処置の仕方 | N e w  Y o r k B l o w -NYでもタコ焼きを焼く英国人へ-

処置の仕方

既にご存知の通り、
ニューオーリンズを壊滅させたハリケーン、カトリーナ。
日々死者数は増え、病気になる人も増加の一方。
軍や警察は治安維持を優先させ、
救援を優先させる事は未だに行ってない。

被災後5日も救出に掛かった事は、
どんな理由が有ったのかは不明だが、
取り残された住民を苛立たせたのは事実で、
未だに彼等は不安な日々を過ごしている。
しかし、彼等は単なる被害者なのだろうか。

3日にCNNの「ラリー・キング・ライヴ」で、
当局の対応が遅れて救出までに5日も掛かったのは、
政府の不始末だと激しく非難したセリーヌ・ディオン。
彼女は被災者救援に、100万ドル(約一億1000万円)を寄付した。
沢山の芸能人が今回の被災に対しての寄付をし、
彼女もその一人で、そして今回のコメントに至っている。

確かにブッシュ政権の対策は未だに後手後手だ。
だが被災者救援と同じく、
略奪者逮捕等の秩序回復も重要だ。
所謂火事場泥棒を働く者も、沢山居るからだ。
特にこの地域は貧困層が約5割を占めて居る為、
取り残されたのはこれ等貧困層。

あんなに沢山残されたと聞いて、
何で逃げなかったのか?と思ったが、
車も持て無い多くの低所得者が取り残されたのだ。
だけど警報が出た段階で、
市当局も所得者層構成が判っているのだから、
自力脱出出来ない人の数を、ある程度把握出来た筈。

なら、軍・警察・州警察・連邦警察へ、
人員輸送の依頼を出せた筈。
だが、それを怠ったのは、
政府よりも先に起こした完全なミスだ。

そして何よりもアメリカ人の融通の利かなさとワガママさが、
救出に使えた軍・警察の労力を「秩序回復」へと、
重点を置かせているのが理解出来ていない。
勿論こんな時には政府が先頭に立って対策に当たるが、
矢張りそれに専念出来る様に住民も協力するのが当然だ。
だが、それが社会背景の全く違うアメリカ人には、
そういう考え方が無いのだ。

過日の新潟地震でも、配給する側・される側の、
基本的な協力関係が出来上がっていた。
日本では単一民族だと言う事も有り、
その辺の考え方が一本になっているので、
助けるにしろ助けられるにしろその立場を理解し、
その立場での行動を取ろうと誰もが「協力ありき」と動く。

しかしアメリカの被災者は全くそんな要素は無く、
自分が助かりたいが為に食料を盗み、
衣料品店から服や靴を盗み、
日用品店では自分の服や子供のオムツを盗めるだけ盗む。
それも頑丈に施錠された鍵を壊して、盗みを働く。
そりゃ、犯罪だという事と店主の事を考えれば、
当然警察が検挙に走り回るのは理解出来る。

個々の理由は当人にすれば、尤もなものなんだろう。
だからといって盗むのは正当化されない。
私なら緊急事態だからということで、
援助物資が到着するまでに各企業の店長に話し、
食料品や日用品を配給して2-3日凌ぐ。

勿論全部ただで貰う訳でなく、
代金は後日在庫台帳を見て支払えば良い。
勿論不透明な部分も出てくるかもしれないが、
そんな事より人命優先をするのが、
被災地の長としての役目だと思うからだ。

配給もそのスーパーなどの店舗で行えば、
(可能な状態であれば)
店舗を破壊される事も少なくなるだろうし。
何より地域貢献度が増す。

カニエ・ウェストも今日になって、
『ブッシュは黒人の事なんか、考えてやしない』
と声明を発表したり、
その他知名度のある人物や野党は、
ブッシュ・バッシングの度合いを増している。
ま、バッシングされるだけの体たらくな事をして居るから、
それを否定する気は毛頭無い。

ニューオーリンズの人口の7割が黒人で、
その殆どが低所得者で生活保護を受けるのは、
当たり前の様な地区。
勿論色んな意味での差別は、
誰が何と言おうと有るのは事実。

そしてブッシュが現地視察したとアピールしても、
あの1万人以上が取り残された中心地へ、
足を踏み入れるどころか、洪水で濡れた道路ではなく、
他地域の乾いた道路を数時間歩いただけだと言う事は、
皆が知っている事実。

それも後手後手の失策を自画自賛して、
差別問題は黒人であるライスに弁解させ、
また高い税金を使って対応の拙さの仕組みを、
解明する委員会を立ち上げると表明。
バカかっ、お前は!って突っ込んじゃったよ。

いつも言うことだが、アメリカは日本人が思う程、
成熟した社会ではない。
未だに識字率は7割台だし、
日本に比べて教育水準はとても低いから、
短絡的な発想でも許されている部分も多い。
(ってか、それすらも気付いて無い)

映画やドラマに出て来る様な近代的で、
都会的な生活環境で生活を営んでいる人は、
日本人の予想を遥かに下回る、
人口の1割以下だ。

誰も何もしてくれないとか、
助けてくれとキャメラに叫ぶのは良いが、
彼等を助ける筈の州兵をイラクに送っているのは、
彼等が選んだブッシュだし、
何もしてくれないからと言って、
犯罪を起こしてるのも彼等自身だ。

自分で自分の首を絞めている事に気付くだけでなく、
そこからどうすれば良いかを考える知恵を持たねば、
彼等の人生は成り立たないのだ。
移民の国アメリカだからこそ、
もっと熟考して行動を起こさねばならない事も、
アメリカ自身が理解しきれて居ない事が、
最も哀れな事だ。

日本でも14号で各地に被害が出ている様だが、
政府関係者や都市部のインテリは、
被害の大きさと日本政府の舵取り具合に注目を集めている。
アメリカが出来なかった同等大の台風での被害復旧を、
どう捌くかをだ。

きっと日本は数ヶ月で目処を立て、1ー2年で片付けるだろう。
だが、アメリカは何年も遅れて復旧するだろう。
そして何年も世界から遅れていくのだ。
何処まで遅れたら気が済むのか、アメリカよ。