映画「復讐者に憐れみを」 | ある在日コリアンの位牌

映画「復讐者に憐れみを」

ジェネオン エンタテインメント
復讐者に憐れみを デラックス版

 11月14日に紹介した「親切なクムジャさん」、また4月16日に紹介した「オールド・ボーイ」。この2作の前に作られた復讐3部作のはじまりが「復讐者に憐れみを」です。パク・チャヌク監督。


 ソン・ガンホシン・ハギュンぺ・ドゥナなど、個性的で人気のある、また注目されている俳優陣を起用し、話題性には事欠かない映画でしたが、何せ復讐をテーマにした映画であったため、興行的には難しかったようです。

 しかし、私は復讐3部作といわれる中で、この「復讐者に憐れみを」一番評価しています。映画としての完成度が高く、人間の負の連鎖を見事に描いていると思うからです。まぁ「オールド・ボーイ」や「親切なクムジャさん」と比べると少し地味な感はしますが(笑)。


 中心となるのは、二つの復讐劇。そして復讐の連鎖。

 聴覚障害者のシン・ハギュンは、腎臓を患う姉のため、臓器密売組織に、虎の子の1千万ウォン(約100万円)と自分の腎臓を提供することで、姉の体に適合する腎臓を依頼するが、お金を騙し取られ、自身の腎臓も抜かれるという悲惨な結末に……。

 ちょうど、そのとき病院から姉の腎臓移植に適合するドナーが現れたと知らされるが、あとの祭りだった。そんなときシン・ハギュンの恋人であるぺ・ドゥナは、金持ちの子供を誘拐して身代金をせしめ、それを病院代に当てることを提案する。

 そして誘拐した子供が、ソン・ガンホの娘だった。身代金を受け取った後で、娘を家に戻すつもりだったが……。

 

 誘拐が引き金となり、恐ろしい負の連鎖がはじまる。復讐が復讐を呼ぶその連なりに、ある種の抗し難い人間の哀しみを見たような気がした。


パク チャヌク, イ ジェスン, イ ムヨン, イ ジョンヨン, 李 康彦

復讐者に憐れみを