映画「魚と寝る女」
エキセントリックな愛と幻影、残酷美とエロス、哲学したい方にお勧めします。
「魚と寝る女」は、皆さんをすぐにキム・ギドク監督ワールドに連れて行ってくれる作品です。主人公の女性、ヒジン(ソ・ジョン)は映画「ペパーミント・キャンディー」(6月6日紹介)にも出演していましたが、まったく雰囲気が違い、かなり神秘的というか狂気に近い。しかし、とても悲しい女性を演じています。
舞台は、湖に浮かぶ船小屋。小さな船小屋が湖に点在している。ヒジンは釣り場の女主人。作品の中で一言もしゃべりません。
ボートを操り、点在する船小屋をいったりきたりして、釣り客に釣り針や飲みモノ(コーヒー)など、釣り客が必要とするものを売っている。そして夜になると釣り客に、まるで昼間、モノを売っていたように無機質に体を売る。
あるとき殺人を犯し、死に場所を求めて一人の男、ヒョンシク(キム・ヨソク)が船小屋にたどり着く。ヒジンは、この男の様子を観察していた。同じ匂いを感じ取ったのだろうか? ヒジンはこの男に惹かれていく。
ところで、この二人については、釣り針を介した予想外の衝撃シーンがあるので、血のシーンに弱い人にはお勧めしません。
ある日、湖に沈められた遺体が発見されます。ヒジンは、ヒョンシクの船小屋にボートのエンジンを取り付け船小屋ごと逃げるように湖を渡っていきます。
終局、美しくも衝撃的な映像美が映し出されます。
水中から出てきたヒョンシクが、湖に浮かぶ葦の中へ分け入って行きます。
まるで、人生のカオスへ分け入るように……。
2001年ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞作品