41 | 相続バトル

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ここから読み始める方のために関係図を表示します。

この図を参考にしながら読み進めたほうがわかりやすいかと思います。

(数字は生まれた順番です)



家系図


というわけで本題へ。




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2006年6月18日。


一般的には、遺産分割協議書は弁護士を通して作成するかと思います。
ですが我が家は商売をしているし、仕事上の数字を知っている税理士に頼みました。そのほうが信頼できるからです。
ちなみにここの税務会計事務所と我が家(店)は50年近い付き合いです。
私は三代目、相手の税理士は二代目です。




さて、遺産分割協議のはじまりです。


そこの会計事務所とうちは歩いて2~3分ほどの距離です。
なのでブルー1はもちろんブルー3、グリーン伯母さんの子供たちであるグリーン1やグリーン3もまず我が家にきました。
そして仏壇にお線香をあげました。
グリーン2は遅れそうなので、直接その事務所に行くということに。
そしてレッド叔母ですが、過去のやりとりからしてうちに顔を出せるはずもなく、直接会計事務所に向かいました。


そして会計事務所に相続人の全てが揃いました。
そんな中、レッド叔母だけが明らかに高そうな服を着ている…。
私から80万円を借りておいて、1年経ってやっと10万円返したレッド。
でもこの場にいるレッドの着ている服…。きっと1万円以上はするだろう。


おまえ…、その服を買う金があるなら俺に返せよ…。
俺の目の前でよくそんな服を着ていられるなと思った。
そんな見栄っ張りだから、収入以上の消費をして、借金返済に困るというのがわかっていないらしい。


レッドに対して言いたいことはあったのだけど、そんなことを言っても今は何の解決にもならないと分かっていたので黙っていた。



そして事務所側は祖父の資料を皆に配り、税務会計事務所の税理士を中心とした遺産分割協議が始まった。




財産の目録としては、


宅地:
 (借地権)408㎡
 (自用地)130㎡

建物:
 評価額 2,570,000円

A銀行:
 普通預金 ***円
 定期預金 ***円

B信用金庫:
 普通預金 ***円
 納税準備金 ***円
 定期預金 ***円

郵便貯金:
 通常貯金 ***円

現金:
 ***円

有価証券が37口。

B信用金庫への出資金。

その他に未収金や電話加入権、公租公課や預かり金、未払金などが載っている。



そして協議での会話は分かりやすく、誰の発言か色分けします。


税理士(50歳代男性)
事務所の部長(税理士より年上(80歳代女性))
事務所の社員(うちの店の担当)
グリーン家全般
ブルー家全般
レッド



はじまりです。



税理士
「今日はどうもすみません、雨の中。
大分時間が経ってしまったんですけど、前から心配はしてたんですけど、おじいさんのところは人から借地権ということで借りてるということなんですよね。
それとまぁ 高齢だったんですけど資料集めるのに時間かかりました。
それで一応、いま出てる総財産。
いま分けてどうのこうのじゃないので、『こういう財産がありました』『こういう借金がありました』『お葬式の費用がこれだけかかりました』それでどうしましょうか・・・。
という第一回目なので、とりあえずみなさんでご検討して頂く資料を作りました。


紹介しときますけど、うちの部長なのですけども。
もう、それこそおじいさんから亡くなられたブルーさんもずっとよく知ってるんで」


部長
「亡くなられたお母さん(祖母)も、昔はよくお邪魔して…」


レッド
「お会いしたことあります」


部長
「(お邪魔していた当時は)今日は娘が来てるからなんて、お母さんも仰ってらっしゃったけどね」


税理士
「まぁそれで一応、法律に基づいてということで、えー、計算してありますけども…総財産…ぼそぼそ」


部長
「総財産…ぼそぼそ」



税理士部長で、内部的な会話を始めた。



税理士
「ま、これはちょっと自分の所を見て頂いて、間違いがないか確認頂いて、一枚目の基本情報のところ…」


部長
「これ見たほうが早いんじゃない?」


税理士
「え?違う違う。総財産」


部長
「これをさ、ぼそぼそ。総財産…ぼそぼそ」
「皆のほうは税金(相続税)のほうが心配なんだから」
「まず?」


税理士
「まず、はい」
「じゃあまず、その間にこれをコピーする…」
「評価の内訳…うん。評価の…」
「評価は結局『こういう形で評価しましたよ』っていうことだけですから、実際に最終的に税金はどうなのかということなんですけどね」
「まずね、お葬式だとか未払いの税金だとか、というものを引いて、評価額が一億九十九万八千円。これだけ現金があるわけじゃないんで誤解のないように。税金は出ませんと。基礎控除という五千万とプラス一人ずつ一千万の控除額がありますから、それを足していくと相続税の支払いの必要がありませんと、相続人が七人なので税金は出ませんということです。
まぁあとおじいさんの財産のうち、一番に土地、それから建物、それから有価証券、これはB信用金庫の出資金とD社三十七株で、現金と預貯金でこのうち現金で下ろした分はお葬式の費用に使った分もあります
で最後は固定資産税の二期分ですね。それからお葬式の費用が五百三十万円。こういうものを引いたところが『一億九十九万八千飛び五十五円ですよ』と。
だから税金計算するときは端数切りますので、一億九十九万円ですよ。ということになります。
これが総財産になります。
でまぁ実際に一番大きかったのがお店のあるとこなんですね。
そこは借地権といって人に借りてるものなので、税金の計算するときは計算しないといけないけど、実際には(形の残る物としては)何もありませんというのが本当の話です。
じゃあ売ればいくらになるのといえば、これは地主さんが協力してくれないと売れないし、売るにもブルー2さんの住むとこをどうするのかとかね。えー…、そういうところですね。
一応それが大雑把な財産の中身です。
あとはうちの部長のほうが(おじいさんから)昔の話を聞いてると思うので、その辺をどう進めるか。
参考で皆さんに聞いてもらって。
あとはよその例とか、例えば昔はバブルの頃だとかって土地は土地とかって…。
土地はもらうとあとで税金を払わないといけないから、まぁできるだけこの中で***万円の貯金があるためにどういう風な、その中で分けてもらっていいのかなってあると思いますので。
じゃあ意見というか話を部長から聞いてもらうといいと思います」