ラジオ放送局の電波を受信するラジオは、ラジオの元祖の鉱石ラジオから真空管ラジオへと、更に進化してトランジスターからIC(集積回路)ラジオへと発達して来ました。
現代では、小型の代名詞のようにイメージされる「ポケットラジオ」(ポケットにも入る小型ラジオ)が活躍しています。
ソニーのトランジスターラジオ
TR601(昭和30年)
そこで、ポケットに入るまでに小型化を可能にしたラジオにおける技術を探ってみますと、そこにはラジオ部品の驚異的な小型化が有りました。
ラジオの元祖の鉱石ラジオを経て、次の世代のラジオには微弱な電波を増幅したり、スピーカーを鳴らすために真空管が使用されていました。
放送局を選局するためには、連続可変コンデンサー(バリコン)が必要です。しかし、当時はそれらの部品の寸法が余りにも大きいがために、「ポケットラジオ」の製造は、夢のまた夢の絵空事の世界でした。
※ラジオの小型化を可能にした技術の変遷
・真空管 → トランジスターとかIC
・バリコン → ポリバリコン
・コイル → フエライトコア
・電線の半田付け → プリント基板
左 真空管ラジオに使用のバリコン
右 トランジスターラジオのバリコンとコイル
真空管ラジオのバリコンと空心コイル
真空管ラジオで放送局を選曲するためにはダイアルを回します。そのダイアルを回しますと、バリコン(バリアブル・コンデンサー → 空気可変コンデンサー)が同時に回ります。このバリコンの超小型化には、誘電率の大きいポリエチレンを使用したポリバリコンの発明が大きく貢献しました。
そのポリバリコンは、九州から一人上京して来た少年、森部一(もりべ はじめ)が、昭和29年に、このポリバリコンを発明。現在の部品メーカー、ミツミ電機の基礎を築きました。
その他、フエライトコア・アンテナの採用とか、部品同士の接続にプリント基板を採用したことも、ラジオの小型化に大いに貢献しました。