(182) さよならロレーヌ | MoGaの『ネトウヨ戦記』 2nd Season

MoGaの『ネトウヨ戦記』 2nd Season

一期はネトウヨ戦記という小説で、二期の現在は実際のAmeba空間で不毛な戦いを続けております。
全ての一次創作品について、著作権は私にあり、イラスト・漫画・小説の無断転載を禁止します。

その日、エトーなき後の『青龍』軍本部にて、キューティーの音頭による緊急の会議が開かれていた。
それは関係者の末端にまで声がかかった程の重要なものであったが、エトーのアメブロ及びネット引退、その後実行された四天王各班による作戦の相次ぐ失敗、極めつけは、先日のキューティーによるキムタクへの決別宣言等の状況により集まりはすこぶる悪く、会議場に用意された50人分の席は半数も埋まっていなかった。
それでも、『白虎』リーダーでもあるムルチコ、お基地の『斧2cm鉄』、アホで変態の『クーフン』、すぐにキレる『特亜のやまちゃん』、デリヘルの雇われ店長『全日本』といった主要な面子は揃っていた。
その中には呼ばれてないのにノコノコやって来た『ロレーヌの局』も居合わせており、会議の状況は例によって彼女からすべてを聞くことができた。

ごく事務的な挨拶から最近の状況について簡潔に説明したキューティーは、本題となる今後の方針について、

「・・・というわけで、気持ちも新たにして今後は四天王の派閥に捉われることなく、反差別の有志皆が一丸となってネトウヨ・レイシストに対抗しなければなりません。
私達『青龍』については、以後特定のリーダーを定めることなく、民主的な運営に移行したいと思っています。
いずれはエトー先生が戻っていらっしゃるかもしれませんしね。
以後の取りまとめについては、便宜上私が執り行います」

と語ったが、当然のことながら、これには各人から不満が噴出した。

「ふー、キューティーさん、キムタクさんと喧嘩したばかりで派閥に捉われないとか、ふー、おかしいのふー」

「その通り。
一時的な感情で無用な確執が続くような事になれば、その責任は重大ですぞ」

「ネトウヨに味方して同胞と喧嘩したなどと、エトー先生のお耳に入ったら、どれほど悲しいお顔をさしてあそばせるか・・・」

クーフン、小野、ロレーヌがそれぞれケチをつけると、キューティーはまずロレーヌに「貴女には言われたくありません」と述べてから、

「私はキムタクさんの邪魔をするつもりはありませんし、向こうも私の事は必要以上に攻撃したりはしません。
彼との事は、あくまで私個人の問題です。
他の方々が『玄武』軍に出入りする事を私は止めませんし、キムタクさんを尊敬していらっしゃる人を否定はしません。
共通の敵が誰なのか、それだけを忘れないようにしましょう。

・・・正直、エトー先生がいなくなって、反差別界隈には女性が少ないですし、私も一線を退くつもりでした。
でもこのままでは、ネトウヨを撲滅するまでは、やっぱり終われないって、そう思ったんです。
皆も力を貸してください。
お願いします」

と語り、深々と頭を下げた。
この姿に、批判的だった出席者の面々も、幾分態度を軟化させた。
クーフンなどはふーふーと息を荒くしつつ、「MoGaやとどんにまで色目を使うとは、そんな女だとは思わなかったふー・・・」と呟いていたが、隣にいたムルチコにスリッパで頭をはたかれて黙り込んでしまった。

「あの、キューティー、さん」

「はい、ムルチコさん」

ムルチコが珍しく立ち上がり、自ら意見を述べようとしていた。
その生き生きとした様子は、梟氏などの標的としたネトウヨに相対した時と似ているようだった。

「まあですね、私は、別に、派閥とか、元々、どうでも、いい、と、思って、ましたから。
確かに、人材は、不足して、ますから、協力、し合って、いくのは、いいと、思い、ます」

