ持った体質と言うかバンドの先天的な空気そのものだと思うけれど、確かに昔からこのバンドはこの空気感を頑なに守り続けている。


確かに目まぐるしく変化していく業界の中で、4枚ものアルバムを出しているにも関わらず、5枚目となる今作でも変わらぬまま。

けれど、遅々とした歩みの中で変化しているのは、普通逆じゃないか?と言いたくなるけれど、曲の尖りやアグレッシヴさだったりする。アルバム毎にダイナミックかつアグレッシヴになってきており、王道的になっている。

M-7で見られるような掻き毟るようなノイジーなギターは素直にカッコいい。かっちりとしたドラムもドツボなのですよ。というか、暗い。けれど、光の差さない暗さではなくて、暗いのだけれど仄かに明るい、という絶妙なバランス加減が窮屈でない。


佇まいとしては、Black Rebel Motorcycle Clubにもどこか似たものを感じさせるので、BRMCが好きな人は聴いて損はなし。かと言って、彼らのようにわかりやすいダイナミズムは期待してはいけない。

いやぁ、それにしてもM-9の控え目な解放感は絶品ですね。名曲だ。沁みる。

M-9とM-10のメロディーは、近年稀に見るほど良質なものだと思う。

こういう曲を聴いていると、彼らはポストロックをやっているのではなくて、彼らなりのロックンロールをやってるんだろうなって思ったりもする。


(2007年発表)


満: ★★★★★★★★ (8/10)

薦: ★★★★★★★ (7/10)