パンズ・ラビリンス | ひでの徒然『映画』日記

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パンズ・ラビリンス


Comment:

1人の少女に与えられた過酷な試練を描いたダーク・ファンタジー。


まさか、こんなにも重い作品だとは思ってもみませんでした。


ファンタジー作品でこれほど惹き付けられたのは「ロード・オブ・ザ・リング」以来でしょうか。


1944年、スペイン。独裁政治による内戦が絶えない中、山奥の製粉所を拠点に指揮するビダル大尉の元へ向かう一行がいました。臨月を向かえ体調が優れないビダルの妻カルメンと娘オフェリア。大好きな父を内戦で亡くし、ビダルとの再婚を快く思わないオフェリアの唯一の楽しみは絵本と読むことでした。


そして、オフェリアの前に出現する魔法の王国の住人たち。しかし、王女が人間界に逃げてしまい、現在は魔法の王国の扉が閉まっています。


扉の番人、迷宮の守護神パンは、オフェリアにあなたこそが王女の生まれ変わりだと伝えます。そして、オフェリアは3つの試練を与えられ、王女であることを証明するのですが・・・。


大好きだった父を亡くし、母は好きになれない男に寄り添ってしまう・・・。

友達もなく、最前線の拠点に連れて行かれてしまうオフェリア。


幸せを見出せない現実の世界・・・。


オフェリアにとっては、魔法の王国の王女としての未来に光を感じることができたのでしょうね。オフェリアは、与えれた試練に立ち向かいます。


現実の世界では、ビダル大尉に立ち向かうゲリラに情報を提供するビダルの使用人メルセデスと医師フェレイロが奔走します。しかし、フェレイロはゲリラのリーダーでメルセデスの弟ペドロに忠告します。


「負け戦になる。メルセデスと逃げなさい。」


それでもペドロは、ビダルに立ち向かいます。ゲリラとビダル率いる政府軍の戦いは凄惨を極めます。特にビダルは容赦ありませんでした。人の業とは思えません。


退却することもできたゲリラ側でしたが、それでも屈することなくビダルに立ち向かいます。


しかし、オフェリアは・・・。


母カルメンからは、弟が誕生したら姉になる。もう子供ではないのよ。と再三、叱られますが、オフェリアはまだまだ親に甘えたい子供だったのでしょう。ゲリラの大人たちのように現実から目を背けずに立ち向かう勇気がなかった、あったとしても、あの状況下ではどうすることも、もちろん逃げることもできなかったのでしょうね。


唯一、逃げることができる場所は、魔法の世界だけでした。


魔法の世界は空想上の世界・・・オフェリアだけの世界だったのでしょうか。


オフェリア役のイバナ・バケロが大人でもない子供でもない微妙な時期の少女を繊細に演じています。


監督はギレルモ・デル・トロ。ホラー映画を数多く撮っている監督だけあって、魔法の世界のパン、ペイルマンなど、可愛らしいとは程遠いクリーチャーたちが登場します。あのおぞましいクリーチャーたちはオフェリアが現実の世界で受けた負の要素が反映されているようにも感じました。


ダーク・ファンタジー。おとぎ話は、実は残酷で悲しい物語が多いものです。


この作品は現代のおとぎ話・・・幸福と不幸が表裏一体になっています。


ラストシーンでのオフェリアの微笑みが幸福でもあり、不幸でもあり・・・胸が痛むものの、おとぎ話のように後世に残したい作品ですね。



にひひにひひにひひにひひかお



Title:

LABERINTO DEL FAUNO, EL


Country:

Mexico/Spain/USA (2006)


Cast:

(Ofelia)IVANA BAQUERO

(Captain Vidal)SERGI LÓPEZ

(Mercedes)MARIBEL VERDÚ

(Fauno/Pale Man)DOUG JONES

(Carmen Vidal)ARIADNA GIL

(Doctor)ÁLEX ANGULO

(Garcés)MANOLO SOLO

(Serrano)CÉSAR VEA

(Pedro)ROGER CASAMAJOR


Director:

GUILLERMO DEL TORO


Awards:

Academy Awards, USA 2007

(Oscar(Best Achievement in Art Direction))EUGENIO CABALLERO

(Oscar(Best Achievement in Art Direction))PILAR REVUELTA

(Oscar(Best Achievement in Cinematography))GUILLERMO NAVARRO

(Oscar(Best Achievement in Makeup))DAVID MARTÍ

(Oscar(Best Achievement in Makeup))MONTSE RIBÉ


Los Angeles Film Critics Association Awards 2006

(LAFCA Award(Best Production Design))EUGENIO CABALLERO


National Society of Film Critics Awards, USA 2007

(NSFC Award(Best Film))


New York Film Critics Circle Awards 2006

(NYFCC Award(Best Cinematographer))GUILLERMO NAVARRO



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