「はい、その通りです、パブロンさん」

「それならば、なぜ、ここに、ネトウヨが、いるの、ですか!」

滅多に声を荒げないムルチコが怒鳴り声をあげて指さした先には、『名誉朝鮮人』が縮こまって座っていた。
皆の目が一斉にそちらに注がれる。

「ば、馬鹿な!(^∇^)
よりにもよって、なんで私がネトウヨ扱いされなければいけないんだ!?(^∇^)
私はホストや梟らのネトウヨのビッグネームと長い間敵対してきたんだぞ!(^∇^)
こんな失礼な話があるか、私はもう帰らせてもらう!(^∇^)」

名誉朝鮮人は腹立ちとムルチコに睨まれた恐怖とが入り混じった感情を込めて吐き捨てると、早々に議場を立ち去ろうとしたが、焦った様子のキューティーが彼の前に立って、

「待って、待ってください!
ムルチコさんはちょっと誤解しているだけだから・・・私が説得します。
名誉さんがネトウヨじゃない事、私は知ってますから。
お願いします、席に戻ってください。
私達には貴方のような有志の日本人の方が必要なんです!」

と必死な説得を試みた。

「キューティーさん、彼は、私の事を、キ○ガイBBAなどと、言って、いたのですよ。
一時、ホストと、懇意に、していた、ばかりか、とどんと、まで、仲良くしたことも、ありました。
貴女が、それを、知らない、はずが、ないでしょう。
彼は、どの面を、下げて、この場に、現れた、のですか。

さあ、もう、帰るの、でしょう?
帰り、なさい。
帰って、ネトウヨの、ところに、でも、行きなさい。

ホラ、出てけ、出てけよ、オラ」

しかしキューティーの説得虚しく、ムルチコは延々と名誉朝鮮人への口撃に終始していた。
場内に非常に気まずい空気が漂い、ムルチコ以外は誰も語るべき言葉が見つからないようだった。
ロレーヌにしても元々ムルチコの事は苦手らしく、この時はなるべく関わらないようにしていたとのことだった。

しばらく下を向いて黙っていたキューティーだったが、意を決したように顔を上げて、

「出て行くのは貴女です、ムルチコさん」

と言い放った。
何を言われたのかわからず茫然とした様子のムルチコに、キューティーは再度告げる。

「名誉さんはここに残ってもらいます。
ムルチコさんはどうかお引き取りください」

「ハァ!?
は、は、ハァァァアア!?」

ようやく何を言われたのか理解したムルチコは、変な声をあげながら白眼を剥いた。
ヤバい雰囲気を感じ取った数人が、ムルチコから距離をとり始めた。
それは四天王の中でも最も恐ろしい人間を怒らせたキューティーの周りも同様で、あろうことか庇われたはずの名誉朝鮮人も彼女から逃げ出してロレーヌを盾にして後ろに隠れたという。
後でロレーヌから聞いた「あんなクズ男、見たことがありませんでしたワよ!」という言葉が、彼のすべてを物語っていた。

「どういうつもりですか、貴女は!
ネトウヨを残して、反ネトウヨのこの私を追い出すと!?」

怒りのあまり、この時のムルチコの口調は非常に流暢なものになっていたらしい。

「ムルチコさん、私は長年ネトウヨと相対し、戦ってこられた貴女の事を心の底から尊敬しています。
何人かのネトウヨの厚生にも成功したと言いますが、それはムルチコさんの愛ある厳しさが功を奏したものだと理解しているつもりです。
けれど、名誉さんに対してその厳しさは逆の結果しか生まないと思います。
私は前からムルチコさんのそのような攻撃的な態度に疑問を持っていました」

「あなたは、なにを言っているのですか。
全然、わかりません」

「名誉さんは当初、私にも非常に批判的でした。
先日の件よりも前に一度キムタクさんと話が拗れた事があって、その事も影響したんだ得と思います。

でも、エトー先生を応援してくれるって、彼はそう言ってくれました。
先生の反戦や反差別、ネトウヨやレイシストを許せないお考えに共感してくれてるんです。
そういう人を反差別側から叩けば反発するのは当然でしょう?

