「おばあちゃん!!」

あたたかくて大好きな、僕のおばあちゃん。



「どうしたんだいかなちゃん、電話も入れずにこっちへ来るなんて…。」

「ごめんごめーん、忘れてた。ところで僕、少しこっちで
 暮らしたいんだけれど…だめかな?」

あまりにも突然の内容におばあちゃんはお茶をこぼしそうになった。


その時だった。
今は見ることも少なくなった黒電話のベルがけたましく鳴ったのである。


おばあちゃんはゆっくりと立ち上がって受話器を取る。
するとそこからは聞き覚えのある声がした。
受話器を耳に当てていない奏汰でさえよく聞こえる高めの声。

お母さんだ。


「すみません!そちらに奏汰いませんか?」

「まっておばあちゃん、僕が出る。」
答えようとするおばあちゃんから受話器を慌ててひったくる。
軽く息を吸って、受話器を耳に当てる。

「お母さん、僕だよ。奏汰。
 和島のおばあちゃん家に来てる。
 僕もうそっちには帰らないから。」

母の声がもうワントーン高くなる。

「はぁ?!何言ってるの?午後から滑り止めの中学の
 入学手続き行くって言ったじゃない!今すぐ帰ってきなさい!
 だいたいおばあちゃん家に住むなんて無理よ!
 どれだけおばあちゃんに負担がかかると思ってるの?!」

「律子さん、私なら大丈夫ですよ。」


突然おばあちゃんが奏汰の受話器をそっと取った。

「自分の世話は一人でもできてるんで、もう一人増えるぐらい
 どうって事ないよ。」

「でも…そんな急に…。
 って中学校とかはどうするんですか?!」

「なぁーにそんなのこの町じゃ文男に頼めば何とかなる。
 まぁ中学生なんて、数日したら家が恋しくなるものじゃ。」

文男さんは確かお父さんのお兄さんだ。
あまり面識は無いけれど…。

おばあちゃんが突然ささやき声で話したので、最後の方が生憎
聞き取れなかった。


「わかりました…。もう奏汰は勝手にさせてやって下さい。
 本当にご迷惑をかけると思います。何かあったら連絡ください。」



ぷつんと電話は切れてしまった。


しかしこの瞬間、僕は初めてお母さんに勝ったのだ。

この一歩大人へ近づいたような感覚は
とても言葉では表現しきれないものであった。




To be continued



~あとがき~


いや~!長い!

久々に書いた!
前書いたのが10月の初めだから相当経ってますね←

冬休みにもうちょっとすすめられたらいいなと思っています


お話がちょっとづつ前進してゆきます!
まだまだ準備段階だけれど…←

今晩はこのまま次も書けそう←