高魂神社(宮城県角田市) | 碧風的備忘録

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髙魂神社(たかたまじんじゃ)

 

角田市尾山字荒町に鎮座。旧社格は村社。

御祭神として高皇産霊尊天津日髙日子波瀲建鵶草葺不合尊

神日本磐余彦尊玉依姫命を祀る。

その他に、近隣に鎮座していた神社の火産霊神・武甕槌命

熊野櫛御食野命・保食命・倉稲魂命・稚産霊命・雷神・大山祇神

大日孁神・誉田別尊・天児屋根命・蛭子命を合祀・配祀している。

 


由緒によれば、髙魂神社は平城天皇の御代である

大同2年(807年)に勧請されたという。

勧請当初の御祭神は造化三神の高皇産霊尊と、

熱日髙彦神社の御祭神である天津日髙彦火廼邇邇杵命の

孫神である天津日髙日子波瀲建鵶草葺不合尊の二柱だった。

 

寛永年間に、村を治めていた佐々若狭守宗春が

主祭神の鵶草葺不合尊の御子である神日本磐余彦尊(神武天皇)と

鵶草葺不合尊の叔母であり后神である海神の玉依姫命を合祀した。

 

昔は『高玉明神社』と呼ばれ、皇室や幕府からも

篤く尊崇されていた。弘仁2年(811年)に起きた東夷反乱の際、

陸奥権守である大伴国道から代参をうけ、征夷祈願がなされた。

文政10年(1827年)3月には、神祇官(朝廷の祭祀担当官)侍従である

卜部朝臣良長が奉幣し、天下泰平と皇室安泰を祈願した。

 

徳川幕府の時代には、奥州巡見使を派遣する度に

高玉明神社へ参拝し、金幣(金色の御幣)を奉献することを例としており

天保8年(1837年)には12代将軍である徳川家慶により

黒田五左衛門・岡田右近・髙橋伝七郎を先例に基づき

巡見使として派遣し、髙魂神社へ金幣を奉納させている。

(その時に奉納された金幣と、お茶を供するために掘った井戸が現存)

巡見使にお茶を供するために掘られた井戸。

2mほどの深さがあり、現在も水が溜まっています。

 

伊達藩主による崇敬もまた篤く、例祭の度に警護用具を備え、

神輿渡御の警護要員として足軽四名を派遣したという。

村主である佐々氏からも代々崇敬されており、

地頭である大立目氏とともに社殿の造営や社領の寄進、

祭事の興行が相次いで行われていた。

 

往古から『高玉明神社』『高玉社』『高玉大明神宮』などの

社名で呼ばれていたが、明治時代の初頭に

現在の社名である『髙魂神社』に改称された。

明治5年2月に村社に列し、明治40年に供進社指定。

 

明治42年には内町地区に鎮座する愛宕神社、

山根地区に鎮座する八竜稲荷神社と雷神社、

大門地区に鎮座する三峯神社、荒町地区に鎮座する神明社、

下山地区に鎮座する稲荷神社などを合祀している。

髙魂神社の西側に鎮座する御社。

髙魂神社に合祀された神明社の社殿でしょうか。

 


角田市尾山地区に鎮座する髙魂神社です。

車で参拝される場合は、神社の北側にある道路から

金津中学校の横を通る道に入り、境内に駐車することになります。

髙魂神社参道入口。

 

髙魂神社鳥居。

こちらの鳥居は、近くの明通峠の中腹にあった『亀石』という

花崗岩の大岩を切り出して用いたものだそうです。

 

髙魂神社境内。

境内南側には内町湖からの水路が流れており、

水路の上流である馬船峠には髙魂神社の禊の滝があるそうです。

 

入母屋造の髙魂神社拝殿。

尾山(金津)地区は宿場町であり、藩政時代には

代官所が置かれていたため、髙魂神社の社殿も

村社としてはかなり立派なものとなっています。

拝殿内部には大きな御神鏡が安置されています。

 

髙魂神社拝殿扁額。

 

一間社流造の髙魂神社御本殿。

 


髙魂神社の境内社として、『宮城県神社名鑑』には

秋葉神社・桜木神社・金刀比羅神社・神虫神社・山神社・天神社が

あると記載されています。

神虫神社は御祭神は不明ですが、養蚕の守護神だそうです。

しかし、境内のどの御社がどの境内社かは不明なようです。

 

参道左側に鎮座する小祠と足尾山の石碑。

足尾山は茨城県石岡市に鎮座する足尾神社のこと。

国常立命・面足尊・惶根尊をお祀りしており、

足の病気や交通安全の御神徳があるそうです。

金津宿という人々の往来がある場所らしい小祠です。

 

左側の小祠は不明ですが『聞いたことがある名前の神社』とのこと。

 

参道左手の石祠のようなもの。

特徴的な赤紫色の石ですが、これは福島県伊達市梁川町や

丸森町付近で産出する『赤滝石』という石材を用いたものです。

 

社殿裏手の庚申碑や古牛田山神、巳待碑などの石碑。

 

社殿裏手左側には大神宮や古峯神社の石碑。

参拝しているのは猫かと思ったら野生のタヌキでしたァーッ!!

 


髙魂神社の御本殿の真後ろには、

ハートの模様の石扉がついた小さな祠が鎮座しています。

社殿裏手の『ハート模様の石祠』。御祭神は不明です。

 

このハート模様は『猪目模様』というもので、

イノシシの目を模した模様だそうです。

猪目模様には魔除けの効果があるので、

神社仏閣などの装飾によく使われています。

 

髙魂神社の主祭神である高皇産霊尊は

物事の生育や成長の力である『むすひ(結び)の力』を司る神様で、

男女の御縁や人と人の縁など、様々な御縁を結ぶ御神徳があります。

こちらの猪目模様のある石祠では、ハートの模様にちなみ、

特に恋愛関係の祈願をすると願いが叶うという話があるんだとか。

 

また、御祭神の鵶草葺不合尊と玉依姫命は夫婦神であり、

神日本磐余彦命(神武天皇)は鵶草葺不合尊の御子であることから、

夫婦円満・子宝や安産祈願の神社としても崇敬されています。

 


髙魂神社ですが、こちらは角田市枝野に鎮座する

延喜式内社の熱日高彦神社の兼務社となっています。

髙魂神社の御朱印は現在作成中とのことですので、

御朱印は拝受次第、掲載したいと思います。

 


< 地図 >

備考:車で参拝する場合は神社北側から境内へ回り込む必要あり。

髙魂神社そばの金田屋菓子店の『バター最中』はおすすめの一品。