お願いします、理解していただけませんか?
さっき出て行けと言ったのは、名誉さんが出て行くなら、という条件付きの話です。
こんな、こんなところで身内同士で争ってたら、またネトウヨのいい餌になるだけじゃないですか。
ムルチコさん、どうか・・・」

「そうです、私もこれ以上争う気はありません。
貴女とお話する気も、ね」

キューティーが懸命に語るもムルチコの耳には殆ど届かず、彼女いや彼は(ネカマという設定なので)背を向けてスタスタと出口の方へ向かって歩いて行った。

「待ってくださいよ、世話んなった青龍軍になんの挨拶も無しですか?
礼儀を知らないんじゃあ、この前キムタクさんのところで暴れたMoGaやとどんと同じですよ」

『全日本』がそう言ってムルチコを呼び止めようとしたが、ムルチコはまったく意に介さず、オロオロしている斧鉄やクーフン達には目もくれずに出て行ってしまった。

「ムルチコさん・・・」

悲しげな顔で彼女の後ろ姿を見送ったキューティーは、スッと背筋を伸ばすとパンパンと手を叩いて皆に席に戻るように告げた。

「こんな事になって残念です。
それにごめんなさい、私の力が及ばなくて・・・ムルチコさんまで逝ってしまって、状況はさらに厳しくなりました」

「キューティーさん、今のは仕方ないですよ。
皆が同じ事を思っていたはずです。
むしろ言いにくい事を言える勇気を持った貴女こそ、今後我らを牽引するリーダーにふさわしい。
どうか、これからも我らを導いてはくれませぬか?」

「ふー、そうだふー、私らでキューティーさんを支えていくのふー!」

斧鉄とクーフンのフォローで、キューティーの顔色が幾分良くなった。

「ありがとう、2人とも・・・。
あの、皆さん、思えば私達は今まで少しエトー先生やムルチコさんの力に頼り過ぎていたと思いませんか?
もっと私たち1人1人がしっかりしなくては、このままではネトウヨ達に負けてしまいます。
そこで提案したいのですが、もうネット上でネトウヨと直接対峙するのは控えていきたいと思うんです。
いちいち直接相対していては、エトー先生のところにあったような嫌がらせや、ムルチコさんが受け続けていたような執拗なセクハラへの対応で終わってしまします。
これはこの前MoGaと話していて思った事なんです。
あいつは私に会うたびにいやらしい事ばかり言って来て・・・そればかりか、自分のブログでもエッチな話ばかりで、あそこに来る女性ネトウヨブロガーにまで時として下ネタでレスしています。
同じ女性として信じられません」

「そうだ、キムタクさんのところでもいちいち何をナニとか、あそこをアソコと書いたりして、生来がそういう男なんだろう。
きっと仕事もしてなくて、していたとしてもロクな会社ではあるまい。
そこでヒマさえあれば、下品な話ばかりしていてさぞかし人望もないのだろうな」

キューティーに続き、特亜のやまちゃんが勝手な妄想を述べた事に、同じ会社に勤めるロレーヌは若干苛立ちを覚えたらしい。
他の皆が賛意を示すのを確認してから、キューティーが具体的な対策を明らかにする。

「ありがとうございます、皆さん。
では、今からでもブログは全承認制にして、ネトウヨのコメントは今後一切承認しない事、どうしても批判や反論の必要のある時は、直接の掲載は避けて、差別表現などの添削をした上で文章を要約してから、罵倒や汚い表現をすることなく丁寧に論破すること、これを徹底しましょう。
そして、ネトウヨのブログはまず見ない事ですね。
訴訟のためのデータ収集などの目的でない限り、ただ読んでもつまらないし、腹が立つばかりです。

特にあのMoGaのヘイト小説、全部保存してますが、もう中身を読むのも苦痛になって来ました。
この前も、私と思しきキャラにレ、レオタードなんか着せて、プロレスの真似事をさせた場面があって・・・ああ、いやらしい!
もう思い出すのもおぞましいですっ!」

「それは、むしろ美味しい場面だったのではなくて?」

ここでついに空気を読まないロレーヌが口を挟んだ。
全員の注目が一斉に彼女に注がれ、さっきまで後ろに隠れていた名誉朝鮮人が空気の悪さを敏感に感じ取り、キューティーの方に駆け寄って彼女の後ろに身を隠した。

