メンズ服とレディース服をパターンで見るとその差は胸ぐせダーツ以外にないため、メンズ服の製図は大変参考になります。

 

製図がわかっていれば服を作る上で大きな力が身につきますし、 CADを使うにしても製図が描ければ、CADでうまくいかないところの修正が簡単に出来ます。

 

洋服を仕立てる上で根幹となる採寸法は、短寸式と胸度式に分かれます。

 

胸度式はバストを基準に、その比例寸法によって各点を割り出していく製図方法で、バランスを重視する標準シルエットの服が仕立てられまれます。また採寸法や製図法が容易なため、現代の裁断法では胸度式が主流となっています。

 

でも胸寸式は採寸箇所が少ないため、どうしても直しが多くなります。

 

一方、短寸式は胸度式のようにバストを基準とせず、体型の特徴を30ヵ所以上も細かく採寸するので直しが少なく、フィット感が得られます。主に肩回りの寸法を細かく測り、その寸法によって肩周辺の特徴が把握できます。

 

しかし採寸の仕方が難しく1センチ前後の誤差などざらにあり、あくまでも参考寸法として把握することが多いため、技術的に難しい短寸式はあまり用いられていません。

 

胸度式でも短寸式でも一長一短があります。

 

あるテーラーさんの言葉を借りると、「短寸式に囚われると歪んだ体型に歪んだ服を着せようとすることであり、胸度式を固執するは、歪んだ体型にもまっすぐな服を着せようとすること」だと述べています。

 

そのため、胸寸式と短寸式の両方を併用して胸度式製図に短寸式の寸法を取り入れる方がうまくいくと言われております。肩回りなど複雑なところや特殊な体型などは短寸式で採寸して胸度式製図に反映させる手法です。

 

皇室御用達のビスポーク・テイラーとして著名な服部晋さんは、短寸式の斜辺裁断法を自ら考案して、複雑な肩回りをより正確に採寸する方法を編み出しました。この斜辺裁断法を利用すると体型の特徴が簡単に把握できるからです。

 

例えば、肩甲骨の膨らみを正確に計ることが出来ますし、僧帽筋から肩先にかかる角度を表す「肩傾斜」や僧帽筋から背中にかかる立体感、左右の肩の高さが違っていれば、背骨が曲がっていることも分かります。

 

 

①~②:BNPからカマ深、

②~③:カマ深から脇、

③~④:脇から肩先、

③~①:脇からBNP(内側斜辺)、

②~④:カマ深から肩先(外側斜辺)

 

上記の各点を計ると、2つの三角形が描けます。この三角形の形を見るだけで、その肩回りの体型を掴むことができるのです。

 

例として肩甲骨の膨らんでいる人は、①~③、②~④の寸法が長く、①~④の間隔が広くなります。イカリ肩の人は、③~④が長くなるか①~②が短くなります。内側斜辺①~③を計ることで首の位置が前か後ろかが分かりますし、外側斜辺④~②を計ることによってどれくらい前肩であるかが分かるのです。

 

この斜辺裁断法は、「三角形は形が変わらない」と言う定理に基づいております。すなわち四角形に組まれたものは変形するけれど、三角形に組まれたものは変形しないことを利用しています。

 

余談ですが、三角形は多角形の基本になっており、すべての多角形は三角形に分解できます。このことを利用して有限要素法と呼ばれるコンピュータ・シミュレーションで、橋やダム、建物などを小さな三角形の部材に切り分け、計算することが一般的に行われております。

 

ちなみにレディース服でも、欧米で斜辺を利用した採寸法がよく利用されています。 ショルダーポイントから後ろ中心とウエストラインとの交点まで、あるいはショルダーポイントからBPを通って前中心とウエストラインの交点まで採寸することで、体型の立体感が把握できます。

 

三角形を利用した斜辺裁断法はかなり応用できそうですね。

 

今日のめぐにゃー♪

 

 

いつも応援して頂き、ありがとうございます。

ブログ村 洋服(洋裁)ランキングに参加中です。

 

ポチッとクリックして頂けると、とても嬉しいです

 

   
    にほんブログ村