工業用ミシンと家庭用ミシンって、何が大きく違うかご存知ですか。

 

パワーのある工業用ミシンや職業用ミシンは綺麗に縫えるとか言いますが、綺麗に縫えるかどうかにパワーは全く関係ありません。

 

“釜“と呼ばれる部分が大きく違うからです。”釜“はミシンの心臓部。

上糸のループに下糸を通すのに、“釜”と呼ばれる部品を使います。

 

 “釜”が真上に向いているのが水平釜で、 “釜”が真横に向いているのが垂直釜。

 

垂直に取り付ける釜はボビンを入れただけでは落ちてしますので、ボビンケースを利用してボビンを中釜に格納します。

 

釜には剣先と呼ばれる部分があり、この剣先が上糸のループの中に入ります。

剣先はだんだん太くなってループの輪がどんどん大きくしてループの中を下糸が通ります。

 

家庭用の釜と工業用・職業用の釜で、どう違うのかと言うと、

 

<家庭用の場合>

オールマイティーに縫えるので、水平釜式とよばれるボビンケースが要らない構造のものが主流。ジグザグに縫わなければいけない家庭用ミシンは、布の進行方向に対して垂直に“釜”が回転します。

 

メリット:下糸の調整も要らないし、下糸が絡みにくいのも特徴。ボビンケースが要らないので下糸のセッティングが簡単で下糸の残量が見やすい。

 

デメリット:下糸調子をきっちりと合わせられない(下糸調子の調整はボビンケースで行うから)。下糸を横から引っ張り上げる形になるので、垂直釜に比べて糸締まりがイマイチで縫い目が少しだけゆがむ。

 

<工業用、職業用の場合>

針が横に振らない直線専用機に特化しており、縫い上がりが綺麗(ボビンケースで下糸の調子を合わせるため)。

 

工業用、職業用ミシンは直線しか縫いませんから、布の進行方向と平行に釜も同じ向きに回転します。

 

釜は垂直釜で、下糸のボビンをケースに入れて使用します。ボビンケースで簡単に下糸の調節ができます。垂直釜には中釜がボビンケースの周りを同じ方向に回る全回転式と左右交互に回転する半回転式があります。

 

半回転式よりも全回転式の方が、縫い目が綺麗に仕上がります。ボビンケースに突起があるのが半回転式釜、突起がないのが全回転式釜。

 

半回転式は中釜がボビンケースの周りを回転してまた元にもどる構造なので、 元へ戻る反動で力が加わるので割合厚いものを縫うのに適している。 使用する糸が弱いものでも縫い目が非常によい具合に締まるため、従来は家庭用として一般に使われていました。

 

垂直釜は下糸ボビンが縦にセットされるので、上下糸で締めて縫い目を作る事を考えると原理的に自然で、特に半回転釜の糸締まりがいいと言われています。半回転釜は釜の分解や組み立てが簡単で、手入れがしやすいのが特徴。

 

全回転釜は一定方向に全回転するので、回転も滑らかなので音も低く、糸絡みが少なくて高速度回転が可能です。全回転釜は音・振動が半回転釜より静かであるが、 どちらが良いとは一概にいえず、それぞれに一長一短がある。

 

<釜に傷を付けないこと>

釜に傷があると糸調子が乱れたり、布の裏でタオル地のような輪っかができたり、糸が絡まったり…と縫えない状態になってしまいます。

釜に僅かな傷や目に見えない程の細かい傷が付いていても縫い目に影響が出る場合があります。

 

釜等に傷がつかないようにするには、針が曲がらないように気をつける必要があります。

 

針をちゃんと奥まで差し込みます。そうでないと針が曲がってしまいます。

細い針で厚い生地を縫うと折れやすくなります。

 

家庭にある太いドライバーで強く締め付けると、針の止めネジがすり減ってへこむため、押えが弱くなって針が曲がります。ミシン付属のドライバーを使用した方がいいです。締めすぎず、緩すぎずです。

 

ボビンケースを格納する中釜にたくさん糸グズやホコリがあると、上糸がホコリを引っかけてホコリと一緒に布を縫ってしまいますし、糸グズがあると上糸が引っかかって縫えなくなります。

 

<釜の掃除>

ミシンは、使い終わった時に手入れしないといけません。

特に釜内部や周辺、送り歯の掃除は大切です。あまりに使いっぱなしにすると故障します。ホコリや糸クズがついたまま使うとモーターに負荷がかかったり、故障の原因にもなるので定期的に掃除する必要があります。

 

油の混じったホコリは綿棒で、大きいホコリはキッチンペーパーで取り除き、細かいホコリは付属品のミシンブラシやエアースプレーを使って取り除きます。ミシンブラシでは手に負えないほどのホコリがある場合は掃除機で取り除きます。

 

釜の溝のホコリが取れにくい時は爪楊枝で釜に傷をつけないようにして取り除きます。

 

特に自動糸切り装置が付いているミシンは、掃除が必要です。装置の歯車の溝にホコリが溜まると、歯車が回らなくなってしまいます。

 

<釜の注油>

掃除した後は、釜の注油です。毎日使うのであれば、週1回の頻度が望ましいです。

注油しないで使用を続けると、縫い目に異常が出たり、異音が出たり、釜が動かなくなったりします。

 

ボビンケースを外した状態で、1~2滴ミシン油を釜のレール部に注油し、はずみ車を手で回して油が釜にいきわたるようにします。注油後は糸や生地に油が付くことがありますので、捨て布で油が付かなくなるまで縫って下さい。

 

ミシン油が基板などの電気系の部品に付着すると、動作不良が発生する可能性があります。

 

 注油はミシン専用の油で行い、スプレータイプの「クレ556」は注油しないでください(不具合が出ることがあります)。

 

<ミシンを長持ちさせるには>

・プーリーは、手前に廻す。

逆方向に廻すのはタブー。釜が逆回転してしまいます。

 

・天秤が最上点まで上がるまで布は抜かない。最上点で糸が釜から抜けきった瞬間です。プーリーを手前に廻して、これ以上廻すと針が下がってしまう手前の位置です。

 

天秤が上がり切って一つの縫い目が完成します。その前に押えを上げて布を動かすと、釜の中に上糸が残っているので、トラブルのもとになります。

 

針だけ見て上げている人は、この天秤が下になっています。

 

・布は後ろ側に引っ張って抜き取る。手前に引くと針が曲がりやすくなります。

 

 

以上の最小限度の注意でミシンの不調は避けられます。

 

めぐちゃんの釜はこれ!お掃除しなきゃにゃー

 

 

 

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