「・・・ロレーヌさん、貴女はどうしてここにいるんですか?」

「どうしても何も、私クシはエトー先生から『朱雀』軍の動向を探り、MoGaを監視するという重要な役割を仰せつかいましたから。
そう言えば、私クシからの報告がまだでしたワね?
少しお時間をいただいてもよろしいかしら?」

「その必要はありません」

「へ?」

キョトンとしているロレーヌに、ここまで出番のなかった自称リア充の在日男『チャンス』が一枚の紙を渡した。

「除名通告です。
もう大分前にエトー先生自らが出されたものですが…もしかして、知りませんでしたか?」

「そ、そんな馬鹿な…せ、先生は私クシには何も仰いませんでしたワよ!?
こんな紙、捏造でしょう!
そうに違いありませんワ、そう、これは罠、きっと…」

現実を受け入れられぬロレーヌに、キューティーの説明はすぐには呑み込めないようだった。
チャンスが仕方ないとばかりに補足する。

「仕方ないなあ。
先生が貴女に密命を下したのが、アレが最後のチャンスだったんですよ。
MoGaの首の一つでも持って来れば、まだ目があったでしょうに…協力するなど言語道断ですよ。
まだペナルティがないだけ有難いと思った方がいいですよ?」

「なっ、それを言ったら、キューティーさんはどうなりますの!?
この前、MoGaととどんを助けるような真似をしたばかりですワよね?
なぜ私クシばかりが…これは差別ですワ、差別ゥッ‼︎」

ショックのあまり騒ぎ出したロレーヌが、辺り構わず放ちまくった毒電波により、やまちゃんをはじめとする数名の犠牲者を出しつつも、最後には『サウラビ』の『馬鹿を斬る刀』を突きつけられ、なすすべもなく強制退場となったという…

そんな騒ぎの後、静まり返った議場に残ったキューティーは気が緩んだのか、机に突っ伏して泣き出した。
かける言葉も見つからないクーフンは、彼女に寄り添いながらもふーふーと言う事しかできないでいた。

「…クーフンさん、ごめんなさい。
今は、今は1人にしておいてください…」

逆に気を遣ったキューティーに言われてしまい、仕方なく帰ろうとしたクーフンの前に、『アホのトタン屋』と『モラハラ』という珍しい取り合わせの2人がヌッと現れ、ビックリしたクーフンが思わず飛び退いた。

「シシシ…どうやらお困りのようザンスね?
ミーが何でも相談に乗るザンスよ、キューティーさん。
なんなら胸を貸してやっても…」

「クズが、てめぇは黙ってろよ」

モラハラを押しのけたトタン屋はキューティーの肩にポンと手を置いた。

「と、トタン屋のアニキさん…あなたはキムタクさんと…」

「ハハッ、前に言ったでしょ?
派閥なんて関係ないって。
キムタクさんがどうだろうと、僕は貴女の味方ですよ(笑)

オゥッ、何写真撮ってんだ、モラハラ!」

トタン屋の励ましにキューティーが笑顔を見せ始めると、モラハラ課長が持参したデジカメでキューティーの顔をパシャパシャと撮り始めた。

「いいんですよ、アニキさん。
それよりせっかくですから、ここで今の私達を撮ってもらいませんか?
私達の友情の証に…モラハラさん、いいですか?」

「もちろんザンスよ、キューティーさん(笑)
ホラ、もっと寄って、いい感じに…泣き顔も魅力的ザンスが、貴女にはやはり笑顔がお似合いザンスよ?
もう一枚いくザンスよ、

ハイッ、反・差・別!

いい絵が撮れたザンスー、後で送るザンスからねー(笑)」

3人が楽しそうに記念撮影に興じる中、クーフンの存在は完全に忘れ去られ、除け者にされていた…ロレーヌ退場の後のこの悲しい下りについては、モラハラ課長が酒の席で語った事であり、ついでに見せてもらった写真は、トタン屋の顔が完全に見切れていた。