アパートの1Kの私の部屋。
灯りを消して冷えた身体ごとギシギシと音が鳴るベッドに潜り込む。
掛け布団を額まで引っ張り、
「もう、寝てしまおう!」と意地ぱっりを決め込む私。
おんぼろのベッド。
朝起きると、腰がいつも痛いんだから!
コツーン!コツーン!!
目を瞑ると・・・二階の私の部屋の木枠のガラス窓に向かって石を投げてくる人間がいる。
警察を呼ばないといけないかしら!
恐る恐るとベッドからそっと這い出して窓際に向かう。
窓枠の端から外を見ると・・・レンチィオが満面の笑顔で叫んでいる。
”Open the door!”
「開けてくれないと、石投げはやめないよ!」
「イタリア人のオトコは諦めが悪いのさ!朝までやめないよ!」とレンチィオ。
「もう、終わったんだから!終わったんだから!!」と私も二階から叫ぶ。
そんな時間が1時間も過ぎても、彼は退かない・・・。
近所からは罵声が飛んでくる。
「開けてやれよ!うるさいなあ!」
仕方なくも重いコットンのバスローブを引っ掛け階下へ・・・。
「もう・・・許さない!こんな騒ぎを起こして!」
木がささくれ立った剥き出しの重い白いドアの鍵を外す。
”グラッチェ!グラッチェ!”
「寒かったよ、抱きしめさせて!」といきなり、階段の下に押し倒された。
「お願い・・・他の部屋の人が怒るからやめて!」と小声で彼の耳元に囁く。
「ヤスコ・・・じゃあ、部屋に入れて・・・。」と彼も譲らない。
こんな押し問答が5分。
床の上で横に寝転びながらも彼の舌が押し込まれ、黙らされた。
バスローブはとうに脱げかかっている・・・。
そして・・・彼の舌は私の上の歯茎をまさぐり、鼻の頭から瞼までのキッス。
二人はもつれながら、階段を上がっていく・・・。
ベッドは今晩もまた軋むのだろうか?