浜松の惣鎮守~松尾神社(浜松市中区元魚町)。
今日は以前から創建に疑問を持っていた、浜松市中区元魚町に鎮座する
松尾神社
場所は旧東海道、旅籠町と伝馬町の間にある松尾小路を西に100㍍ほど入ったところにあります。
市中心部では最も古い神社とされ、天正五年(1577)に浜松市中区塩町から遷座されたと伝えられています。
社伝によると、「浜松の旧社にて、浜松神社と称し今をさるおよそ千三百年前の和銅年間に創立せるものにて、古く白鬚神即ち浜松の産土神を祀る」とあります。
ただ、和銅年間創立であれば式内社に特定または比定されるはずですが、私が調べたところではいずれもされておりません。
拝殿
現在の主祭神は、前出の白鬚神、大山咋神、厳島姫神(京都松尾大社の祭神の一柱、市杵島姫命と同神だと思います)。
松尾神社となったのは、社伝では「明徳二年(1391)松尾信濃守が曳馬城に入城するに当たり鎮守として、山城の松尾の諸神を勧請す。天正五年(1577)徳川家康曳馬城改築にあたり、鎮守松尾諸神を浜松神社と合祀し社名を松尾神社と改称する」とあるので、戦国時代になります。
白鬚神を祀る有名な神社としては滋賀県の白鬚神社があります。こちらは全国の白鬚神社の本社(奈良桜井市白鬚神社説もあり)であり、主祭神は猿田彦大神です。天孫降臨の際に道案内をした国津神ですね。ならば、元は道祖神的な役割を担ってお祀りされた可能性があります。最初の鎮座地塩町は東海道に面しておりますから。
ただし、創建が和銅年間まで遡るのであれば、古代官道(駅路または伝馬路)と同コースでなければなりません。こちらは駅の場所が特定されていないので、何とも言えないですね。猿田彦命については伊勢(猿田彦総本社は伊勢の椿大神社)や渡来人の開拓についても考慮する必要があるし、近くの鴨江寺の創建が和銅年間に近い大宝三年(703)であることから鴨江寺となんらかの関係があるのかもしれません。ということで、創建については今だ疑問であると申しておきましょう。
本殿
摂社の天神社と稲荷社
こちらも摂社の津島神社
こちらは・・・わかりません
まぁ菊蔵ブログらしく能書きを書きましたが、浜松市中心部の鎮守社として役割は大きく、例祭(6月15日前の土日)の神輿神幸は街中(氏子十町)に繰り出され、賑わいをみせています。
また、6月30日には画像の鳥居に茅の輪がつけられ、厄除け神事として信仰を集めています。
参考文献
『「日本の神様」がよくわかる本』(戸部民夫 php研究所 平成16年)
『浜松歴史散歩』(神谷昌志 静岡新聞社 昭和60年)